Take On Me 4

マン太

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11.日々

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 壱輝と初奈を加えた日々は、つつがなく過ぎていった──と言いたい所だが、やはり問題は起こる。いや、問題あり過ぎだ。
 壱輝は隙あらば夜外出しようとするし、帰宅が遅くなる日もたびたび。
 連絡なく遅くなった時は、決まって煙草やアルコール、香水の匂いまでさせてくる始末だ。
 その素行にうむむと唸る。まだ未成年だ。大目に見て、匂いがついただけかもしれないが、そうでない場合、まだ吸ったり飲んだりしていい年齢ではない。
 香水は──百歩譲って許すとしても、前出二つは許してはいけないのだ。若い壱輝の為にひとつも宜しくない。
 その夜も壱輝の帰りが遅かった。最近、友達と遊ぶ時は連絡が入る様になっていて。

 それがない──と言う事は。

 急な用か、あまり連絡したくない内容だからか。
 夕食の時間はとっくに過ぎている。数時間前、夕飯は亜貴も交え、初奈と俺、三人で賑やかに食べた。
 初奈はどうやら美術の授業が好きらしい。亜貴が尋ねると、今日描いたものをぽつりぽつりと話してくれた。

 ほんと、初奈はいい子だなぁ。

 我慢することも耐えることも多かっただろうに、卑屈にはなっていない。ただ、自分を主張はしないのが気にはなるが。

 まあ、主張し過ぎも問題だけどな。

 兄、壱輝のように。
 初奈が真似せずに良かったと思う。この年で金髪ピアノは似合わない。
 壱輝の為に用意してあった夕飯はとりあえず冷蔵庫へ退避させてあった。
 豚小間のチンジャオロース風。ピーマンの彩が綺麗な逸品だ。黒コショウをよく効かせて少々大人の味付け。これなら温め直しても、そう出来立てと変わらない。

 食べないなら、明日の昼に俺が食べるか…。

 そうして夜十一時過ぎ。玄関のチャイムが鳴って壱輝が帰宅した。

「お帰り」

 俺は玄関先に出て出迎える。実は壱輝にも初奈にも合いカギは渡していない。
 この家にはたいてい誰かがいたし、母屋が開いていなければ、隣の事務所が開いている。無人と言う事はなかったのだ。
 だからいつ帰ってきても人がいるため、二人に鍵は必要なかった。その為、今回の様に連絡もなしに遅くに帰ってくると、かなり気まずいだろうが。

「……」

 出迎えた俺を壱輝は一瞥しただけで、無言で横を通り過ぎる。ちゃんと今日中に帰って来ただけでも良しとすべきだろう。
 俺はその背に向けて、

「遅くなるなら、連絡よこせって言ったろ? 心配する…」

「…友だちと会ってた」

 そう言う壱輝からは甘ったるい香りがした。女性ものの香水の香りだ。お茶をしたり、夕飯を食べた位ではつかない香り方。
 別に異性と付き合う事をどうこうは言わない。けれど、こんな時間まで会っているのは健全ではない。ここまで香りがつくと言う事はそれなりに大人の付き合いをしているのだろう。
 相手が誰であれ、壱輝はまだ高校生。相手によっては犯罪に近いことになる。そう言う付き合いをするリスクもあまり考えていないのだろう。壱輝の為にもあまり乱れた付き合いはして欲しくなかった。
 俺は壱輝の後に続いてリビングに向かう。

