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第十話 現村長を追放します
「お願いします、領主様! 父も兄も自分のやっていることが何か分かってなかっただけなんです! どうか、死罪だけは……!」
ボニーが懇願する。
自分たちが今まで虐げてきた末っ子が涙ながらに訴えるのを見て村長と彼の兄は驚いたように目を瞬かせている。
「ふむ……そうだな。それならばボニーの顔に免じて極刑だけは避けよう」
「あ、ありがとうごぜえます……!」
「なっ、何を甘いことを言ってるんだアン……ッ! 奴らは領主の意向に逆らう反逆者だぞ! 生かしておいていいはずがない!」
僕の言葉に激したのはロベールだ。
僕はちょいちょいとロベールを手招きして耳元に囁く。
「この微妙な時期に村長を処刑すれば住民の反発感情を招きかねない。だったら重大な罪を犯した村長の命だけはあえて助けて慈悲深さを見せた方がいい」
「む……なるほど。いろいろ考えているのだな」
ロベールも顔は不機嫌そうなままだが、一応納得してくれたようだ。
「では死刑でなければ一体どんな罰を下すのだ? まさか無罪放免ではあるまいな」
「まさか。村長とその長男は――――この村から追放する」
村長らの目が愕然と見開かれる。
「なっ、そんなの死罪に処されるのとほとんど同じではございませんか……! わしらのような農民が生まれ育った村から追放されて生きていく術などございませぬ!」
村長は必死に訴える。
「ほう、それは本当か? お前らは確か隣村に親戚がいるのだろう? 別にこの村から追放されても死にはしない」
「な、なぜそのことを……」
何故ってそりゃあ、RTAでやり込んでるから知ってるんだよ。
実を言うとゲームの中では彼らを死刑にするしか選択肢はない。でもまあこれはゲームではないのだ、他の方法を探ってみたっていいじゃないか。
「本来ならばこういうことは連帯責任で一家もろともというのが通例ではあるが……」
僕はチラリとボニーに視線をやる。
一家もろともではボニーも追放することになってしまう。
ロベールも最近ではボニーの有能さと従順さを認めているらしく、彼もそれは困ると言うだろう。
「追放するのは実行犯だけに留めてやろう」
ボニーはほっとした顔をする。
それは自分の無事に安堵したのか、それとも村長と長男以外の次男と三男の為だろうか。ボニーには長男以外にも二人の兄がいるのだ。
「しかしこれではこの村に村長がいなくなってしまうな。新しい村長を決めなければならないな。次の村長は必要最低限文字を読み書きできるものでなくてはならない。これからのこの村の発展に関して書類でのやり取りが出来なくては」
「けれどもこの村には読み書きができるものなどおりませぬ! ま、まさかよそ者を村長に……!?」
現村長は必死で唾を飛ばす。
「いやいや。元からの住民にも読み書きができる人間がいるじゃないか、なあボニー?」
僕の言葉にボニーはギクリと身を強張らせた。
「な、ボニーが!? 何かの間違いでは……」
「間違いではない。ボニーはこの一月と少しの間、ずっと城で文字の読み書きを習っていた。よってボニーには次の村長になる充分な資格がある」
村長は口をパクパクとさせている。
よもや自分が不要と断じてきた勉学が村長になる為の資格と化すとは夢にも思わなかったのであろう。
「ボニー、お前を次の村長とする。そしてお前の二人の兄、次男と三男をお前の補佐に付ける。もちろん補佐も読み書きができる必要があるから、お前が二人に教えるんだ。分かったな?」
「えぇっ、そんな……」
「二人の兄がお前の指示に従わず文字を習わなかったりもしくは何らかの嫌がらせをしてきたのであればすぐに言え。その時は二度目の反逆ということになるのだから、追放では済まされない。追放した村長や長男がまた何かしてきた時も同様だ……分かったな?」
「ヒッ!」
小さく悲鳴を上げたのは村長と長男だ。
彼らは壊れた人形のようにガクガクと頭を縦に振って頷く動作を繰り返している。
実を言うと次男と三男をボニーの補佐にするのは手順を省略できないかと思った為である。
実を言うとゲーム内では村長と長男を処刑した後、それに反感を抱いた次男と三男が少し後に第二の事件を引き起こすのだ。
それに対処するのも面倒くさいので、ボニーの部下にすることで『処理』する為の口実が早めに生み出せないかなと思った次第である。
「さ、そうと決まればお前らはさっさとこの村から出ていけ!」
ロベールの護衛らが見張る中、村長と長男は荷物を纏め、村から出ていくこととなった。
本当であればロベールの護衛にやらせる仕事ではないが、今は他に適任がいないので仕方ない。
