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第7章 家族は大事と思い知ったよ⁉︎
100話 本業?魔導製品開発
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「先ずは、アラヤさん。マイホームの御購入、おめでとうございます!」
「ありがとう!」
DL(ダイニングリビング)に新たな席と机を用意して、4人の来客を招き入れていた。
「いや~本当に、3人とは久しぶりだね!でも、どうしてデピッケルに?」
「それは私から説明します」
ソーリンがコホンと軽く咳払いをして、席を立つ。
「先ずは、ナーシャさんは仕立ての腕を見込んで私がスカウトしました。彼女の母親のナーベさんも快よく認めてくださいました」
「「「へぇ~」」」
ヤブネカ出身であるアラヤ達3人は、ナーシャさんをジト目で見る。彼女は赤くなった顔を逸らした。彼女にとって、ソーリンがタイプだった。まぁ、そういう事だろうね。
「ヤブネカ村での物資調達したその後に、フユラ村にも伺ってタオ君を画家の卵としてスカウトしました。条件として、ハルちゃんとそのご両親が保護者として同伴しています」
「おっ?タオ君は本物の画家さんを目指すんだね?」
「はい!頑張ります!この街には画材も豊富ですから、どんどん腕を磨きたいと思います!」
うん、やる気がみなぎってるね。今度、あの見晴らしの良い展望台を教えてあげよう。
「ハルは付き添いだけど、ししょ~にまた会えると思って、魔法も技能もいっぱい頑張ってたよ~!」
「うん、2人共偉いね!2人が頑張った成果は今度見せてもらうとして、今はせっかくだから昼食を一緒に食べようよ?」
「「やったぁ‼︎」」
「へぇ、料理はサナエさんが作ってるのね。あれ?もう1人、亜人のメイドさんが居る⁉︎」
料理を運んでいるクララに気付いたナーシャさんが、クララをマジマジと見ている。
「彼女はクララ。俺の従獣で、この家ではメイド兼番犬だよ」
「はじめまして、クララと申します。どうぞお見知り置きを」
「え、ええ。よろしく」
彼女も村を出た事が無かったから、初めての亜人族に驚いているようだね。
それにしても、この2人が並ぶとお山が強調されてとても壮観だね。
アラヤの視線の先に気付いたサナエが、料理が乗った皿で視線を遮る。
「アラヤの見たいのは料理でしょう?ねぇ?」
「う、うん。わぁ、美味しそうだなぁ…」
サナエさんは胸を意識し過ぎなんだよね。どんな形にも、それ相応の魅力があるんだけど。
「ソーリン、ガルムさんも帰ってるんでしょ?」
「はい、会社に居ると思いますよ」
「良かった。じゃあ昼食後に商会に伺うよ。いろいろと新製品が出来たからね」
「それは楽しみですね!是非、私も立ち会わせて下さい」
「もちろん。それと、誰か仕立て屋さんを紹介してもらう予定だったんだけど、せっかくだからナーシャさんに頼もうかな?」
「私に?」
「うん、サナエさんが新しい服のデザインを作ったんだ。それを特別な糸を使って製作仕上げして欲しい。お代はちゃんと払うよ。村と違って、ここじゃお金が必要だからね?」
「分かった、この街での初仕事だね!やらせてもらうわ」
アヤコさんとサナエさんも、笑顔で頷く。やっぱり、知った人間に仕事を頼む方が、お互いに嬉しくありがたいと思う。
その後も、村での近況などで話は盛り上がり、楽しい食事となった。
繁華街へと向かう途中でも、彼女達の会話は弾んでいる。
「へぇ~、じゃあ、まだカオリさんとは結婚してないわけね?」
「いや、まだって、その表現…」
「そうなのよ!デートもまだ一回きりだしね」
ナーシャさんの、カオリさんに対する認識は3人目の嫁だったらしい。そうなりつつありそうで、少し怖いんだけどね。一緒に魔鉱石や魔力電池を作る機会が多くなり、その際の彼女のアピールが日に日に増してるからね。
「だって、早めに分かってた方が、ドレスのデザインを考えなきゃだし」
