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第二話 異世界ライフ開始

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 目を開けると、そこは見渡す限りの草原だった。
 自分の身体を見下ろすと、きちんと戦士風の装備をつけていた。
 布の服の上から革鎧を身に着け、腰の左側には一振りの剣を提げている。
 武器屋、防具屋を巡って装備を整えるところから始めなくていいとは、親切設計だ。

「ようし、冒険の開始だ!」

 草原に俺の声が響いた。
 同時に、
 
 がさがさ!
 
 と、周囲の草むらから黒い影が飛び出してきた。

「うぇ!?」

 俺の声に引き寄せられてきたのだろう、モンスターが姿を現した!
 それは額の間辺りから一本の角を生やした、イノシシに似たモンスターだった。
 モンスターは興奮しており、今にもこちらに突進してきたそうに前足で地面を搔いている。

「ひえっ」

 不用意に声を出さなければ良かった。
 後悔した瞬間には時遅く、モンスターはこちらに向かって弾丸のように突撃してきた。

「っ!」

 不思議なことに、身体が自然に動いた。
 イノシシめいたモンスターの突進を、ひらりと横に飛んで避ける。
 俺は鞘から剣を引き抜くと、モンスターの横っ腹を斬り付けた。

「――――ッ!!」

 モンスターは断末魔の叫びを上げ、どうと倒れ伏した。

「し、死んだのか……?」

 倒れ伏したイノシシのような何かの身体を、足先でコツンと突いてみる。
 モンスターが再び動き出す様子は見られない。
 
 良かった、倒せたようだ。
 戦士として必要最低限の動きもできるようになっているなんて、異世界転生は素晴らしい。何も考えなくとも反射的に身体が動いた。

 その時。

『おめでとうございます、スキルガチャ一回分の経験値を取得しました。ガチャを回しますか?』

 無機質な人の声と共に、ステータス画面が目の前に現れ「はい」か「いいえ」か答えることを求められる。
 表示された画面を見てみると、確かに一回分以上の経験値を獲得できたようだ。

「序盤は一個でもスキルが多い方がいいだろうな」

 経験値を貯めておく意味も薄いと判断し、俺は「はい」をタップした。
 一個分の丸い容器が落ちてきて、容器がパカリと開くチープな演出が始まる。
 すると金色の光が瞬く!

「お、金色!? ってことはまさか最高レア引いちゃったか!?」

 手に汗握り、固唾を飲む。
 光が収まり、そこに表示されていたスキル名は――――

【スーパースーパーレア 乳首敏感化・大 乳首の感度2倍】

「…………」

 ――――ああ、無情。
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