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怪人ミラー

十一話目

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その日、ナオミの凄惨な死を目の当たりにした生徒達の中に、体調不良を訴える者が多数出たことと、警察による現場検証が行われることになり、生徒達は下校させられた。


しかし警察がいくら調べても何が起こっているかはわからないだろう。


クラスメイト全員が見ている中で、ひとりでに宙吊りになって股が裂けて死んだと、見たままを言ったとしても疑わしく思えるのにだ。


酷いいじめから逃げ出したわけではなく、堂々と家に帰れるというのが嬉しくて、家に着いたミサキは部屋着に着替えてベッドに横になった。


「凄い……本当に、私の願いを聞いてくれたんだ。でも、なんだろう……」


確かにナオミの死を願い、それが叶って喜ばしいことなのだが、ミサキは素直には喜べなかった。


それは当然だろう。いくらいじめられたからと言って、それがあれほどまでに残酷な死を与えられるほどのことだったのかと言われれば、やり過ぎているとも思える。


もっと簡単な。たとえば心臓マヒとか窒息死などの死に方を予想していただけに、ミサキ自身も少しショックを受けていた。


「仕方ないよね……もう、終わったことなんだから。これでいじめがなくなったら、もうやらないから」


誰に言ったわけでもない。枕を抱いて、不安に押し潰されそうになりながら、ミサキは目を閉じた。
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