【完結】スキルが美味しいって知らなかったよ⁈

テルボン

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第2章 魅惑の生活が怖いって思わなかったよ⁈

027話 絆の証明

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  居間で椅子に縛られているアラヤは、自分が何故こんな状況にあるのかを分からなかった。

「先ずは、3日ぶりのお目覚め、正確には正気に戻った事は素直に嬉しいです」

「3日ぶり⁈」

「ゴブリンキングを倒した後、アラヤ君は気を失ったというか、正気を失っていましたから…」

    え?何その正気を失うって⁈怖いんだけど!

「あ、そうだ!皆んなは無事だったの?」

「ええ、おかげ様で。サナエちゃんの舞の効果が凄かったので」

「よしてよ。私一人じゃ、あの数のゴブリンを相手できなかったんだから、皆んな頑張った結果だよ」

    一瞬、和やかなムードになりかけたのだが、アヤコのトーンが再び下がる。

「では、尋問を始めたいと思います」

「……」

「アラヤ君、あなたは私達に嘘をついていましたね?」

「え?嘘?何の事を言ってるの?」

「分かりました。あくまでもしらを切るのですね。なら、質問を変えましょう。アラヤ君、…言語理解を覚えましたね?」

「えっ⁈何で知ってるの?」

「認めますね?では、どうやって覚えましたか?」

「う、それは…」

   サナエさんの視線が痛い。これはもしや、いろいろとバレてる⁈

「アヤコさんが原因かと…」

「私とキスした事を原因扱いするんですか。酷いですね…」

「チッ」

「あ、いや、ごめんなさい!言い方が悪かったです」

    サナエさんの舌打ち、マジで怖いです。

「では、今一度質問します。どういう技能スキルで私の言語理解を覚えたんですか?」

   これは、観念しないといけないようだ。おそらく詰んでるが、正直に答える事で罪が和らがないかなぁと思う。

「捕食吸収という技能スキルを持ってて、キスというよりも唾液や血液を飲んだ事で覚えたんだと思う」

「血液、ですか…。つまり、血液や体液等を摂取した相手の技能スキルを覚える事ができると」

「正確には、一回で習得するには量が必要で、唾液や汗とかだと大量に取らないと覚えないと思う」

「血や汗をペロペロとか引くわー」

   ああっ。サナエさんがマジ引きしてます。

「では別の質問です。暴食王とは何ですか?」

「‼︎⁉︎」

「あの時の会話を、私は聞いていました。答えてください。暴食王とは何ですか?」

「暴食王は…職業です」

「では、私達に教えてくれた魔法剣士という職業は嘘だったという事ですね?何故嘘をついたのですか?」

「ごめん。あの時は、二人の事を信用出来ていなかったんだ。それに暴食王なんて名前の職業、恥ずかしかったし…」

「私達を信用出来なかったのは分かりました。少し、質問を戻します。あのゴブリンキングを噛んだ後、技能スキルを覚えたんですか?」

「うん。覚えた。というよりも、奪った」

「奪った?ゴブリンキングからは消えたという事ですか?」

「そうだね」

「肉を食べたら奪ったと。だから、先程は血液や唾液をあげて、肉を言わなかったんですね?」

「これも、キスの後に覚えた特殊技能ユニークスキルの弱肉強食の能力なんだ」

【弱肉強食】  
   *  対象の肉を捕食する事で、技能スキルを奪う事ができる。
   *  対象との職業レベルの差がある場合、自身が上の場合は、対象の持つ全ての技能スキルを奪う事ができる。同レベル、又は以上の場合はランダムで一つ奪う事ができる。
   *  対象が死んでいる場合は無効である。(アンデットも含む)

「今、自分を鑑定したんだけど、技能スキルがかなり増えている。ゴブリンキングの技能スキルを奪ったという事だろうね」

アラヤ=クラト

種族   人間(ハイヒューマン)  男 age  17

体力  503/503  
戦闘力   294/294
耐久力  223/223
精神力  82/172
魔力   273/273
俊敏  268/268
魅力  54/100
運   24

状態   正常

職種   暴食王LV 2

技能スキル   捕食吸収LV 2(貪る者を下位互換として吸収)   鑑定LV 2   隠密LV 1    気配感知LV 2(索敵を下位互換として吸収)   身体強化LV 3   精神耐性LV 1   物理耐性LV 2   全属性魔法LV 1   保護粘膜LV 1   一点突貫LV 2   言語理解LV 1   亜空間収納LV 1   魔法耐性LV 1   威圧LV 1   剣技LV 1   槍技LV 1   弓技LV 1   自己再生LV 1   毒耐性LV 1

