君と歩いた、ぼくらの怪談 ~新谷坂町の怪異譚~

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4章 僕らと神津市の怪談 ~向日葵のかけらと腕だけ連続殺人事件~

『くまにゃん』の腕

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【右腕?】腕だけ連続殺人事件速報【左腕?】 Part6

1: 神津名無市民 05/26(日) 22:19:51 ID:xsbk1w0vP4
まとめ
1腕目:5/19 男 深夜 神津、住宅街
2腕目:5/21 女 夕方 辻切センター、繁華街ではないらしい
3腕目:5/24 女 深夜~翌朝 神津、南口繁華街
4腕目:5/26 男 夜半~早朝 逆城近辺? NEW 

前スレ/【右腕?】腕だけ連続殺人事件速報【左腕?】 Part5

2: 神津名無市民 05/26(日) 22:21:01 ID:8whG0TicT
2
4腕目は逆城でも二東山あたりときいたぞ

4 神津名無市民 05/26(日) 22:26:08 ID:OTGbphCWD
>>2
それどこ情報

5 神津名無市民 05/26(日) 22:30:08 ID:8whG0TicT
>>4
発見者が俺友の近所の人っぽい
朝早くにコンビニの駐車場におちてたらしい

6 神津名無市民 05/26(日) 22:33:59 ID:6fij8Mj8E
>>5
何そのご近所ホラー
トラウマ確定

7 神津名無市民 05/26(日) 22:36:27 ID:r7kcXdVhp
ひえっ

12 神津名無市民 05/26(日) 22:38:08 ID:8whG0TicT
なんか腕が布につつまれてたらしい

17 神津名無市民 05/26(日) 22:42:08 ID:a96rk8Zb0
なんぞその布って

26 神津名無市民 05/26(日) 22:45:12 ID: 9Tl1Gag2/
>>17
街BBSで見つかった腕は黄色いひまわりの柄の布に包まれてるってうわさしてる

31 神津名無市民 05/26(日) 22:48:21 ID:3wpm04jBZ
ますます猟奇的な感じキター

389: 神津名無市民 05/27(月) 10:30:21 ID:9Tl1Gag2/
URL⇒

390 神津名無市民 05/27(月) 10:32:19 ID:TwhG08Tic
>>389
ふぁっ!?

393: 神津名無市民 05/27(月) 10:33:30 ID:TwhG08Tic
>>389
通報した
グロ注意 開くな

394: 神津名無市民 05/27(月) 10:33:52 ID:rpkcXd7Vh
ひえっ

402: 神津名無市民 05/27(月) 11:12:44 ID:WAG6ItpAd
>>393
なになになんなの
あけちゃだめ?

405: 神津名無市民 05/27(月) 11:33:01 ID:rpkcXd7Vh
よくわからんけどなんか血塗れになった腕の写真
肘のとこを布で巻いてるからコラかもしれん
本物だったらやばい

409: 神津名無市民 05/27(月) 11:33:01 ID:hkcXWArpG
血ぼたぼたですやん

◇◇◇

「12時くらいには写真は消えてたけど、写ってた腕は『くまにゃん』の腕っぽかったし『くまにゃん』のブレスレットしてたの」

 そのあとはしばらくBBSは荒れていた。
 写真を思い出したのか、キーロさんは目の端に涙をにじませて顔を青くしている。ナナオさんはそっと机の上に置かれたキーロさんの手を握り、キーロさんは不安にあふれた目でナナオさんを見上げた。
 やっぱだいぶん無理して明るく振る舞っていたのかも。

「ねぇ、私も殺されちゃうのかな」
「大丈夫だよ、私らがいるだろ」

 ナナオさんはキーロさんの肩をガシッと抱いて、いつも通り太陽みたいに笑う。
 身長もナナオさんの方が高いし、ナナオさんのほうがお姉さんっぽい。ようやく落ち着いたのか、キーロさんはありがとうと小さくうなずいた。

