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第1章 それは自業自得だろ?
抗う者
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オーク戦の後、アッシュは村の家畜に寄生して、ダニの生涯を無事に全うした。
気が付けば、アッシュは再び白い空間に漂っていた。
「アッシュよ、よくやった。平均寿命はおろか、天寿を全うするとはな」
カイロス神が現れ、漂っていたアッシュを引き止め固定した。
(なぁ、今回の超過分の寿命は、次の転生や回数に影響あるのか?)
「ああ、ちゃんとあるぞ。次の輪廻転生で必要な平均寿命が軽減される」
そうでなくては困る。検証の為に、最低必要日数を超えてわざわざ長生きしたのだから。まぁ、自殺はできないのだけど。
(疑問があるのだが、俺が輪廻転生する先は、俺が命を奪ったものばかりではないか?)
「そうだ。多少の例外はあるが、魂の浄化が終わるまで、転生先には貴様が殺めた生物が選ばれる」
(魂の浄化とやらが終われば、俺は元の体に戻れるのか?)
「……そうだな。本来なら新たな命へと輪廻転生するのだが、再びアッシュとして誕生させる事も可能ではある。だがしかし…」
(よし‼︎良い事を聞いた!それならば、急ぎ…いや、確実に天寿を全うして、呪いの浄化を終わらせてやる!)
「…フム、やる気が出た事はまぁ良いか。では、次なる輪廻転生を開始するぞ?」
(ああ、頼む)
カイロスが指を鳴らして、再びアッシュの輪廻転生が開始された。
次の転生先は、ミミズだった。
ミミズの生涯は至って単純であった。
平均寿命は3~4年と長生きだが、餌には一切困らず、どうにもならない大雨以外は、天敵である虫や鳥からは逃げるのは容易だった。(スキル複数所持のアッシュ限定だから)
やり直し転生回数は14回。
その間に、ミミズの固有スキルである【自己再生】【皮膚呼吸】【土壌改良】を新たに修得した。
修得する度に、カイロスにスキル効果も聞いた。
【自己再生】 熟練度 1 / 10
体の損傷を、自己血液を利用して再生修復する。大部分の欠損には大量の血液が必要な為、生命の危険と時間を要する。
【皮膚呼吸】 熟練度 1 / 10
場所を特定しての皮膚呼吸が可能。スキルであるのでONとOFFの切り替えができる。
【土壌改良】 熟練度 1 / 10
体内に取り込んだ土を、最良の土壌や肥料へと改良できる。
ミミズ以外の生涯で、土を食べるのは遠慮したい。自己再生以外は使わないだろうな。
次の転生先は、ノミ。
平均寿命は約半年。ダニの生態に極めて似ている上に、複眼で目が使えるので、攻略はわりと楽だった。
やり直し転生回数は19回。主に一斉駆除に巻き込まれて死んだ。
固有スキル【跳躍】を修得した。
【跳躍】 熟練度 1 / 10
瞬発的に脚力が増幅する。特に跳躍時には効果が高く、最高で通常時の約100倍の跳躍距離を出せる。
あくまでも跳躍力の増幅であり、着地は考慮されていないところが怖い。加減を覚える必要がある。
次の転生先は、蚊。
平均寿命は僅か1ヶ月日程度。幼虫期では天敵がいるものの、気配が無いアッシュには問題無い。
成虫となっても性別はオスなので、大量の出産目的の為に、メスのように危険を冒して吸血する必要性もない。
やり直し転生回数は1回。固有スキルの修得は無しだ。
次の転生先は、なんとカニムシだった。
この事から、転生順は生物の大きさによる選別順位ではないらしい。おそらくは最も殺した数だろう。
平均寿命は約2年。その環境は、微小動物界では強者側だった。
固有スキルの【バックステップ】【毒生成(麻痺)】は、アッシュのスキルとの相性は抜群で、狙った獲物は確実に仕留める事ができた。
途中で気付いたが、ダニ自身が負けた相手は、まさかの転生した自分自身だと分かった。
そりゃあ、気付かずに背後を取られる筈だよなぁ。
やり直し転生は無し。但し、固有スキル欲しさに2年半頑張って生き抜いた。
【バックステップ】 熟練度 1 / 10
危険察知時に、瞬時に後退することができる。その際、追加攻撃の回避率が上昇する。
カニムシ時は接触時の常時自動発動だったが、発動条件の発動と切り替えは可能。
【毒生成(麻痺)】 熟練度 1 /10
体液としての毒生成が可能。神経毒性(麻痺)を体液分泌できる。自身が分泌した毒のみ、免疫耐性がつく。
このスキルは、今後を考えればかなり当たりだと思うんだよな。
そして次の転生先は、蟻。
これがかなり大変だった。
何がというと、蟻社会では、メスが王となるからだ。オスの数は少なく、女王蟻との交尾後は直ぐに死ぬ。
故に、夫選びが始まるやいなや逃走した。
今までも毎回、蟻に限らずメスからのアプローチはあるんだが、感覚的には、魅了の呪いをかけられた様にムラムラはする。
だが、いくら可愛く見えても拒否する。いや単に、俺は虫相手など嫌だからな?
