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24.静けさ
皆が去っていく中、大和はひとり身体を震わせ動揺を隠せずにいる。
これは──良くないな…。
それを見た岳は、直ぐにでも話す時間が必要だと感じた。その動揺の原因はある程度、察しがつく。
「真琴。お前車で来たか?」
「ああ…」
探るようにこちらを見つめて来る。真琴も大和の様子が気になる様だった。
「借りていいか?」
「好きなだけ使え。俺達は鷹来に乗せてもらう」
鍵を岳へ放ると、真琴も藤も、気を利かせ先に外へと出ていった。
岳はそこへ片膝をついて、俯く大和の肩に手を置くと視線を合わせる。
「大和。大丈夫か?」
「ん…」
小さく頷いた大和の震えは、やはり止まらない。
「ここは空気が悪い…。場所を変えて話そう」
こくりと頷いた大和の背を抱えるようにして、そこを後にした。
借りた車を走らせて向かった先は、同じく埠頭だった。
先ほどの場所からはそう離れてはいないが、こちらは緑も周囲にあり、公園らしく整備されている。
夜間の為、夜景を楽しむ恋人同士がちらほら見えるだけで、人影はまばらだ。
岳は車を停めると、先に降りて大和に手を差し出す。
「ほら、来いよ。夜景が綺麗だぞ」
「…ん」
伸ばされた手をおずおずと取ると、大和は車外へと出た。
乱闘時の勢いはどこかへ消えうせ、身体がいつもより小さく感じる。まるで怯えた小動物の様で、思わず抱きしめたくなるが。
夜景が良く見える埠頭の端、手摺まで来ると互いにそこへ立った。
春先とは言え時折吹き付ける潮風は冷たい。大和の肩へ持ってきたコートを羽織らせると。
「大和。大丈夫か?」
先ほどの問いを再び向ける。その言葉に、手摺に伏せるように寄りかかっていた大和はのろのろと顔を上げ。
「…岳。俺…自分が、怖い…」
「どうしてそう思う?」
岳は優しく声をかける。それに誘われるように、大和は重くなっていた口を開いた。
「理由をつけて、人を──殺そうとした…。岳の為だって、そう思い込んで…。そんなこと、岳の望むことじゃない。今ならそう思える。なのに…」
手摺にかける大和の手が小刻みに震えている。思いだしているのだろう。
岳はそんな大和をそっと背後から抱きしめると。
「あの時は、止められなかった、か?」
こくりと頷いた。大和の夜風に冷えた髪に頬を当てながら。
「誰だって、大切なものが危機を迎えれば必死になる。加減なんてしていられない。そんな余裕なんてなくなる」
「……」
「…けど、大和は最後にそれは選ばない。あの時だって、ちゃんと俺の声を聞いて手を止めた。本当にやる奴は、そんな余地を見せない…。大和がこれだけ動揺しているのが証拠だ。大丈夫。お前はまともだ、大和。俺が保証する…」
言葉より、この抱きしめている腕から、体から、それが伝わればいいのにと思う。
身体を繋げることですべてが伝わるなら、どんなにいいか。
ぎゅっと抱きしめ、背後から額や頬、首筋にキスを落とす。いたわる様にそれを繰り返せばようやく大和の震えが治まってきた。
身体の力がいつしか抜けて、岳に預けてくる。
「岳…」
「なんだ?」
「俺─…」
言いかけた言葉を飲み込んでしまう。
促すように髪や米神にキスを繰り返した。大和は腹のあたりにある岳の手をぎゅっと握ると。
「…俺…。岳の側にいて…いいのか?」
その言葉に流石に岳は驚いて、大和を無理やり自分の方へ振り向かせる。
大和の顔はいつの間にか涙でぐしゃぐしゃに濡れていた。
「当たり前だ。大和の居場所は俺の腕の中にしかない。──覚えて置け」
「…わかった」
大和は泣きながらも笑みを浮かべると。
「遅くなったけど…。お帰り、岳」
「ああ…。ただいま」
濡れた大和の頬へ手を添わせ、暫くぶりのキスを交わした。
+++
その後、帰宅すると既に深夜を回ると言うのに、亜貴も真琴も起きていて出迎えてくれた。
ただ、もう遅い。俺も岳も疲れているだろうからと、先に帰っていた真琴は軽く声をかけただけで、寝室へと戻って行った。
