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トイレの花子さん

十七個目

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しかし、だからと言ってトイレと教室しかないこの空間。


誰かと結託しようと思っても、必ず他の人の耳に入る。


せめて一人、出来ればアイラとショウコが入れば、それで解決するのではないかとコハナは考えていた。


だが、そんなことが言えるはずがない。


言ってしまえば即、二人によって強引に個室に入れられることになるだろう。


だから、力で勝てないなら頭を使うしかなかった。


「誰が花子さんかって決めつける前に、トイレの中のあの死体を個室に入れてみたらどうなの。アイラが言い出したことでしょ。まずはやることやってから、人を疑ったらどうなのよ」


「……何だって?  コハナ、あんたいつから私にそんな口を……」


当然アイラが怒るのはわかっていた。


怒らせるような言い方をしたし、コハナ自身もこんなに簡単に思い通りになるなんて思わなかっただろう。


「確かに。コハナの言うことも一理あるね。やらない理由はなにさ。あんたまさか、ビビってんじゃないの?」


さらにショウコが、コハナを援護するように口を開いた。


それはアイラには面白くなかっただろう。


カチンときた様子で立ち上がり、ショウコを睨み付けて口を開いた。


「ビビってねえし!  てか、お前は何なんだよ!  文句ばっか言って、何も提案しないじゃないかよ!  さてはお前が花子さんだな!?」
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