当然、群れからも出るわけだが、蟻の平均寿命が1~2年らしいが、オスは交尾後に死ぬので更に短い。
何故か執拗に俺を探す女王蟻から、2年も逃げ続けることとなった。
尚、女王から俺の捕縛を命じられた兵隊蟻の大群に追われていて、1度だけ油断して蟻地獄に落ちて死んだ。
やり直し転生回数は1回。
因みに、逃げる際に多用していた事で、固有スキルの【毒生成(酸)】だけは修得できた。
【毒生成(酸)】 熟練度 1 / 10
体液としての毒生成が可能。腐食性毒(酸)を体液分泌できる。自身が分泌した毒のみ、免疫耐性がつく。
常に女王の【帰巣本能】の影響下にあったが、抵抗し続けた為(アッシュの【邪険】【忌避者】が発動)か、【本能に抗う者】という称号スキルも得た。
【本能に抗う者】 熟練度 1 / 10
神が定めし生物本能に抗う者の称号スキル。絶対的な服従の力に対して抵抗できる。
次は蜂に輪廻転生した。
オスの平均寿命は約90~110日程度。まともや女王社会だ。蟻の時同様に、貞操の危機に陥った。
だが、今回は羽根がある。蟻時代にも羽根が一時的にはあったが、強度が低い上に逃走中にもげた。
だが今回は、【本能に抗う者】の効果で【帰巣本能】による行動力低下も少ない。
(飛行能力がある今回は、敬遠していた自宅の様子を見に行ける)
視覚は良好な上に、感知能力も気配感知、温度感知、嗅感知、音響感知、罠感知と、万全の状態だ。
先ずは現在地の場所を特定する。
今回の誕生場所は、高原地帯だ。
そもそも今の俺は、魔物ではなく、ただの蜜蜂だ。
それに、輪廻転生する対象は、俺が殺した同種、種族に限っている。
俺が大量に蜂を殺したとなると、魔物討伐絡みの巻き添えだろう。
生前の俺が、高原地帯で行った魔物討伐…。
(…グラアニ高原のハニーテイパー討伐か?)
都市シクラメンから南東へ下った地域に、高原地帯がある。
そこに生息する魔物、ハニーテイパー。外皮の硬い四足歩行の魔物で、肉食だが蜂蜜を好む。
警戒心が強く、中々巣から出てこない。故に、好物の蜂蜜を餌にして誘き寄せて狩るのだ。
記憶では、ハニーテイパー討伐は俺が死ぬ10年程昔の話だ。
【原始の樹海】に棲むタイラントバイパー(巨大ヘビの魔物)捕獲に、このハニーテイパーの肉が必要で、グラアニ高原地帯の蜂巣を狩り尽くした覚えがある。
タイラントバイパーは嗅覚が非常に鋭い。
毒や人の匂いに直ぐに気付く。それ故か、密が肉に染み込んだハニーテイパーの甘い香りに喰い付きが良かったのだ。
先ずは、外皮が硬いハニーテイパーの肉の中に、麻痺毒草を仕込んで置く。
後は、肉を丸呑みしたタイラントバイパーが痺れたところを捕まえる。
タイラントバイパーを生きたまま捕まえるには、この方法が一番だった。
ともかくそんな理由があって、高原の蜂を大量に狩り尽くした事が確かにあった。
(現在地が分かったなら、後は身を隠しながら向かうのみだ!)
