25 / 49
2.デュラはんと機械の国の狂乱のお姫様
俺氏、突然拉致られる。
しおりを挟む
ものごっつ痛い。ごんごんに痛い。
俺は鳥カゴの中でめちゃめちゃ頭をぶつけていた。知らん奴らにカゴ奪われて全速力で持ち去られ、つまりその間俺の頭は狭いカゴの中をしっちゃかめっちゃか跳ね回った。パイナップル再来、にはなっとらんやろうけど、ともあれ痛いん。ちょっと涙出るん。
「それでコレはなんなのか」
「わかりかねます」
「死体を加工したものなのか?」
「死体に魔力を保持できるものでしょうか? 魔力は魂に宿るものと習いますが」
訪れる沈黙。漂う紅茶の香り。ええ香りやなぁ。
拉致られた先はおそらく誰かの家で、メイドさんかわからんけどようけ人がおりそうやった。やから多分ある程度の大きな家。で、多分今は人払いしてて俺を攫った奴とその主人か依頼主的な奴の2人きりやと思う。
そんで俺はとりあえず目え瞑っとった。状況がわからん。死体と思われとるんやったらそのほうがええかもしれん。
「黒髪ということは異世界人の頭だろうか。それであればひょっとしたら何らかの特殊能力で魔力を保持しているのやもしれぬ」
「わかりません。首元は断面が露出するわけでもなく皮膚で繋がっているように見えますから何らかの処置が施されているものと思われます」
「ええい、わからぬわからぬでは埒が明かん。やはりカゴは開かぬのか?」
「機甲師団が封印しているようです。解析には時間がかかるやもしれません」
へぇ。このカゴってそんな特殊なカゴなんか。入っとる限りでは特別な感じはせんけど。
ともあれギュウて目を瞑っとったけど、話を聞く限りこのカゴを開ける方法がわからんらしい。
それにしてもボニたんは大丈夫やろうか。どう考えてもボニたん1人で逃げ切れるとは思えへん。いや、今のところは多分大丈夫やろ。情報源に早々簡単に危害を加えたりはせんと思う。おそらく。
「それからあの保持者は改めたか?」
「それがステータスカードを所持しておりませんでした」
「所持してない? そんな馬鹿な。どうやって入領したのだ」
「所有物を改めてキーレフにも問い合わせをしましたが、入領証明書で入領しています。名前はボニ・キウィタス。アブシウム教国から観光目的での入国です」
「証明書? 子どもでもあるまいし何故そんなもので入国を……?」
リシャたんの前では咄嗟に本名を言うてしもうたけど、ボニたんはなんたらいう長い名前ではなく村長が発行した証明書でボニ・キウィタスという名前で入国した。普通は魔女様いうんが発行する所持者の素性を証明するステータスカードを示したら領境やら国境いうんはパスできるらしいん。
やけど、どうやらあの長い名前は教会で信仰している天使か何かの大事なもんの名前で、ひと目で教会の関係者とわかるらしい。ひと聞き?
さすがにボニたんが生きとるいうんを教会にバレるんはマズいから出生した村の証明いうことで村長さんに発行してもろた。ステータスカードをもらう前の小さい子どもが出国とかする時はその証明書を使うらしい。
俺らは急に襲われた。
ボニたんはリシャたんに協力するか随分悩んどった。俺にはようわからんけど教会の秘密いうんを喋るんは何かマズいらしい。でも教会から殺されそうになっとったのになんで義理立てしよるんやろ。そのへんはようわからん。それにボニたんはこういうたらなんやけど、そんなに信心深いわけではないような気はする。
村では教会で祈りを捧げたり村人にええ話をしよったりしとったけど、なんとなくお仕事感でしよった気はするし。
そうそう、それでボニたんは真面目やから何か居候しとんが苦になっとったんやろうなぁ。村でもせんでええ言われとるのに養殖池の管理人しよったし。やから色々見て回って、まあとりあえず機械の体いうんがどういうもんかがだいたいわかったからそろそろ帰ろ思うたんやろ。
いつもどおりコレドと晩御飯を食べて宿舎に戻った後、妙に申し訳無さそうな声で聞かれた。
「デュラはん、僕はそろそろ村に帰ろうと思うんだ」
「結構見て回ったしねぇ」
「ごめんねデュラはん。君が体を欲しがっているのはわかってる。けれどもやっぱりすぐに作るには無理そうだし僕は秘儀は教えられない。だから元の領域に帰りたい」
「ええで。ほな帰ろうか」
「えっいいの?」
「まぁ秘儀はようわからんけど体は俺の事情やし、ボニたんが嫌なことはようせんよ」
「ほんと、ごめんね」
けれども上手くいかんような気はしていた。
午前中の実験の時にリシャたんやコレドに聞いたけど、最初に俺らを襲ってきた大きな地竜は俺から漏れる魔力に寄り集まって来たらしい。今はこのあたりの竜は狩り尽くす勢いらしいけど全部ではないから少なくとも魔力が検知されないような目処がたつまでは滞在したほうがええらしい。
そう言われたらそうなんかな、いう気はするんやけど俺は相変わらず魔力いうもんがようわからん。よう聞いたら生きとるもんは自然に帯びとるもんらしいから、それは呼吸とかそういうもんやない? 思うて息を止めてみたけど関係ないみたいで、その魔力やらいうもんは俺が動いたら漏れてるらしい。
まあ俺はもともと俺は息しよらんしな、多分。でもなんか液漏れしとるみたいで嫌なんやけど。
そんなわけで申し訳ないけどこっそり出て行こういうことになって、宿舎を出てちょっとだけ行ったところで暗がりに隠れていたやつにいきなり襲われた。多分計画的なやつ。
けどリシャたんたちもおそらく補足してる、はず。俺らの周りには常に誰かおったわけやから。
このへんボニたんは抜けとるんよな。