亜貴もそれに続く。色々聞きたいし言いたいけれど、また明日。そう言って。
その夜、ようやく岳に抱きしめられて眠りにつく事が出来た。遠慮せずその温もりに身を委ねる。
スタンドの下には、例のコツメカワウソの縫いぐるみ。岳の帰還まで無事に守りましたとばかりに、端末の前に鎮座していた。
岳の腕の中でようやくひと息つけた気がする。こうして間近に岳を感じられる事に感謝しかなかった。
ちなみに俺と岳の寝室は別棟の離れの二階になっている。亜貴と真琴のいる母屋とは廊下で繋がっていた。
階下は客間になっているが、あまり使われてはいない。やたらと部屋数のあるこの洋館は、まるで迷路の様で面白くもあった。
帰ってきた──。
眠る岳の寝顔をじっと見つめる。
すっかり無防備になって眠るその姿は、どこか幼くも見え。十歳も上の岳が自分とそう変らない様にも見える。
岳は普段、自室で眠るときは下着以外は身に着けない。寒くないのかと聞いたことがあるが、別段、気にならないと言う。
特に今は俺がいるから寒くはないと──。
照れくさい。
ただ、先ほど寝る前、ローブを置いてベッドに入った際、小さくあ、と漏らした。
そんな声を漏らすとは、岳にしては珍しい。それから髪をかき上げつつ。
「…これは、浅倉にやられたんだ。不覚をとってな…。けど、何もなかった。余計な心配はするなよ?」
言った胸もとに近い場所に、うっ血した跡が微かにある。これは、前に大希が撮って送ってきた例のアレだろう。
ううん。これは…。
俺は内心唸ったが。
「…気にしない。ってか、気にならなくはない。けど。岳がそういうなら信じる。それに──」
俺は横になっていた身体を起こして、同じく横になろうとした岳の胸元に抱き着くと、口づけた。少しだけ意図をもって。
薄い僅かに残った跡の上へ、新たな赤い跡が残る。
「──よし。これで終わり。消えた消えた──って、おわぁ?!」
残した痕に満足げに頷いた俺を、岳は押し倒す。
「くそっ…。今日は手を出せないってのに…」
別にしてもいいのだが、岳はもう遅い時間に疲れているだろうからと、事に及ばないことに決めたのだ。
「別に…少しくらい──」
なら、いいと言いかけた俺の唇を岳が遠慮なく塞ぐ。待ちきれないとばかりに。
「…大和以外は、もう、抱く気はない。触れたくないし、触れられたくもない…。大和がいい…」
そう囁きながら、キスを繰り返す。
お互い熱が高まって、もう止められそうになかった。岳とこうして向き合うのはいつ振りだろうか。
俺はぎゅっとその首筋に抱きつき、筋の浮いたそこへキスをすると。
「俺も、岳以外にそんなこと、したくない…」
されたくない。岳にしかこうしたいとは思えない。
「大和…」
岳の掠れた声が耳元に響き、心臓がトクリと鳴る。
「好きだ…。大和しかいらない…」
「ん─…」
岳が見下ろしてくる。
目があったのを合図に、岳の手が頬に伸び、もう一度深く重なるキスをした。
それから岳に求められるまま、互いの熱を確かめ合い。
岳に触れられ、求められるとそれだけで幸せを感じる。自分でいいのだと、そう思えた。
岳に触れられ、あらぬ声を上げるのも、あられもない姿を晒すのも、相手が岳だからで。他の誰にもこんな自分をさらけ出したくはない。
それに、そんな風に自分以外に触れて欲しくない。自分だけの岳でいて欲しかった。
それでも、岳は一度だけで遠慮して。
「…後は、明日にオアズケだ」
何度目かのキスを終え、呼吸を整えながら岳は自分に言い聞かせる様に呟いた。
「って、無理してる…」
くすくすと笑って、岳を見上げる。
そんな俺を見下ろす岳は、ぐっと何かをこらえるように唇を噛みしめたあと。
「早く明日にしたいから、寝るぞ。大和…」
そう言うと、俺を腕に抱き眠りについた。
それで冒頭に戻る。
岳の健やかな寝顔を見られるだけで、なんて幸せなんだろうと思える。
俺は──ここにいて、岳の傍にいて、いいんだよな? 岳。
