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トイレの花子さん

十四個目

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しかしそれは、ここにいる誰もが思っていることだろう。


自分は違う。三人の中の誰かが花子さんなんだ……と。


本物が名乗り出てくれればそれで終わるだろうけど、最初から正体を隠しているということは、最後まで隠し通すつもりなのだろう。


「なあ、私思ったんだけどさ。トイレにある死体……あれが花子さんなんじゃない?  花子さんっぽい服装してるし、この中……ってのも、教室の中じゃなくてこの空間の中だとしたら?」


「またバカが思い付きで喋ってるよ。じゃあお前があの死体を個室に入れてこいよ。私は手伝わないからな」


やはりアイラの提案にはことごとく反対するショウコだ。


それがわかっているのか、アイラも腹は立てているようだが舌打ちをして顔を逸らす。


「……皆は何か思ったことない?  何でもいいからさ。何もヒントがなかったら、誰が花子さんかわからないから」


もっと早くにこうしていれば、メグミは無駄に死ぬことはなかったかもしれないと、ミラは悔やんでいた。


いや、メグミの犠牲があったから、慎重に話を進められるようになったのかもしれないが。


「てかさ、あの個室にいたの誰?  私とバカは一番奥の向かい合った個室だったけど」


ショウコがそう尋ねるとミラはコハナの方を向き、コハナは慌てて目を逸らした。
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