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トイレの花子さん

二十七個目

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「い、いや……何で私がこんな目に遭わなきゃならないの……私のせいじゃない!  だって黒板に書かれてたんだもん!  誰かが個室に入らないと終わらないんでしょ!  だったら私じゃなくてもいいよね!?」


その主張は褒められたものではないが、決して間違ってはいない。


確かにルール通りのことをしているだけだ。


手段が間違っていると、ショウコもミラも思いはしたが、では、どうやって個室に入る人を決めただろうか。


きっと最後には暴力に訴えていたし、そうなればコハナが言ったように、アイラとショウコ以外の三人が入ることになっていたに違いない。


ではそれが、正しい方法かと問われれば決してイエスとは言えないだろう。


「ど、どうするのこれ!  私達は一体何から逃げてるの!?」


ドンドンとドアに加わる衝撃に、今にも心が折れてしまいそうなミラ。


ショウコも同じく、今すぐにでも投げ出してここから離れてしまいたいくらいに追い詰められていた。


これは凄まじいストレス。


いつものショウコなら癇癪を起こしていてもおかしくないほどの状況だったが、そうならなかったのは異形のクラスメイトが自分達に恨みを晴らそうと襲って来ているから。


少しして、身体に加わる衝撃がなくなった。


物音も、声も聞こえなくなり、もしかして助かったのかとミラとショウコは顔を見合わせる。
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