「まぁ!アヤコさん達のウェディングドレスは、貴女が作ったの⁉︎。それなら是非頼みたいわね」
「まだプロポーズもしてないけどね」
勝手に話を進める彼女達に、もはや苦笑いしかできないね。アヤコさん達も黙認してるし。
「それじゃ、俺とソーリンはガルムさんに会って来るから、皆んなは買い物でもして待ってて。タオやハルにも何かお願いね?」
アヤコさんに巾着財布を渡すと、分かりましたと皆んなを連れて商会内を物色に向かって行った。
アラヤとソーリンは、社長室の扉をノックして中へと入った。中では、ガルムが溜まっていた書類の山を整理しているところだった。
「おお、アラヤ君。元気にしていたかね?私が出発する時にはまだ意識が無かったからね」
「ええ、もうスッキリと目覚めましたよ。その節は心配をおかけしました」
「そうそう、家の購入も無事に終わったようで何よりだよ。それと、便器に関しての生産準備は整ったよ」
「そうですか。それは良かったです。実は今日訪れたのは、新たな開発品が数点出来たので持って来たんです」
「おお!それは是非とも拝見させてもらいましょう!」
ソーリンが大きな木箱を部屋に入れる。実は木箱の中は空で、亜空間収納を中で発動して、あたかも木箱から取り出して見えるようにする為の物だ。
「先ずは魔力電池です」
ガルムさんの前に、青・緑・黄・赤のラインが入った四角い魔鉱石を並べる。
「これは鉱石内に蓄えてある魔力を、微量ずつに放出する魔鉱石です。青が最も微量の魔力を放出し、長期間保ちます。徐々にその量は変化し、赤の魔力電池は放出量は多いですが、短期間で鉱石内の魔力が空になります」
「これはまた、珍妙な物ですな。マジックポーションの代わりですかな?」
「いえ、マジックポーションとしても使えますが、次から見せる製品等に使う動力源に使います」
アラヤは木箱から次なる製品を出す。次に出したのはランタンである。
「これはライトの魔鉱石が内蔵してあるランタンです。火を使えない場所の灯りとして役立ちます。この動力源にも、魔力電池は使えます。このランタンの場合は青の魔力電池で最適です。この電池で約1500時間使用できる計算です」
ランタンには電池用の差し込みスペースが有り、そこへ青ラインの魔力電池を差し込む。カチッと音が鳴るまで差し込まれると、ランタンは明るい光を発して周りを照らした。もちろん、ON・OFFのスイッチが付いてる。
「なるほど。魔力を注ぎ続ける手間も省けるわけですな」
「はい。使い方はこの要領で、他の製品も説明します」
続いて出したのは魔導冷蔵庫である。これの需要が高くなることを願っている。
「これは冷蔵庫といって、上と下に2つの部屋があり、上は冷凍室でアイスの効果に似た氷結化する部屋です。下は冷蔵室で冷気により食品の鮮度を保つ部屋です。これには電池は緑を2つ使用します。こちらは約720時間持ちます」
「食品保管庫ですか!飲食店には多大な人気が出そうですな!」
「次の製品は…」
アラヤは次々と製品を出した。サクション魔鉱石内蔵の掃除機、ホットブロー魔鉱石内蔵のドライヤー、フレイム魔鉱石内蔵のコンロ、エアカッター内蔵のフードミキサー等だ。
「驚きがあまりにも多過ぎて、少し頭が混乱しそうですな。ただ、全ての動力源である魔力電池の生産が重要ですな」
「この魔力電池は、土属性魔法の熟練度がLV 2で覚えるオーラゼーションを使える魔術士ならば、少しの調整技術を覚えたら生産可能です。生産に使う魔力は同じなので、電池の価格は全て同じで構わないと思います」
「ふむ。魔導製品ですか。これは人々の生活が一変する発明ですな。人材集めに苦労しそうですが、何とかしましょう!全て採用させていただきます!」
ガルムはニヤッと満面の笑みで頷いた。だけど、もう1つ言わなきゃならない品物があるんだった。
「後1つ、これもお願いします」
追加でアラヤが差し出したのは、レミーラが作った万年筆だった。
「これは…?」
「万年筆といって、羽ペンに変わる筆記用具です。インク内蔵の同軸部は交換できるようになっています」
