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怒りの二宮金次郎像

三十五冊目

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制服はボロボロになり、肌に赤い線と、そこから流れる赤い血液。


泣き叫んでもうるさくないようにと、口にはスカートの切れ端を詰め込まれて。


皮膚を、肉を、それほど鋭くないカッターナイフで切り落とす度にアンナの頭が揺れる。


「凌遅刑という処刑方法が世界にはあってね。これはいかに『殺さずに』苦痛を与え続けるかというのが重要なんだ。肉を削がれ、内臓が飛び出しても、殺さずにどれだけ苦しめられるか。だからアンナちゃん。今度はもっと長い間生きていてね。せめて下半身が骨だけになるくらいはさ」


アンナもやっと思い出した。


一体これは、「何度目」なのだろうと。


何度目の死に向かっているのだろうと。


キョウスケの悲鳴を聞きながら、自分の身体が少しずつ切断されて行く激痛と恐怖がいつまで続くのか。


気が遠くなるほどの苦しみの末に、いつの間にか死んだのだろう。


それを見てカミキはニタリと笑った。


「はい、もう一度」












五人は二宮金次郎像の前で立ち尽くしていた。


頭から血を流している生徒が一人、息を引き取って倒れていたからだ。


友達であるはずの生徒が倒れているのだが、なぜかそれが誰だかわからないでいた。


そんな中でキョウスケとコウセイが同時にポツリと呟いた。


「一体誰が死んだんだ?」


不思議に思っている四人の中、カミキは嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。
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