「夕飯は? 壱輝の分冷蔵庫に──」

「要らない。適当に食ったから」

 間髪入れずにそう返してきた壱輝はキッチンに向かうと、伏せてあったコップに水を汲み、一気に飲み干した。

「その『友だち』とは真面目に付き合ってんのか?」

 俺は腕組みして壱輝を見つめる。

「どうだっていいだろ? だいたい、真面目って何? 将来結婚しますって? この歳でそんな風に付き合う奴なんていないだろ? 楽しめればそれでいいんだって」

「…お前はそれで楽しいのか?」

「楽しいよ? お互い楽しめてるし。相手だって真剣な付き合いなんて求めてないっての。今日会ってたのだって、年上の既婚者だし」

「既婚者…?」

 俺は耳を疑うが。

「旦那が出張でいないからって、遊びたいって言ってきた。別に美人だしいい身体してるし、後腐れないし、お互い楽しんだだけ」

「っまえ…」

 俺は思わずそこでがくりとしゃがみこんだ。力が抜ける。

 あまりに酷すぎて。

「なんだよ? 今更説教? あんたになに言われたって、変えるつもりないし。俺はこれで楽しいんだって」

「いう割には、顔が死んでるな…」

 俺はしゃがんだまま壱輝を見あげる。壱輝の肩がピクリと揺れた。俺は立ち上がって壱輝を見据えると。

「知らない間柄だったら、別にいい。赤の他人だ。けど、今は壱輝と知り合った。だから言う。自分を堕とすな。もっと、大事にしろよ」

「は? なに訳の分からないこと言ってんの? 堕とすってなに? 自分を大事に──とか、笑える」

「そんな死んだ目をして、夜遅く帰ってきて、ろくに飯も食わなくて。香水の匂いに、酒臭いしタバコの匂いはするし。心配しない方がおかしいだろ?」

「おやじは一度も心配しなかったけど? これでいいと思ってんだろ」

「父親にどう思われようと、誰にどう思われていようとどうだっていい。俺が、心配なんだ」

「……」

「壱輝が楽しそうなら、百歩譲ってそう言う生き方もあるだろうと思うだろう。けど、壱輝はまったくそうじゃない。まるで自分の事なのに他人ごとで投げやりだ。誰が心配しなくとも、自分のことくらい、自分が大事にしてやれよ。このままだと、壱輝は疲れて壊れるだけだ。そのままでいいとはちっとも思わない」

 壱輝はじっと睨みつけて来る。ここで怯みなどしない。

「うぜー…」

「うざくて結構。壱輝に幾らホモだのオカマだの蔑まれようと、俺は言う事は言う」

「……」

 俺はきっちり壱輝の目を見つめると。

「壱輝に必要なのは、自分自身で自分を大切に扱うことだ。お前がそれをやらなかったら、誰がやるんだよ? 自分の事を一番分かっているのは自分だけだろ? もし、分からなかったら、壱輝に耳の痛くなることを言う奴の意見を聞け。それが的を得ているから耳が痛くなる。それが自分に欠けていることだって分かっているから鬱陶しく感じるんだ。俺の言うことがうざったいなら、それが壱輝に欠けている事だからだ」

 壱輝は仏頂面のままだ。

「壱輝。もう自分を傷つけるような事をするな。今の状況から救えるのは自分だけだ」

「わけ分かんねぇ…」

 壱輝はプイと顔を背け、部屋に戻って行った。

 本当に飯は食ったのか、シャワーは浴びたのか。あんな香水臭い体で部屋に戻ったら、初奈が嫌がるだろうに。

 色々、言いたいことはほかにもある。
 けれど、兎に角今は自分を大事にしろと、それだけ言いたかった。

+++

 鬱陶しい。

 それが壱輝の思いだった。なんやかんやと干渉してくる大和。その鬱陶しい顔が目の前にちらついて、前と同じ事をしていてるのに落ち着かない。
 その日の相手は時々会う程度。既婚者で旦那が不在の時だけ、壱輝を呼び出す。
 今日は急な呼び出しだった。通信アプリに、『会いたい』とハートマーク付きのスタンプが送られてくる。少し、面倒臭いと思った。以前なら気にせず会っていたと言うのに。

「壱輝―! 放課後、新しくできたラーメン屋いかね?」

 五時限目の終わり、知高が声を掛けて来た。今日は所属しているサッカー部が休みらしい。さて、どうしようかと迷ったが、先に連絡のあった女に会えると返事をしたばかりだった。

