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怒りの二宮金次郎像

九冊目

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カミキのその発言に、他の四人は言い知れぬ不気味さを感じることとなった。


授業が始まり、先生の顔までもが二宮金次郎像と同じ。


さらに授業中であろうと関係なく、その顔をした全員が自分を見ているのだ。


気持ち悪くないはずがない。


「もう……無理。何なのこれ。なんで、どんなことをしたのかもわからないやつの像と同じ顔に見られてるわけよ」


最初の休み時間で、早くもミハネが弱音を吐いた。


とは言え、五人全員がそれと同じ気持ちだったから、バカにすることも、反論することも出来ずに階段の前で絶望していた。


「そもそもどうして二宮金次郎像なんだよ。俺達が何かしたってのか?  Aが上に乗って、首が折れたんだろ……俺達のせいじゃないのに、連帯責任とでも言いたいのかよ」


納得なんて出来ないといった様子で、キョウスケが眉間に皺を寄せて尋ねるが、誰もそれがわからないから恐怖しているのだ。


わかれば、その原因を排除すれば良いだけなのだから。


「呪い……かもしれないね。あの二宮金次郎像は随分古い。人型の物には魂が宿りやすいという話も聞くし、そんなものを壊したんだ。呪われたんだとしても不思議はない」


普段のこのメンバーなら、カミキのそんな言葉なんてバカにしたように笑い飛ばしただろう。


だが、今自分達が置かれている状況が説明なんて出来ないから、否定することも出来なかった。
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