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疾走前夜
しおりを挟む両親が忽然と姿を消した。思い返せば、あの夜がきっかけだった。
父と母が部屋中のものをひっくり返し、扉は空いていたが私は怖くて部屋には入ることが出来ず廊下のすみで、両親が大声で言い争っている会話を聞いていた。手足を動かせず、声も出すことも出来ず、自分の体じゃないような感覚だった。
早口で聞き取れなかったが、あの言葉だけははっきり覚えている。今でも耳を離れない。母の甲高く焦りや恐怖、怯えた声色のあの言葉。
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