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15話 一新
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私は細剣を振るカレンをジッと見つめていた。
その視線に気が付き、
おかしいかと聞いて来るがそういう訳ではない。
何を教えるべきか悩んでいた。
私に憧れた様で、剣を教えてと言って来た。
噂に聞くエルフだからなのか、
魔素の扱いが上手く、魔法の才能もある。
このまま行くと、私と同じ魔法剣士になるだろう。
カレンの得意な属性は風。
まだ初級から下級しか使えない。
ウインドスラッシュなどが下級だ。
発動は詠唱、魔法陣、魔道具の方法がある。
威力は高くなるが、詠唱はあまり人気が無い。
言葉に出しても心で唱えても良いのだが、
どちらにせよ集中力がいるからだ。
魔法陣は強力な魔法を発動の際に見かける。
一人でも使う事もあるが、
複数人で協力できる事が一番の利点はだろう。
上級以上の超級や禁忌階級の魔法を使用する際に見かけることもある。
紛らわしいが、魔法の禁忌階級は、
呪術の禁忌とは違う。
最初の古代の人たちがそう名付けた。
一般的なのは魔道具。
武器や装飾品に魔法文字を刻む。
それを媒介に魔法を発動させる。
魔法陣と本質は同じである。
それと特化させる事も出来るが、
汎用性的に使う方が人気である。
自身で半分ほど構築が必要となる、
補助タイプの魔道具を使用する事が多い。
私とカレンは武器を媒体とし、
半分は自身で構築している。
媒体が無い時は壊れた時は、
仕方が無いので詠唱をする。
私が最近魔導書で覚えた魔法は、
この法則が完全には当てはまらない。
まだ知らない、別の法則が存在しているらしい。
他。魔闘気を纏うと、
身体能力が向上する。
誤解を恐れずに言うなら
魔素は持続力、
魔力は強化の向上量に関係する。
常に魔闘気を纏うのは、
魔素の枯渇に繋がり危険だ。
なのでどのくらい魔素を使うか、
どのくらい強化するかを調整する訓練だ。
精神を鍛えるために瞑想をしたり、
片足しか乗せられないほどの石から石に飛び移り、
川に落ちない様に一定量の強化を維持したする。
魔力が多いと石が割れ川に落ちる。
その他には腕相撲や組手など色々な方法で鍛える事も可能。
実戦ではこれに思考を巡らせながら、
さらに魔法を使用し、動くのでかなり難しい。
これを怠るとすぐに魔素切れを起こす。
今までは常に全力しかやって来なかったため、
カレンを鍛えながら私は会得した。
しかし、これに頼り過ぎても危ない。
魔素を乱す魔道具があるので、
私は素の筋力も鍛えている。
まだ幼いカレンにそこまでするのは嫌である。
スパルタ過ぎる。だが、強く育って欲しいという願いもある。
浄化可能な呪いはカレンに任せるが、
呪いを自分に移すのは禁止にしている。
最低限の対策、教会で魔道具を幾つか購入してある。
エルフは長命。
人族の私が先に死んでしまうだろう。
だから一人でも大丈夫なように鍛えたい。
基礎は反復させるとして……。
色々な考えが浮かび、
いまいち方針が定まらない。
私は日々カレンの事で悩んでいた。
もちろん嫌という意味では無い。
(人を育てるって難しい……)
カレンの元気な顔を見て思う。
もう少し力を抜いて行こう。
辛い過去を忘れさせ、
この子の失った時間を取り戻していきたい。
私の僅かに陰る表情を見て、
カレンが大丈夫かと、心配そうにしていた。鋭い。
私は一つ言い出せない事があった。
カレンは故郷に帰りたいのだろうか。
それを聞いたらもう二度と会えない気がした。
「ねぇ、アルマ」
「ん?」