特殊技能ユニークスキル  弱肉強食LV 1

   この際なので、ステータスと技能スキルを全て教える事にした。同種スキルは経験値として吸収されたらしい。

「分かりました。では、単刀直入にお尋ねします。アラヤ君は私達の技能スキルを求めますか?それとも、奪いますか?」

「ち、ちょっと、待ってよ!奪うなんてするわけ無いよ⁉︎」

「アラヤ君は、私達に嘘をついていました。私達の技能スキルを手に入れたら、アラヤ君にとって私達は用済みになるでしょう?見捨てるに決まってます」

「見捨てないって、言ったよ!約束した!」

「口約束は信用できません。アラヤ君は嘘つきですから」

「どうしたら信用できるの?」

「私達も信じたいさ。でもね、不安なんだよ」

   サナエさんは、少し涙目になっている。彼女達を不安にさせたのは、自分が早く打ち明けなかったのが原因だ。

「私達は、アラヤ君との絆の証明が欲しいんです」

「絆の証明…」

「はい。その確たる絆の為に、私達と結婚してください」

「……へ?」

「私達とは嫌ですか?」

「いや、そうじゃ無くて!結婚って、本気で言ってるの⁈17だよ⁉︎しかも、私達って!重婚は罪だよ⁈」

「大丈夫です。この世界では15歳から結婚できます。重婚の件も、貴族なら一夫多妻が認められています」

「俺達って、貴族じゃないよ⁈」

「そこは大丈夫です。このスニス大陸の東部にあるムシハ連邦国には、十数年前に滅亡した国があります。私達は、そこの貴族の子という事にしてしまえば、身分を誤魔化せます。この世界では、王族や貴族達にだけ苗字が付いています。そして、都合のいい事に私達には貴族の証たる苗字が有ります。鑑定を受けた際に、逆に信用されるというわけです」

「その国の身元調査残ってるかもしれないよ?」

「攻め滅ぼされた国ですので、資料は焼けているでしょう。この村にも奴隷商人に買われた身になっていますので、問題ありません」

   ああっ⁈そんな都合良くいくの?異世界なんだって事、忘れてたよ!

「アラヤ、私達は嫌々結婚したいわけじゃないよ。私は、そのアラヤの事…好きだし…。アヤだって、ショタ好きな腐女子だから問題無いと思う。こんな形での結婚ってのは、ちょっと不本意だけど、私の気持ちは決まってるよ。私達とは…嫌なの?」

   アヤコさん、サナエさん、そんな悲しそうな子猫みたいな表情はズルいよ。俺だって、二人の事嫌いじゃない。むしろ、この世界に来てから仲良くなって好きになってるよ。

「うん。二人が良いのなら、俺も…結婚したい。二人を幸せにしたいよ。でも、俺にはそもそも甲斐性が足りてない」

「私達はアラヤ君に必要だという絆が欲しいです。甲斐性が足りない?そんなもの、生活して行く中で変えて行けばいいんです!頑張りましょう!というわけで、サナエちゃん、正室は私で良いですね?」

「何が、というわけでよ⁈勝手に順番を決めないでよ。対等でしょう?」

「でも、ファーストキスはもちろんの事、私は裸だって見られてますし」

「裸を見た⁉︎アラヤ、どういう事?」

   サナエさんの視線が再び刺さる。アヤコさん、これ以上彼女を刺激しないで⁉︎

「裸って、それは彼女がのぼせてたからで、不可抗力だよ⁈」

「もしかして、脱衣場の鍵開いてた?」

「そうだよ。開いてたから助けれたんだけど…」

「アラヤ、全部アヤの計算だよ。全く、誘いに乗っちゃって!」

   ええっ⁈低温火傷をしてまで演技してたの⁈ちょっとアヤコさん、貴女も怖いんですけど⁉︎

「アヤ、立場は同位置よ!」

「仕方ありませんね」

   二人はお互いに笑顔で握手を交わしているけど、目が全く笑っていないよ?

「アラヤ君、これからよろしくお願いします」

「アラヤ、幸せにしてね?」

   二人からよろしくお願いしますと手を差し伸べられるも、俺、今縛られてるよ?何、このシュールなプロポーズ…。この先の魅力的な生活が、怖くてたまらないんだけど…
  不肖、アラヤ17歳。この度、二人の女性との結婚が決まりました…
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