「…今日はだめだ。明日ならいい」

「えー! 明日は部活だってぇ。ちぇー。いいよ、翔と二人で行くし」

 と、傍らにいた翔も。

「あ、俺も今日は塾あるからダメだ」

「えぇ! 信じられねぇ。ふられたー! 二人にふられたー! ラーメンの口だったのにぃ…」

 そんな知高に壱輝は少しだけ笑うと。

「今度な。…そう言えば、今いるところ奴が家に遊びに来てもいいって前に言ってたな。来るか?」

「マジ? 行く行く! いつにする?」

「いつでもいいんじゃね。なんか連絡入れてくれればいいような事言ってたし」

「なら、来週の金曜日だな。塾がない」

 翔が端末のカレンダーを確認しながら、会話に入ってくる。知高も大きくうなずくと。

「俺も大丈夫! てか、それって泊まりもあり?」

「いいって言ってたな…」

「うし! じゃ、よろしくな! ちゃんと頼んどけよ?」

 知高は嬉しそうだ。以前のキャラ弁以来、大和の事がどうも気になっているらしい。かわいい女性が作っているとでも思っているんだろう。そこは誰が作ったか、は言っていないのだ。

 相手を知ってびっくりだろうな。

 きょとんとした大和の顔を思いだす。ふっと笑うと、それを見ていた翔が。

「お前さ。最近、よく笑うな?」

「…は?」

「前はそんな簡単に笑わなかったけど。よっぽど今の環境がいいんだろうな? 俺も家に行くの楽しみだな」

 翔は悪戯っぽい笑みを浮かべてみせた。

 そんなこと、あるだろうか?

「気のせいだって」

 変わったつもりはない。それでも翔は面白がるような顔でこちらを見ていた。

 そうして放課後。
 女とは適当なホテルで落ち合って、することだけして別れる予定だった。
 食事をしたり、ショッピングをしたり、デートらしきことは一度もしたことはないし、互いにその必要も感じていなかった。そう言う為に会っているわけではなかったからだ。
 十才は年上だろう。年下の壱輝がかわいいらしく、会えばいつもサービス精神旺盛に対応してくれた。その日もなかなか離そうとせず。
 することだけして帰ろうと思っていた壱輝は、足止めを食らう。
 女は普段にもまして求めてきた。やる気満々な様子に顔をしかめつつも、身体は反応する。求めるまま本能に従った。
 壱輝にしてみれば、ただ互いに生理現象の処理をしているだけ、満足できればいい、それだけだった。女もその程度だろう。

「なんだ。朝までいないの? もっと一緒にいたいのに…。旦那、あさってまでいないのよ」

 事が終わって、吸いかけの不味い煙草を灰皿に押し付け──煙草の美味しさは、正直分からない。格好つけで吸っているに過ぎなかった──ベッドから立ち上がれば、寝たままの女は、長い髪を弄びながらそう口にした。
 甘えた口調に、かわいらしさを見出す奴もいるのだろうが。

「…帰る」

「あ、そっか。いろいろ、あるんだもんね?」

 女は意味ありげに笑った。
 壱輝が高校生と分かっているはずだ。色々には学校に通う必要があることも含まれているはず。
 だが、そこは何も言わない。煙草を吸おうがアルコールを口にしようが。相手が高校生だろうと構わない。自分が楽しめればそれでいいのだ。それは壱輝と同じだった。
 女が壱輝の他にも遊んでいるのは分かっている。いつだったか、ほかの遊び相手とホテルで互いにかち会って、こんなこともあるのねと、笑っていたのを思いだす。本当に堕ち切った関係だ。