「私はアルマとずっと一緒に居たい」
「私もよ。カレン……私の事は気にせず、やりたい事を遠慮なく言って」
「うん!」
カレンの勘の鋭さには脱帽した。
お互いに心の整理が出来るまで、
エルフの故郷はお預けにしよう。
最期に軽い試合をして、
攻撃と防御、反撃の練習をする。
いい汗をかいた所で今日の訓練を終えた。
もう少しで日が暮れる。
馬に近寄るとポクポクと歩いてきて、
鼻をすり寄せて来た。
暫く撫でた後に騎乗する。
そして、私たちは走り出す。
拠点に戻ろうと走っていると、
遠くに村が見えた。
何か様子がおかしい。
騒いでいる大声が聞こえ、煙が上がっていた。
村の人が小さい魔物、ゴブリンに襲われていた。
私とカレンは直ぐに反応し、急加速する。
かなり遠いので魔法で対処しようと考えた。
ファイアーボールじゃ効率が悪すぎる。
魔力を込め、出力を上げると村人も巻き込む可能性があるし、
辺り一面が焼け野原になり、危険だ。
ここで思い出した。
少し前に教会の書庫で見つけた魔導書。
手に取ると何故か覚えた魔法《ヴァノスフロガ》を使う。
紫の雷が一瞬で魔物に到達する。
それに触れた瞬間、雷で痺れ動けなくなり、
雷に触れた魔物から火柱が上がり焼き尽くす。
魔物は火だるまになって絶命した。
その雷はそれだけで消えず、
辺り一帯を縦横無尽に走り、
次々と魔物を倒していく。
私は驚く。何て不思議な魔法。
軽い魔力でも充分に威力が出せる。
最初は良いと思ったが、
燃えた際の範囲が予想以上に広く、
強力過ぎるので、《マジックキャンセル》を使い、
魔法を一度消した。これなら細かい調整も出来そうだ。
大半の魔物を倒す事に成功したので、
後は細々としているところを狙う。
「アルマ! 凄い! どうやって二属性を混ぜたの!?」
「……ま、まだ魔物は沢山いるよッ。油断しちゃだめ!」
「う、うん!」
カレンも《ウインドスラッシュ》でゴブリンを切り刻む。
まだ少し離れていたので、《エトスブロンテ》を発動する。
雷系等の魔法で無数の雷の小さな球体が現れた。
それを魔物に放つと感電して動かなくなった。
その間に接近し、
魔物を普通の剣で切り刻んで数を減らしていく。
カレンも細剣と魔法を使い、上手く戦っていた。
(うん。その辺のゴブリンならもう大丈夫みたいね)
十分以内に魔物を全て全滅させた。
通りかかったのが魔物の襲撃直後のため、
被害は軽傷者のみで済んだ。
回復魔法で傷を癒していく。
村人が集まり、感謝を述べていく。
五人組の子供が憧憬の眼差しを向けていた。
彼等は元気が良く、
私たちの戦いの様子を一生懸命話して、
称賛していた。自然と皆の意見は一致し。
将来、私たちみたいになりたいと言った。
私はハッとした。五歳の頃の記憶が過ったからだ。
だが、そのパーティーの結末は。
私は何を言うべきか迷った。
パーティーはやめとけ、とか。
呪術は絶対に駄目だとか。
騎士団の方が良いだとか。
あらゆるアドバイスが頭をよぎる。
でもその時、ふとカレンが見えた。
確かに辛い事は沢山あった。
だけど私はカレンに会えて良かった。
そこだけは絶対に譲れない。
そこだけはアレ等に感謝するべきなのだろう。
だから一言だけ子供たちに伝えた。
「仲良くね」
「うん、おねえちゃん!」
「当たり前だよ!」
「僕たち仲間だぜ!」
子供たちは嬉しそうに笑っていた。
馬に騎乗し、村を去り行く際、
皆が手を振っていた。
それを背に私たちはギルドに戻り、
依頼とこの村の事を報告する。
帰宅道中でカレンが聞いて来た。
何か良い事でもあったのかと。
「そうね。私は、小さい頃に自分が憧れた……そういう人になれたんだな、って」
「そっか。アルマが元気だと、私も嬉しい!」