そっと頬に触れてから、腕の中で目を閉じた。
これは──良くないな…。
それを見た岳は、直ぐにでも話す時間が必要だと感じた。その動揺の原因はある程度、察しがつく。
「真琴。お前車で来たか?」
「ああ…」
探るようにこちらを見つめて来る。真琴も大和の様子が気になる様だった。
「借りていいか?」
「好きなだけ使え。俺達は鷹来に乗せてもらう」
鍵を岳へ放ると、真琴も藤も、気を利かせ先に外へと出ていった。
岳はそこへ片膝をついて、俯く大和の肩に手を置くと視線を合わせる。
「大和。大丈夫か?」
「ん…」
小さく頷いた大和の震えは、やはり止まらない。
「ここは空気が悪い…。場所を変えて話そう」
こくりと頷いた大和の背を抱えるようにして、そこを後にした。
借りた車を走らせて向かった先は、同じく埠頭だった。
先ほどの場所からはそう離れてはいないが、こちらは緑も周囲にあり、公園らしく整備されている。
夜間の為、夜景を楽しむ恋人同士がちらほら見えるだけで、人影はまばらだ。
岳は車を停めると、先に降りて大和に手を差し出す。
「ほら、来いよ。夜景が綺麗だぞ」
「…ん」
伸ばされた手をおずおずと取ると、大和は車外へと出た。
乱闘時の勢いはどこかへ消えうせ、身体がいつもより小さく感じる。まるで怯えた小動物の様で、思わず抱きしめたくなるが。
夜景が良く見える埠頭の端、手摺まで来ると互いにそこへ立った。
春先とは言え時折吹き付ける潮風は冷たい。大和の肩へ持ってきたコートを羽織らせると。
「大和。大丈夫か?」
先ほどの問いを再び向ける。その言葉に、手摺に伏せるように寄りかかっていた大和はのろのろと顔を上げ。
「…岳。俺…自分が、怖い…」
「どうしてそう思う?」
岳は優しく声をかける。それに誘われるように、大和は重くなっていた口を開いた。
「理由をつけて、人を──殺そうとした…。岳の為だって、そう思い込んで…。そんなこと、岳の望むことじゃない。今ならそう思える。なのに…」
手摺にかける大和の手が小刻みに震えている。思いだしているのだろう。
岳はそんな大和をそっと背後から抱きしめると。
「あの時は、止められなかった、か?」
こくりと頷いた。大和の夜風に冷えた髪に頬を当てながら。
「誰だって、大切なものが危機を迎えれば必死になる。加減なんてしていられない。そんな余裕なんてなくなる」
「……」
「…けど、大和は最後にそれは選ばない。あの時だって、ちゃんと俺の声を聞いて手を止めた。本当にやる奴は、そんな余地を見せない…。大和がこれだけ動揺しているのが証拠だ。大丈夫。お前はまともだ、大和。俺が保証する…」
言葉より、この抱きしめている腕から、体から、それが伝わればいいのにと思う。
身体を繋げることですべてが伝わるなら、どんなにいいか。
ぎゅっと抱きしめ、背後から額や頬、首筋にキスを落とす。いたわる様にそれを繰り返せばようやく大和の震えが治まってきた。
身体の力がいつしか抜けて、岳に預けてくる。
「岳…」
「なんだ?」
「俺─…」
言いかけた言葉を飲み込んでしまう。
促すように髪や米神にキスを繰り返した。大和は腹のあたりにある岳の手をぎゅっと握ると。
「…俺…。岳の側にいて…いいのか?」
その言葉に流石に岳は驚いて、大和を無理やり自分の方へ振り向かせる。
大和の顔はいつの間にか涙でぐしゃぐしゃに濡れていた。
「当たり前だ。大和の居場所は俺の腕の中にしかない。──覚えて置け」
「…わかった」
大和は泣きながらも笑みを浮かべると。
「遅くなったけど…。お帰り、岳」
「ああ…。ただいま」
濡れた大和の頬へ手を添わせ、暫くぶりのキスを交わした。
+++
その後、帰宅すると既に深夜を回ると言うのに、亜貴も真琴も起きていて出迎えてくれた。
ただ、もう遅い。俺も岳も疲れているだろうからと、先に帰っていた真琴は軽く声をかけただけで、寝室へと戻って行った。
亜貴もそれに続く。色々聞きたいし言いたいけれど、また明日。そう言って。
その夜、ようやく岳に抱きしめられて眠りにつく事が出来た。遠慮せずその温もりに身を委ねる。