もう少し村が発展したら自警団か何かを組織する必要があるだろう。
ボニーが懇願する。
自分たちが今まで虐げてきた末っ子が涙ながらに訴えるのを見て村長と彼の兄は驚いたように目を瞬かせている。
「ふむ……そうだな。それならばボニーの顔に免じて極刑だけは避けよう」
「あ、ありがとうごぜえます……!」
「なっ、何を甘いことを言ってるんだアン……ッ! 奴らは領主の意向に逆らう反逆者だぞ! 生かしておいていいはずがない!」
僕の言葉に激したのはロベールだ。
僕はちょいちょいとロベールを手招きして耳元に囁く。
「この微妙な時期に村長を処刑すれば住民の反発感情を招きかねない。だったら重大な罪を犯した村長の命だけはあえて助けて慈悲深さを見せた方がいい」
「む……なるほど。いろいろ考えているのだな」
ロベールも顔は不機嫌そうなままだが、一応納得してくれたようだ。
「では死刑でなければ一体どんな罰を下すのだ? まさか無罪放免ではあるまいな」
「まさか。村長とその長男は――――この村から追放する」
村長らの目が愕然と見開かれる。
「なっ、そんなの死罪に処されるのとほとんど同じではございませんか……! わしらのような農民が生まれ育った村から追放されて生きていく術などございませぬ!」
村長は必死に訴える。
「ほう、それは本当か? お前らは確か隣村に親戚がいるのだろう? 別にこの村から追放されても死にはしない」
「な、なぜそのことを……」
何故ってそりゃあ、RTAでやり込んでるから知ってるんだよ。
実を言うとゲームの中では彼らを死刑にするしか選択肢はない。でもまあこれはゲームではないのだ、他の方法を探ってみたっていいじゃないか。
「本来ならばこういうことは連帯責任で一家もろともというのが通例ではあるが……」
僕はチラリとボニーに視線をやる。
一家もろともではボニーも追放することになってしまう。
ロベールも最近ではボニーの有能さと従順さを認めているらしく、彼もそれは困ると言うだろう。
「追放するのは実行犯だけに留めてやろう」
ボニーはほっとした顔をする。
それは自分の無事に安堵したのか、それとも村長と長男以外の次男と三男の為だろうか。ボニーには長男以外にも二人の兄がいるのだ。
「しかしこれではこの村に村長がいなくなってしまうな。新しい村長を決めなければならないな。次の村長は必要最低限文字を読み書きできるものでなくてはならない。これからのこの村の発展に関して書類でのやり取りが出来なくては」
「けれどもこの村には読み書きができるものなどおりませぬ! ま、まさかよそ者を村長に……!?」
現村長は必死で唾を飛ばす。
「いやいや。元からの住民にも読み書きができる人間がいるじゃないか、なあボニー?」
僕の言葉にボニーはギクリと身を強張らせた。
「な、ボニーが!? 何かの間違いでは……」
「間違いではない。ボニーはこの一月と少しの間、ずっと城で文字の読み書きを習っていた。よってボニーには次の村長になる充分な資格がある」
村長は口をパクパクとさせている。
よもや自分が不要と断じてきた勉学が村長になる為の資格と化すとは夢にも思わなかったのであろう。
「ボニー、お前を次の村長とする。そしてお前の二人の兄、次男と三男をお前の補佐に付ける。もちろん補佐も読み書きができる必要があるから、お前が二人に教えるんだ。分かったな?」
「えぇっ、そんな……」
「二人の兄がお前の指示に従わず文字を習わなかったりもしくは何らかの嫌がらせをしてきたのであればすぐに言え。その時は二度目の反逆ということになるのだから、追放では済まされない。追放した村長や長男がまた何かしてきた時も同様だ……分かったな?」
「ヒッ!」
小さく悲鳴を上げたのは村長と長男だ。
彼らは壊れた人形のようにガクガクと頭を縦に振って頷く動作を繰り返している。
実を言うと次男と三男をボニーの補佐にするのは手順を省略できないかと思った為である。
実を言うとゲーム内では村長と長男を処刑した後、それに反感を抱いた次男と三男が少し後に第二の事件を引き起こすのだ。
それに対処するのも面倒くさいので、ボニーの部下にすることで『処理』する為の口実が早めに生み出せないかなと思った次第である。
「さ、そうと決まればお前らはさっさとこの村から出ていけ!」
ロベールの護衛らが見張る中、村長と長男は荷物を纏め、村から出ていくこととなった。
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もう少し村が発展したら自警団か何かを組織する必要があるだろう。
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