馬をゆっくりと寄せると私はカレンの頭を撫でた。
そして、私たちは凱旋する。
その視線に気が付き、
おかしいかと聞いて来るがそういう訳ではない。
何を教えるべきか悩んでいた。
私に憧れた様で、剣を教えてと言って来た。
噂に聞くエルフだからなのか、
魔素の扱いが上手く、魔法の才能もある。
このまま行くと、私と同じ魔法剣士になるだろう。
カレンの得意な属性は風。
まだ初級から下級しか使えない。
ウインドスラッシュなどが下級だ。
発動は詠唱、魔法陣、魔道具の方法がある。
威力は高くなるが、詠唱はあまり人気が無い。
言葉に出しても心で唱えても良いのだが、
どちらにせよ集中力がいるからだ。
魔法陣は強力な魔法を発動の際に見かける。
一人でも使う事もあるが、
複数人で協力できる事が一番の利点はだろう。
上級以上の超級や禁忌階級の魔法を使用する際に見かけることもある。
紛らわしいが、魔法の禁忌階級は、
呪術の禁忌とは違う。
最初の古代の人たちがそう名付けた。
一般的なのは魔道具。
武器や装飾品に魔法文字を刻む。
それを媒介に魔法を発動させる。
魔法陣と本質は同じである。
それと特化させる事も出来るが、
汎用性的に使う方が人気である。
自身で半分ほど構築が必要となる、
補助タイプの魔道具を使用する事が多い。
私とカレンは武器を媒体とし、
半分は自身で構築している。
媒体が無い時は壊れた時は、
仕方が無いので詠唱をする。
私が最近魔導書で覚えた魔法は、
この法則が完全には当てはまらない。
まだ知らない、別の法則が存在しているらしい。
他。魔闘気を纏うと、
身体能力が向上する。
誤解を恐れずに言うなら
魔素は持続力、
魔力は強化の向上量に関係する。
常に魔闘気を纏うのは、
魔素の枯渇に繋がり危険だ。
なのでどのくらい魔素を使うか、
どのくらい強化するかを調整する訓練だ。
精神を鍛えるために瞑想をしたり、
片足しか乗せられないほどの石から石に飛び移り、
川に落ちない様に一定量の強化を維持したする。
魔力が多いと石が割れ川に落ちる。
その他には腕相撲や組手など色々な方法で鍛える事も可能。
実戦ではこれに思考を巡らせながら、
さらに魔法を使用し、動くのでかなり難しい。
これを怠るとすぐに魔素切れを起こす。
今までは常に全力しかやって来なかったため、
カレンを鍛えながら私は会得した。
しかし、これに頼り過ぎても危ない。
魔素を乱す魔道具があるので、
私は素の筋力も鍛えている。
まだ幼いカレンにそこまでするのは嫌である。
スパルタ過ぎる。だが、強く育って欲しいという願いもある。
浄化可能な呪いはカレンに任せるが、
呪いを自分に移すのは禁止にしている。
最低限の対策、教会で魔道具を幾つか購入してある。
エルフは長命。
人族の私が先に死んでしまうだろう。
だから一人でも大丈夫なように鍛えたい。
基礎は反復させるとして……。
色々な考えが浮かび、
いまいち方針が定まらない。
私は日々カレンの事で悩んでいた。
もちろん嫌という意味では無い。
(人を育てるって難しい……)
カレンの元気な顔を見て思う。
もう少し力を抜いて行こう。
辛い過去を忘れさせ、
この子の失った時間を取り戻していきたい。
私の僅かに陰る表情を見て、
カレンが大丈夫かと、心配そうにしていた。鋭い。
私は一つ言い出せない事があった。
カレンは故郷に帰りたいのだろうか。
それを聞いたらもう二度と会えない気がした。
「ねぇ、アルマ」
「ん?」
「私はアルマとずっと一緒に居たい」
「私もよ。カレン……私の事は気にせず、やりたい事を遠慮なく言って」
「うん!」
カレンの勘の鋭さには脱帽した。
お互いに心の整理が出来るまで、
