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第十六話 グロスマン商会ですね、はい許可しましょう
「グロスマン商会とやら、とてもいいところではないか。私は支店の設立に文句はない」
少ししてロベールが満足した顔で戻ってきた。
無事にイヤリングを購入できることになったのだろう。
どんなデザインのイヤリングなのか僕も楽しみだ。
「うん、僕も異論ないよ。支店を含め諸々の建築物を建てるのを許可するつもりだ。グロスマン商会が力を入れてこの村に支店を設立したがっている理由も分かるしね」
「ほう、このダンジョン村が凄まじい勢いで発展を遂げようとしているからではないのか?」
「それは前提だけれど、それを後押ししてるのはこの村に市壁がないってことだと思うよ」
「市壁?」
「そう、市壁」
市壁が築かれていないということは関税を取られないということだ。
ただで物を輸入できる。商人からしてみればこれほど儲かることはない。
市壁も冒険者ギルドと同じく、人が多ければ関税で儲けられるがその分維持費や人件費がかかる類のものである。もちろん建てるのにもたくさんお金がかかる。さらには一度建てると村の境界線が決まってしまうので、思いの外村が大きくなってしまった時に苦労することになる。
だから市壁もすぐに建設に乗り出す訳にはいかないのである。
僕が市壁建設に乗り出すまでの間、商人たちには精々金を稼いでもらうとしよう。
「そんなに得なのであれば、どこの商会もこぞってこの村に押しかけてくるのではないか?」
「そうでもないよ。普通の人は住み慣れた土地を離れることに忌避感を持っているものだから」
市民権のこともあるし、普通はおいそれと他の土地に引っ越したりなどできない。
引っ越すということは今持っている市民権という財産を塵にしてしまうということなのだから。
だから恐らくはグリーンヴィレッジに移住してくるグロスマン商会の従業員の多くはグロスマン商会に所属していながらも定住の地を持っていなかった行商人たちになるだろう。
となるとグロスマン食堂は従業員や職人たちの妻によって営まれるのだろうか。
移住してきたよそ者の女性が就ける職がこの田舎にあるとは思えないから、女性たちの職場も一緒に作ってしまうというのはなかなか上手い手だ。
ただ全員分の市民権を購入し店を建て工房を建て住居を建て食堂を建てということを一度にやるのはそんじょそこらの並大抵の商会にできることではない。いくらダンジョン村が確実に繁栄すると分かっていてもだ。
それに市壁も築かれていないダンジョン村に越すということは魔物に襲われる危険性も増すということだ。そこに移住するというのはなかなかできる判断ではない。
類稀なる決断力と度胸と資金力でいの一番にグリーンヴィレッジに乗り込んできた商会がグロスマン商会だったという訳だ。
これからもグロスマン商会以外にも同じように支店を設立したいという商会はいくつか出てくるだろう。
「うん、細かく分析してみるとグロスマン商会の動きはなかなか抜け目がないな。これからの戦いにおいて頼りになる味方になってくれそうだ」
「ははは、戦いとは妙な比喩をするな。まるで敵がいるようではないか」
ロベールは僕の物言いを微笑ましがって笑う。
「え、いるよ敵。十年後にナルセンティアと戦争するから」
「は……?」
ロベールは笑顔のまま固まった。
あれ、話してなかったっけ?
少ししてロベールが満足した顔で戻ってきた。
無事にイヤリングを購入できることになったのだろう。
どんなデザインのイヤリングなのか僕も楽しみだ。
「うん、僕も異論ないよ。支店を含め諸々の建築物を建てるのを許可するつもりだ。グロスマン商会が力を入れてこの村に支店を設立したがっている理由も分かるしね」
「ほう、このダンジョン村が凄まじい勢いで発展を遂げようとしているからではないのか?」
「それは前提だけれど、それを後押ししてるのはこの村に市壁がないってことだと思うよ」
「市壁?」
「そう、市壁」
市壁が築かれていないということは関税を取られないということだ。
ただで物を輸入できる。商人からしてみればこれほど儲かることはない。
市壁も冒険者ギルドと同じく、人が多ければ関税で儲けられるがその分維持費や人件費がかかる類のものである。もちろん建てるのにもたくさんお金がかかる。さらには一度建てると村の境界線が決まってしまうので、思いの外村が大きくなってしまった時に苦労することになる。
だから市壁もすぐに建設に乗り出す訳にはいかないのである。
僕が市壁建設に乗り出すまでの間、商人たちには精々金を稼いでもらうとしよう。
「そんなに得なのであれば、どこの商会もこぞってこの村に押しかけてくるのではないか?」
「そうでもないよ。普通の人は住み慣れた土地を離れることに忌避感を持っているものだから」
市民権のこともあるし、普通はおいそれと他の土地に引っ越したりなどできない。
引っ越すということは今持っている市民権という財産を塵にしてしまうということなのだから。
だから恐らくはグリーンヴィレッジに移住してくるグロスマン商会の従業員の多くはグロスマン商会に所属していながらも定住の地を持っていなかった行商人たちになるだろう。
となるとグロスマン食堂は従業員や職人たちの妻によって営まれるのだろうか。
移住してきたよそ者の女性が就ける職がこの田舎にあるとは思えないから、女性たちの職場も一緒に作ってしまうというのはなかなか上手い手だ。
ただ全員分の市民権を購入し店を建て工房を建て住居を建て食堂を建てということを一度にやるのはそんじょそこらの並大抵の商会にできることではない。いくらダンジョン村が確実に繁栄すると分かっていてもだ。
それに市壁も築かれていないダンジョン村に越すということは魔物に襲われる危険性も増すということだ。そこに移住するというのはなかなかできる判断ではない。
類稀なる決断力と度胸と資金力でいの一番にグリーンヴィレッジに乗り込んできた商会がグロスマン商会だったという訳だ。
これからもグロスマン商会以外にも同じように支店を設立したいという商会はいくつか出てくるだろう。
「うん、細かく分析してみるとグロスマン商会の動きはなかなか抜け目がないな。これからの戦いにおいて頼りになる味方になってくれそうだ」
「ははは、戦いとは妙な比喩をするな。まるで敵がいるようではないか」
ロベールは僕の物言いを微笑ましがって笑う。
「え、いるよ敵。十年後にナルセンティアと戦争するから」
「は……?」
ロベールは笑顔のまま固まった。
あれ、話してなかったっけ?
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