体の関係

おとめ

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からだのかんけい

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  「…」

  

  気まずい沈黙。優希(ゆうき)は沈黙の苦痛に耐えるが、体から嫌な汗が流れるのを感じていた。
 
 「何で黙るの」
 「いや、近い」
  自分が僅かに見上げる、視線は、白い肌。薄茶に染められた髪。赤いぷっくりとした唇。 
  まだ幼い顔立ちの四季は男女ともに目を奪われるほどの外見で、優しく穏やかな性格からも大学内では人気があった。そんな彼の息がかかりそうなほどの距離に圧迫感を覚える。住宅街の中にぽつんと一つある小さな日用品店の裏の壁に、四季の腕に行く手を塞がれる。まだ日の沈む前だというのに、辺りは静かだ。
  「家、行こ」
  「…」
   喧嘩をしているわけではない。いつものことだ。大きな瞳を潤ませ色素の薄い優希の伸びた髪が、わずかに濡れる。
  「泣いてるの?」
   四季が優希の手を取り歩き出す。優希は俯く。

   四季の家に着くと、律儀にお邪魔しますと言って、優希は玄関に立つ。奥から四季の母のお帰りーという声がして、「優希くんも来てるの?何かいる?」と台所で洗い物でもしているのか皿のカチャカチャという音を響かせながら優希に声をかける。四季が振り返り、
  「何かいる?」
と声をかけると、優希は首を振った。
  「大丈夫。なんもいらない」
  「そーお?」
  間延びした声をさせて返事をする四季の母の声を背に、二人は階段を上り四季の部屋へと向かう。部屋に着くと、優希は黙って床に座り、四季の出方を待つ。四季は優希の隣に腰掛け、優希のシャツに手を伸ばす。
  「抵抗する?」
  「しない」
  ふと何もない方の壁を見つめ、優希は目をつぶる。
  「何で?」
   自分とあまり背の変わらない優希を前にし、四季は乱暴に優希のシャツを掴んだ。
  「女とヤった後って興味ないふりするよね」
  「興味ないっていうか嫌なんだけど」
  「ふうん」
   四季がシャツの上から胸をまさぐり、小さな突起を見つけるとそれを摘む。
  「…っ」
優希は更に固く目を瞑る。
  「…はぁっ…」
いつものように、いつもの行為だ。
  「嫌っ…」   
後孔に四季のものを穿たれ、抵抗しながらも快楽に溺れるのもいつものこと。そんな自分に嫌悪していることも。最奥を突かれて、何度も何度もそこを擦りあげられているうちに絶頂を迎えるのも、いつものことだった。いつまでも繰り返される、終わりのみえない行為。

どちらかが飽きてしまえばー…

少なくとも、優希はそう思っていた。不安を抱えたままの四季の気持ちなど知らずにー…。
いつまでも時間が止まったままの優希に、四季は悲しみを覚え、何度も優希を抱く。優希が終わらない愛を感じるまで何度も、永遠に。

そういつも誓うのだった。
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