エルフの故郷はお預けにしよう。
最期に軽い試合をして、
攻撃と防御、反撃の練習をする。
いい汗をかいた所で今日の訓練を終えた。
もう少しで日が暮れる。
馬に近寄るとポクポクと歩いてきて、
鼻をすり寄せて来た。
暫く撫でた後に騎乗する。
そして、私たちは走り出す。
拠点に戻ろうと走っていると、
遠くに村が見えた。
何か様子がおかしい。
騒いでいる大声が聞こえ、煙が上がっていた。
村の人が小さい魔物、ゴブリンに襲われていた。
私とカレンは直ぐに反応し、急加速する。
かなり遠いので魔法で対処しようと考えた。
ファイアーボールじゃ効率が悪すぎる。
魔力を込め、出力を上げると村人も巻き込む可能性があるし、
辺り一面が焼け野原になり、危険だ。
ここで思い出した。
少し前に教会の書庫で見つけた魔導書。
手に取ると何故か覚えた魔法《ヴァノスフロガ》を使う。
紫の雷が一瞬で魔物に到達する。
それに触れた瞬間、雷で痺れ動けなくなり、
雷に触れた魔物から火柱が上がり焼き尽くす。
魔物は火だるまになって絶命した。
その雷はそれだけで消えず、
辺り一帯を縦横無尽に走り、
次々と魔物を倒していく。
私は驚く。何て不思議な魔法。
軽い魔力でも充分に威力が出せる。
最初は良いと思ったが、
燃えた際の範囲が予想以上に広く、
強力過ぎるので、《マジックキャンセル》を使い、
魔法を一度消した。これなら細かい調整も出来そうだ。
大半の魔物を倒す事に成功したので、
後は細々としているところを狙う。
「アルマ! 凄い! どうやって二属性を混ぜたの!?」
「……ま、まだ魔物は沢山いるよッ。油断しちゃだめ!」
「う、うん!」
カレンも《ウインドスラッシュ》でゴブリンを切り刻む。
まだ少し離れていたので、《エトスブロンテ》を発動する。
雷系等の魔法で無数の雷の小さな球体が現れた。
それを魔物に放つと感電して動かなくなった。
その間に接近し、
魔物を普通の剣で切り刻んで数を減らしていく。
カレンも細剣と魔法を使い、上手く戦っていた。
(うん。その辺のゴブリンならもう大丈夫みたいね)
十分以内に魔物を全て全滅させた。
通りかかったのが魔物の襲撃直後のため、
被害は軽傷者のみで済んだ。
回復魔法で傷を癒していく。
村人が集まり、感謝を述べていく。
五人組の子供が憧憬の眼差しを向けていた。
彼等は元気が良く、
私たちの戦いの様子を一生懸命話して、
称賛していた。自然と皆の意見は一致し。
将来、私たちみたいになりたいと言った。
私はハッとした。五歳の頃の記憶が過ったからだ。
だが、そのパーティーの結末は。
私は何を言うべきか迷った。
パーティーはやめとけ、とか。
呪術は絶対に駄目だとか。
騎士団の方が良いだとか。
あらゆるアドバイスが頭をよぎる。
でもその時、ふとカレンが見えた。
確かに辛い事は沢山あった。
だけど私はカレンに会えて良かった。
そこだけは絶対に譲れない。
そこだけはアレ等に感謝するべきなのだろう。
だから一言だけ子供たちに伝えた。
「仲良くね」
「うん、おねえちゃん!」
「当たり前だよ!」
「僕たち仲間だぜ!」
子供たちは嬉しそうに笑っていた。
馬に騎乗し、村を去り行く際、
皆が手を振っていた。
それを背に私たちはギルドに戻り、
依頼とこの村の事を報告する。
帰宅道中でカレンが聞いて来た。
何か良い事でもあったのかと。
「そうね。私は、小さい頃に自分が憧れた……そういう人になれたんだな、って」
「そっか。アルマが元気だと、私も嬉しい!」
馬をゆっくりと寄せると私はカレンの頭を撫でた。
そして、私たちは凱旋する。
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