油断は禁物で、天敵である鳥等に見つからないように注意する必要がある。
まぁ、対策はスキルでバッチリだけどな。
アッシュは早る気持ちを抑えつつ、都市シラクメンへと堅実に向かうのだった。
気が付けば、アッシュは再び白い空間に漂っていた。
「アッシュよ、よくやった。平均寿命はおろか、天寿を全うするとはな」
カイロス神が現れ、漂っていたアッシュを引き止め固定した。
(なぁ、今回の超過分の寿命は、次の転生や回数に影響あるのか?)
「ああ、ちゃんとあるぞ。次の輪廻転生で必要な平均寿命が軽減される」
そうでなくては困る。検証の為に、最低必要日数を超えてわざわざ長生きしたのだから。まぁ、自殺はできないのだけど。
(疑問があるのだが、俺が輪廻転生する先は、俺が命を奪ったものばかりではないか?)
「そうだ。多少の例外はあるが、魂の浄化が終わるまで、転生先には貴様が殺めた生物が選ばれる」
(魂の浄化とやらが終われば、俺は元の体に戻れるのか?)
「……そうだな。本来なら新たな命へと輪廻転生するのだが、再びアッシュとして誕生させる事も可能ではある。だがしかし…」
(よし‼︎良い事を聞いた!それならば、急ぎ…いや、確実に天寿を全うして、呪いの浄化を終わらせてやる!)
「…フム、やる気が出た事はまぁ良いか。では、次なる輪廻転生を開始するぞ?」
(ああ、頼む)
カイロスが指を鳴らして、再びアッシュの輪廻転生が開始された。
次の転生先は、ミミズだった。
ミミズの生涯は至って単純であった。
平均寿命は3~4年と長生きだが、餌には一切困らず、どうにもならない大雨以外は、天敵である虫や鳥からは逃げるのは容易だった。(スキル複数所持のアッシュ限定だから)
やり直し転生回数は14回。
その間に、ミミズの固有スキルである【自己再生】【皮膚呼吸】【土壌改良】を新たに修得した。
修得する度に、カイロスにスキル効果も聞いた。
【自己再生】 熟練度 1 / 10
体の損傷を、自己血液を利用して再生修復する。大部分の欠損には大量の血液が必要な為、生命の危険と時間を要する。
【皮膚呼吸】 熟練度 1 / 10
場所を特定しての皮膚呼吸が可能。スキルであるのでONとOFFの切り替えができる。
【土壌改良】 熟練度 1 / 10
体内に取り込んだ土を、最良の土壌や肥料へと改良できる。
ミミズ以外の生涯で、土を食べるのは遠慮したい。自己再生以外は使わないだろうな。
次の転生先は、ノミ。
平均寿命は約半年。ダニの生態に極めて似ている上に、複眼で目が使えるので、攻略はわりと楽だった。
やり直し転生回数は19回。主に一斉駆除に巻き込まれて死んだ。
固有スキル【跳躍】を修得した。
【跳躍】 熟練度 1 / 10
瞬発的に脚力が増幅する。特に跳躍時には効果が高く、最高で通常時の約100倍の跳躍距離を出せる。
あくまでも跳躍力の増幅であり、着地は考慮されていないところが怖い。加減を覚える必要がある。
次の転生先は、蚊。
平均寿命は僅か1ヶ月日程度。幼虫期では天敵がいるものの、気配が無いアッシュには問題無い。
成虫となっても性別はオスなので、大量の出産目的の為に、メスのように危険を冒して吸血する必要性もない。
やり直し転生回数は1回。固有スキルの修得は無しだ。
次の転生先は、なんとカニムシだった。
この事から、転生順は生物の大きさによる選別順位ではないらしい。おそらくは最も殺した数だろう。
平均寿命は約2年。その環境は、微小動物界では強者側だった。
固有スキルの【バックステップ】【毒生成(麻痺)】は、アッシュのスキルとの相性は抜群で、狙った獲物は確実に仕留める事ができた。
途中で気付いたが、ダニ自身が負けた相手は、まさかの転生した自分自身だと分かった。
そりゃあ、気付かずに背後を取られる筈だよなぁ。
やり直し転生は無し。但し、固有スキル欲しさに2年半頑張って生き抜いた。
【バックステップ】 熟練度 1 / 10
危険察知時に、瞬時に後退することができる。その際、追加攻撃の回避率が上昇する。
カニムシ時は接触時の常時自動発動だったが、発動条件の発動と切り替えは可能。
【毒生成(麻痺)】 熟練度 1 /10
体液としての毒生成が可能。神経毒性(麻痺)を体液分泌できる。自身が分泌した毒のみ、免疫耐性がつく。
このスキルは、今後を考えればかなり当たりだと思うんだよな。
そして次の転生先は、蟻。
これがかなり大変だった。
何がというと、蟻社会では、メスが王となるからだ。オスの数は少なく、女王蟻との交尾後は直ぐに死ぬ。
故に、夫選びが始まるやいなや逃走した。
今までも毎回、蟻に限らずメスからのアプローチはあるんだが、感覚的には、魅了の呪いをかけられた様にムラムラはする。
だが、いくら可愛く見えても拒否する。いや単に、俺は虫相手など嫌だからな?