スタンドの下には、例のコツメカワウソの縫いぐるみ。岳の帰還まで無事に守りましたとばかりに、端末の前に鎮座していた。
岳の腕の中でようやくひと息つけた気がする。こうして間近に岳を感じられる事に感謝しかなかった。
ちなみに俺と岳の寝室は別棟の離れの二階になっている。亜貴と真琴のいる母屋とは廊下で繋がっていた。
階下は客間になっているが、あまり使われてはいない。やたらと部屋数のあるこの洋館は、まるで迷路の様で面白くもあった。
帰ってきた──。
眠る岳の寝顔をじっと見つめる。
すっかり無防備になって眠るその姿は、どこか幼くも見え。十歳も上の岳が自分とそう変らない様にも見える。
岳は普段、自室で眠るときは下着以外は身に着けない。寒くないのかと聞いたことがあるが、別段、気にならないと言う。
特に今は俺がいるから寒くはないと──。
照れくさい。
ただ、先ほど寝る前、ローブを置いてベッドに入った際、小さくあ、と漏らした。
そんな声を漏らすとは、岳にしては珍しい。それから髪をかき上げつつ。
「…これは、浅倉にやられたんだ。不覚をとってな…。けど、何もなかった。余計な心配はするなよ?」
言った胸もとに近い場所に、うっ血した跡が微かにある。これは、前に大希が撮って送ってきた例のアレだろう。
ううん。これは…。
俺は内心唸ったが。
「…気にしない。ってか、気にならなくはない。けど。岳がそういうなら信じる。それに──」
俺は横になっていた身体を起こして、同じく横になろうとした岳の胸元に抱き着くと、口づけた。少しだけ意図をもって。
薄い僅かに残った跡の上へ、新たな赤い跡が残る。
「──よし。これで終わり。消えた消えた──って、おわぁ?!」
残した痕に満足げに頷いた俺を、岳は押し倒す。
「くそっ…。今日は手を出せないってのに…」
別にしてもいいのだが、岳はもう遅い時間に疲れているだろうからと、事に及ばないことに決めたのだ。
「別に…少しくらい──」
なら、いいと言いかけた俺の唇を岳が遠慮なく塞ぐ。待ちきれないとばかりに。
「…大和以外は、もう、抱く気はない。触れたくないし、触れられたくもない…。大和がいい…」
そう囁きながら、キスを繰り返す。
お互い熱が高まって、もう止められそうになかった。岳とこうして向き合うのはいつ振りだろうか。
俺はぎゅっとその首筋に抱きつき、筋の浮いたそこへキスをすると。
「俺も、岳以外にそんなこと、したくない…」
されたくない。岳にしかこうしたいとは思えない。
「大和…」
岳の掠れた声が耳元に響き、心臓がトクリと鳴る。
「好きだ…。大和しかいらない…」
「ん─…」
岳が見下ろしてくる。
目があったのを合図に、岳の手が頬に伸び、もう一度深く重なるキスをした。
それから岳に求められるまま、互いの熱を確かめ合い。
岳に触れられ、求められるとそれだけで幸せを感じる。自分でいいのだと、そう思えた。
岳に触れられ、あらぬ声を上げるのも、あられもない姿を晒すのも、相手が岳だからで。他の誰にもこんな自分をさらけ出したくはない。
それに、そんな風に自分以外に触れて欲しくない。自分だけの岳でいて欲しかった。
それでも、岳は一度だけで遠慮して。
「…後は、明日にオアズケだ」
何度目かのキスを終え、呼吸を整えながら岳は自分に言い聞かせる様に呟いた。
「って、無理してる…」
くすくすと笑って、岳を見上げる。
そんな俺を見下ろす岳は、ぐっと何かをこらえるように唇を噛みしめたあと。
「早く明日にしたいから、寝るぞ。大和…」
そう言うと、俺を腕に抱き眠りについた。
それで冒頭に戻る。
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※全四話、予約投稿済み。
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※後日談を3/25に投稿予定←しました。Rを書くかはまだ悩み中