 もう、用はない。

 シャワーもろくに浴びずに、そこを後にした。
 いつまでも女のつけた香水の、甘ったるい匂いが身体から離れなかったが、それよりも早く、そこから離れたかったのだ。

+++

 外に出ると、しんと冷えた空気が辺りを包んでいた。夜の街を歩くのは、すっかりアルコールにやられた大人ばかり。
 その中を壱輝は、居候している家に向かって足早に歩いていた。今ならまだ終電に間に合う。
 前にはそんな事は気にしなかった。だらだらと求められるまま、朝まで一緒にいただろう。けれど、例の大和らの家に住む様になってから、それが出来なくなった。
 いや、やり辛くなったと言った方がいいのかもしれない。時間にうるさく、少しでも帰りが遅くなれば端末に連絡が入った。今日も入っていることだろう。分かっていたから見ていない。
 それが鬱陶しく、知高や翔と遊ぶとき以外は、夕飯に間に合うよう帰る様にしていた。
 ちなみに、二人と遊ぶときは前もって連絡を入れる。入れておけば面倒なやり取りは避けられたからだ。それでも、夕飯を過ぎるのは稀で。
 今日の様に突然呼び出されると、連絡の仕様に困った。女友だちでも彼女でもなく。女と遊んでくるから遅くなる、など簡単には言えない。
 結局、どう連絡していいかわからず、また適当な嘘もつけず、連絡も入れずに今にいたる。きっと、帰りの遅い壱輝にやきもきしている事だろう。

 調子が狂うっての。

 おやじにそんな心配をされたことはない。
 と言うか、壱輝がそんな状態なのも知らないだろう。祖父母がいた頃はそこまで素行が悪くなかったから、心配させることはなかった。誰かに待たれる、という経験が今までなかったのだ。
 もしかしたら、初奈は待っていかもしれないが、どうしようもない兄の素行は分かっていたらしく、そんな素振りを見せることはなかった。

 だいたい、こんな兄貴。いてもいなくても一緒だろうしな。

 初奈はいつも黙って壱輝の傍にいた。どんなに遅く帰ってきても、文句も言わず。寂しいと言われたこともなかった。いや、言えずにいただけなのかもしれない。
 考えてみれば、初奈も誰かに甘えたことは少ないだろう。祖父母には随分懐き可愛がられていたが、それ以降は一人だ。壱輝よりずっと独りぼっちが長かったはず。
 初奈にしたら、ここに来たことは良かったのだろう。この家には誰かどうかいた。
 大和が事務所にいる時は、通いの倖江という女性がいた。亜貴の母方の祖母らしい──岳とは母親が違うとこの時知った──七十代の女性は祖父母を思い起こさせるらしく、初奈はすぐに懐いた。何も言わないが見ていればそれがすぐわかる。
 大和の他には亜貴や真琴にも。はにかみながらも、優しい二人に心を開いているのが分かる。特に亜貴はお気に入りらしかった。
 初奈は今、とても幸せだろう。今まで、こんなに沢山の人に囲まれて過ごしたことはないはずだ。ひとり、暗い部屋にぽつんと勉強してる姿を思い起こす。

 初奈には良かったんだろうな。けど、俺には。

 身体からは女のつけていた香水が香る。
 これが今の自分だ。すっかり汚れて、ただれて。いきなり、優しい環境を突きつけられても、素直に受け入れることは難しかった。
 いつものように家で出迎えてくれた大和に、今までの自分を全て否定された。というか、訂正された。自分を大事にしろと。

 自分を大事にしろ? 

 そんなこと、考えたこともなかった。ただ、好きな様に生きてきただけ。自分の居場所を探して、俺はここにいると主張しながらあちこち彷徨い歩いて。
 けれど、居場所は見つからず。辛うじて似たもの吹き溜まる場所に身を寄せた。
 そこに寄ってくるのは大抵、まともな輩じゃなく。

 それは俺がそうだったからだ。

 自分を大事にしない、人生を投げている奴ばかり。それは壱輝自身。壱輝の鏡。壱輝は自分自身に囲まれて、更に鬱屈した日々を送っていた。
 それで、気が晴れるわけもなく。

 自分を助けるのは自分自身。

 そんな風に考えたこともなかった。いつかきっと、誰かが自分をここから見つけ出し、救い出してくれる、そんな甘いことを考えていた。

 まるっきり子ども、だ。

 大和に言われ気付く。

 俺を救うのは、俺自身。

 壱輝は、その言葉を自分の中で繰り返した。
 部屋に戻ると、気配に初奈が目を覚ました。布団がもぞと動く。

「お兄ちゃん…?」

「ごめん。起こした」

 と、やはり自身についた甘ったるい匂いが気になり、

「シャワー浴びてくる。お前は寝てろ」

「うん…」

 布団に潜り込んだ初奈は眠そうにまた目を閉じた。その表情はどこか充たされているようにも見えた。

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