俺は鳥カゴの中でめちゃめちゃ頭をぶつけていた。知らん奴らにカゴ奪われて全速力で持ち去られ、つまりその間俺の頭は狭いカゴの中をしっちゃかめっちゃか跳ね回った。パイナップル再来、にはなっとらんやろうけど、ともあれ痛いん。ちょっと涙出るん。
「それでコレはなんなのか」
「わかりかねます」
「死体を加工したものなのか?」
「死体に魔力を保持できるものでしょうか? 魔力は魂に宿るものと習いますが」
訪れる沈黙。漂う紅茶の香り。ええ香りやなぁ。
拉致られた先はおそらく誰かの家で、メイドさんかわからんけどようけ人がおりそうやった。やから多分ある程度の大きな家。で、多分今は人払いしてて俺を攫った奴とその主人か依頼主的な奴の2人きりやと思う。
そんで俺はとりあえず目え瞑っとった。状況がわからん。死体と思われとるんやったらそのほうがええかもしれん。
「黒髪ということは異世界人の頭だろうか。それであればひょっとしたら何らかの特殊能力で魔力を保持しているのやもしれぬ」
「わかりません。首元は断面が露出するわけでもなく皮膚で繋がっているように見えますから何らかの処置が施されているものと思われます」
「ええい、わからぬわからぬでは埒が明かん。やはりカゴは開かぬのか?」
「機甲師団が封印しているようです。解析には時間がかかるやもしれません」
へぇ。このカゴってそんな特殊なカゴなんか。入っとる限りでは特別な感じはせんけど。
ともあれギュウて目を瞑っとったけど、話を聞く限りこのカゴを開ける方法がわからんらしい。
それにしてもボニたんは大丈夫やろうか。どう考えてもボニたん1人で逃げ切れるとは思えへん。いや、今のところは多分大丈夫やろ。情報源に早々簡単に危害を加えたりはせんと思う。おそらく。
「それからあの保持者は改めたか?」
「それがステータスカードを所持しておりませんでした」
「所持してない? そんな馬鹿な。どうやって入領したのだ」
「所有物を改めてキーレフにも問い合わせをしましたが、入領証明書で入領しています。名前はボニ・キウィタス。アブシウム教国から観光目的での入国です」
「証明書? 子どもでもあるまいし何故そんなもので入国を……?」
リシャたんの前では咄嗟に本名を言うてしもうたけど、ボニたんはなんたらいう長い名前ではなく村長が発行した証明書でボニ・キウィタスという名前で入国した。普通は魔女様いうんが発行する所持者の素性を証明するステータスカードを示したら領境やら国境いうんはパスできるらしいん。
やけど、どうやらあの長い名前は教会で信仰している天使か何かの大事なもんの名前で、ひと目で教会の関係者とわかるらしい。ひと聞き?
さすがにボニたんが生きとるいうんを教会にバレるんはマズいから出生した村の証明いうことで村長さんに発行してもろた。ステータスカードをもらう前の小さい子どもが出国とかする時はその証明書を使うらしい。
俺らは急に襲われた。
ボニたんはリシャたんに協力するか随分悩んどった。俺にはようわからんけど教会の秘密いうんを喋るんは何かマズいらしい。でも教会から殺されそうになっとったのになんで義理立てしよるんやろ。そのへんはようわからん。それにボニたんはこういうたらなんやけど、そんなに信心深いわけではないような気はする。
村では教会で祈りを捧げたり村人にええ話をしよったりしとったけど、なんとなくお仕事感でしよった気はするし。
そうそう、それでボニたんは真面目やから何か居候しとんが苦になっとったんやろうなぁ。村でもせんでええ言われとるのに養殖池の管理人しよったし。やから色々見て回って、まあとりあえず機械の体いうんがどういうもんかがだいたいわかったからそろそろ帰ろ思うたんやろ。
いつもどおりコレドと晩御飯を食べて宿舎に戻った後、妙に申し訳無さそうな声で聞かれた。
「デュラはん、僕はそろそろ村に帰ろうと思うんだ」
「結構見て回ったしねぇ」
「ごめんねデュラはん。君が体を欲しがっているのはわかってる。けれどもやっぱりすぐに作るには無理そうだし僕は秘儀は教えられない。だから元の領域に帰りたい」
「ええで。ほな帰ろうか」
「えっいいの?」
「まぁ秘儀はようわからんけど体は俺の事情やし、ボニたんが嫌なことはようせんよ」
「ほんと、ごめんね」
けれども上手くいかんような気はしていた。
午前中の実験の時にリシャたんやコレドに聞いたけど、最初に俺らを襲ってきた大きな地竜は俺から漏れる魔力に寄り集まって来たらしい。今はこのあたりの竜は狩り尽くす勢いらしいけど全部ではないから少なくとも魔力が検知されないような目処がたつまでは滞在したほうがええらしい。
そう言われたらそうなんかな、いう気はするんやけど俺は相変わらず魔力いうもんがようわからん。よう聞いたら生きとるもんは自然に帯びとるもんらしいから、それは呼吸とかそういうもんやない? 思うて息を止めてみたけど関係ないみたいで、その魔力やらいうもんは俺が動いたら漏れてるらしい。
まあ俺はもともと俺は息しよらんしな、多分。でもなんか液漏れしとるみたいで嫌なんやけど。
そんなわけで申し訳ないけどこっそり出て行こういうことになって、宿舎を出てちょっとだけ行ったところで暗がりに隠れていたやつにいきなり襲われた。多分計画的なやつ。
けどリシャたんたちもおそらく補足してる、はず。俺らの周りには常に誰かおったわけやから。
このへんボニたんは抜けとるんよな。
0
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる