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怪人ミラー
十六話目
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「……さない」
「は? 何だって? 声が小さくて聞こえないんだけど」
ミサキがポツリと呟いた言葉にさえ、ニヤニヤして聞き返すリンカ。
そこには、自分は強者でミサキは弱者だという思い上がりが確かにあった。
「てかどうすんだよ。お前が写真をばらまいたら10万円もらえねえだろ」
「それなら、こいつを使って稼げばいいんじゃない? 都合よく、画像を拡散出来たんだから、1回1万円くらいでさ。何ならあんたも試してみる?」
勝手なことを話す二人に、ミサキにはもう可哀想という感情はなかった。
ヒサシの手の力が緩んだところで強引に手を振りほどき、少し距離を取って胸ポケットに忍ばせておいた鏡を取り出してヒサシに向けた。
「……は? 鏡? 画像をばらまかれて頭がおかしくなったの?」
それを見て、クスクスと笑うリンカの隣で、ヒサシが小刻みに震え出す。
「あ、あ、な、なんだこれ……リンカ、俺、何かおかしい。何かおかしいんだけど!」
「はぁ? あんたはいつもおかしいでしょう……が……」
ヒサシの必死の訴えに、首を傾げてそう言ったリンカだったが……どうやらそれに気付いてしまったようだ。
よく見ると、ヒサシの首にぐるりと一周する赤い線が見えた。
いや、赤い線だと思っていたそこから、じわりと血が滲み始めたのだ。
「は? 何だって? 声が小さくて聞こえないんだけど」
ミサキがポツリと呟いた言葉にさえ、ニヤニヤして聞き返すリンカ。
そこには、自分は強者でミサキは弱者だという思い上がりが確かにあった。
「てかどうすんだよ。お前が写真をばらまいたら10万円もらえねえだろ」
「それなら、こいつを使って稼げばいいんじゃない? 都合よく、画像を拡散出来たんだから、1回1万円くらいでさ。何ならあんたも試してみる?」
勝手なことを話す二人に、ミサキにはもう可哀想という感情はなかった。
ヒサシの手の力が緩んだところで強引に手を振りほどき、少し距離を取って胸ポケットに忍ばせておいた鏡を取り出してヒサシに向けた。
「……は? 鏡? 画像をばらまかれて頭がおかしくなったの?」
それを見て、クスクスと笑うリンカの隣で、ヒサシが小刻みに震え出す。
「あ、あ、な、なんだこれ……リンカ、俺、何かおかしい。何かおかしいんだけど!」
「はぁ? あんたはいつもおかしいでしょう……が……」
ヒサシの必死の訴えに、首を傾げてそう言ったリンカだったが……どうやらそれに気付いてしまったようだ。
よく見ると、ヒサシの首にぐるりと一周する赤い線が見えた。
いや、赤い線だと思っていたそこから、じわりと血が滲み始めたのだ。
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