当然、群れからも出るわけだが、蟻の平均寿命が1~2年らしいが、オスは交尾後に死ぬので更に短い。
何故か執拗に俺を探す女王蟻から、2年も逃げ続けることとなった。
尚、女王から俺の捕縛を命じられた兵隊蟻の大群に追われていて、1度だけ油断して蟻地獄に落ちて死んだ。
やり直し転生回数は1回。
因みに、逃げる際に多用していた事で、固有スキルの【毒生成(酸)】だけは修得できた。
【毒生成(酸)】 熟練度 1 / 10
体液としての毒生成が可能。腐食性毒(酸)を体液分泌できる。自身が分泌した毒のみ、免疫耐性がつく。
常に女王の【帰巣本能】の影響下にあったが、抵抗し続けた為(アッシュの【邪険】【忌避者】が発動)か、【本能に抗う者】という称号スキルも得た。
【本能に抗う者】 熟練度 1 / 10
神が定めし生物本能に抗う者の称号スキル。絶対的な服従の力に対して抵抗できる。
次は蜂に輪廻転生した。
オスの平均寿命は約90~110日程度。まともや女王社会だ。蟻の時同様に、貞操の危機に陥った。
だが、今回は羽根がある。蟻時代にも羽根が一時的にはあったが、強度が低い上に逃走中にもげた。
だが今回は、【本能に抗う者】の効果で【帰巣本能】による行動力低下も少ない。
(飛行能力がある今回は、敬遠していた自宅の様子を見に行ける)
視覚は良好な上に、感知能力も気配感知、温度感知、嗅感知、音響感知、罠感知と、万全の状態だ。
先ずは現在地の場所を特定する。
今回の誕生場所は、高原地帯だ。
そもそも今の俺は、魔物ではなく、ただの蜜蜂だ。
それに、輪廻転生する対象は、俺が殺した同種、種族に限っている。
俺が大量に蜂を殺したとなると、魔物討伐絡みの巻き添えだろう。
生前の俺が、高原地帯で行った魔物討伐…。
(…グラアニ高原のハニーテイパー討伐か?)
都市シクラメンから南東へ下った地域に、高原地帯がある。
そこに生息する魔物、ハニーテイパー。外皮の硬い四足歩行の魔物で、肉食だが蜂蜜を好む。
警戒心が強く、中々巣から出てこない。故に、好物の蜂蜜を餌にして誘き寄せて狩るのだ。
記憶では、ハニーテイパー討伐は俺が死ぬ10年程昔の話だ。
【原始の樹海】に棲むタイラントバイパー(巨大ヘビの魔物)捕獲に、このハニーテイパーの肉が必要で、グラアニ高原地帯の蜂巣を狩り尽くした覚えがある。
タイラントバイパーは嗅覚が非常に鋭い。
毒や人の匂いに直ぐに気付く。それ故か、密が肉に染み込んだハニーテイパーの甘い香りに喰い付きが良かったのだ。
先ずは、外皮が硬いハニーテイパーの肉の中に、麻痺毒草を仕込んで置く。
後は、肉を丸呑みしたタイラントバイパーが痺れたところを捕まえる。
タイラントバイパーを生きたまま捕まえるには、この方法が一番だった。
ともかくそんな理由があって、高原の蜂を大量に狩り尽くした事が確かにあった。
(現在地が分かったなら、後は身を隠しながら向かうのみだ!)
油断は禁物で、天敵である鳥等に見つからないように注意する必要がある。
まぁ、対策はスキルでバッチリだけどな。
アッシュは早る気持ちを抑えつつ、都市シラクメンへと堅実に向かうのだった。
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