「それにしても共通点はキモオフにいったことだけか? 『くまにゃん』はもともと知り合いだったんだろ? なんかないのかよ、他の共通点。他のやつは知り合いじゃねえのか?」
「共通点……『みちとし』さんと『サニー』さんは単独で廃墟に行くことはあってもキモオフは初めてっていってた。『みちとし』さんと言えば一番最初の腕の人は『みちとし』さんらしいの。それてまみんな初めて会ったみたい。あと今生きてるのは『よっち』さんと『サニー』さんと私だけ」
「そういや言ってた一昨日の奴は?」
「一昨日の腕は『神津ペッカー』さんだけど、この人は『出会い』BBSのほうの常連ぽくて、たぶん廃墟自体も初めてだと思う。廃墟探検用の準備、懐中電灯とか動きやすい格好とか、そういうの全然わかってなかったみたいだし」

 いまのところ、これ以上の共通点はわからなさそう。本当にキモオフ参加者が狙われているのか、よくわからない。

「いずれにしても今わかる共通点は『逆城観光ホテル』だけだよね。一度調べに行った方がいいのかな」

 キーロさんは僕の言葉にビクッとした。でも今のところ他に手掛かりは思いつかない。もし本当に狙われてるならなんとかしないといけないでしょう?

「キーちゃん大丈夫。明日昼間に一緒に行こ。それにボッチーがいればホテルが原因かどうかはわかる、と思う」

 ナナオさんは、だよな? という顔で僕を見る。
 この怪異が始まったのは5月。僕が新谷坂の怪異の封印を解いてからあとだ。これまで『逆城観光ホテル』に怪奇現象が発生していないなら原因は僕が解放した怪異である可能性がある。
 僕が解放した怪異と僕は、封印から紡がれる細い糸でつながっている。新谷坂の怪異であるならば僕はすぐにわかるはず。

「たぶん、わかると思う。危険だと思ったらすぐ逃げるから大丈夫」

 なるべくキーロさんが落ち着くようにゆっくりと語りかける。ナナオさんもキーロさんの背中をよしよしとさすっている。
 明日は土曜日。キーロさんは今日はナナオさんの家に泊まって明日一緒にホテルへ向かうことになった。

 そういえば、と思って少し落ち着いたキーロさんに僕は尋ねる。

「廃墟から帰るときに何か持って帰ったり廃墟を壊したりはなかったの?」

 呪われるパターンで一番多いものはこれだと思う。

「……思い当たるものはないかな、他のグループはわからないけど。少なくとも私と『くまにゃん』さんと『よっち』さんのグループはふつうに廃墟を見て回っただけでそんなことはしてないと思うよ」

 キーロさんはふとなにかを思い出したように、視線を宙にさまよわせる。

「あ、持って帰ったといえば『サニー』さんにストラップもらったよ。『サニー』さんはストラップ職人さんで宣伝のついでっていってみんなに配ってたの。その時、注文歓迎って『サニー』さんの連絡先教えてもらったの」

 そういって血のように赤い欠片に銀色の金属がツタのように絡みついた小さなストラップをカバンから取り出して見せてくれた。

「えっこの色、めちゃめちゃ高いやつだぞ」

 そうなの?
 アクセサリーは値段が全然わからない。

「あ、うん。『でりあ』さんもそう言ってた。血赤珊瑚っていって最高級なんだってね。でもこれは砕けたりした価値のないものだから、安く仕入れて作ってるんだって、この欠片も小さいから安いっていってた」

「へぇ、私も注文してみようかな」

 でも、僕はそう言うナナオさんを止めた。
 このストラップからはほんの少しだけ新谷坂の怪異の匂いがした。この3人の中で封印に半分以上囚われている僕にだけわかる感覚。
 小さな赤い欠片からうっすら感じる薄い怪異の糸はどこか遠くにつながっているようだった。
 やっぱり腕だけ殺人事件の犯人は新谷坂の怪異で、キーロさんは狙われているの?
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