「おおっ!コレは便利ですな!確かに羽ペンに取って代わる発明ですよ!」
「実はコレ、製作自体はある方に頼んだ物なんですよ」
「ほう、有能な人材が居ましたな。どのような方ですかな?」
「武器鍛冶屋のゴードンさんの娘さん、レミーラさんです」
「ふぉっ⁉︎コレをレミーラが⁈」
「ええ。ですから、生産は彼女に依頼して貰えますか?」
「……分かりました!このキッカケに、かの親子を我が生産ラインの一部に引き込むとしましょう」
例えた言葉は悪いけど、仲直りを考えてくれると言ってくれたようだ。お節介かもしれないけど、家族は大切だと最近思い知らされたばかりなものですからね。
「ありがとう!」
DL(ダイニングリビング)に新たな席と机を用意して、4人の来客を招き入れていた。
「いや~本当に、3人とは久しぶりだね!でも、どうしてデピッケルに?」
「それは私から説明します」
ソーリンがコホンと軽く咳払いをして、席を立つ。
「先ずは、ナーシャさんは仕立ての腕を見込んで私がスカウトしました。彼女の母親のナーベさんも快よく認めてくださいました」
「「「へぇ~」」」
ヤブネカ出身であるアラヤ達3人は、ナーシャさんをジト目で見る。彼女は赤くなった顔を逸らした。彼女にとって、ソーリンがタイプだった。まぁ、そういう事だろうね。
「ヤブネカ村での物資調達したその後に、フユラ村にも伺ってタオ君を画家の卵としてスカウトしました。条件として、ハルちゃんとそのご両親が保護者として同伴しています」
「おっ?タオ君は本物の画家さんを目指すんだね?」
「はい!頑張ります!この街には画材も豊富ですから、どんどん腕を磨きたいと思います!」
うん、やる気がみなぎってるね。今度、あの見晴らしの良い展望台を教えてあげよう。
「ハルは付き添いだけど、ししょ~にまた会えると思って、魔法も技能もいっぱい頑張ってたよ~!」
「うん、2人共偉いね!2人が頑張った成果は今度見せてもらうとして、今はせっかくだから昼食を一緒に食べようよ?」
「「やったぁ‼︎」」
「へぇ、料理はサナエさんが作ってるのね。あれ?もう1人、亜人のメイドさんが居る⁉︎」
料理を運んでいるクララに気付いたナーシャさんが、クララをマジマジと見ている。
「彼女はクララ。俺の従獣で、この家ではメイド兼番犬だよ」
「はじめまして、クララと申します。どうぞお見知り置きを」
「え、ええ。よろしく」
彼女も村を出た事が無かったから、初めての亜人族に驚いているようだね。
それにしても、この2人が並ぶとお山が強調されてとても壮観だね。
アラヤの視線の先に気付いたサナエが、料理が乗った皿で視線を遮る。
「アラヤの見たいのは料理でしょう?ねぇ?」
「う、うん。わぁ、美味しそうだなぁ…」
サナエさんは胸を意識し過ぎなんだよね。どんな形にも、それ相応の魅力があるんだけど。
「ソーリン、ガルムさんも帰ってるんでしょ?」
「はい、会社に居ると思いますよ」
「良かった。じゃあ昼食後に商会に伺うよ。いろいろと新製品が出来たからね」
「それは楽しみですね!是非、私も立ち会わせて下さい」
「もちろん。それと、誰か仕立て屋さんを紹介してもらう予定だったんだけど、せっかくだからナーシャさんに頼もうかな?」
「私に?」
「うん、サナエさんが新しい服のデザインを作ったんだ。それを特別な糸を使って製作仕上げして欲しい。お代はちゃんと払うよ。村と違って、ここじゃお金が必要だからね?」
「分かった、この街での初仕事だね!やらせてもらうわ」
アヤコさんとサナエさんも、笑顔で頷く。やっぱり、知った人間に仕事を頼む方が、お互いに嬉しくありがたいと思う。
その後も、村での近況などで話は盛り上がり、楽しい食事となった。
繁華街へと向かう途中でも、彼女達の会話は弾んでいる。
「へぇ~、じゃあ、まだカオリさんとは結婚してないわけね?」
「いや、まだって、その表現…」
「そうなのよ!デートもまだ一回きりだしね」
ナーシャさんの、カオリさんに対する認識は3人目の嫁だったらしい。そうなりつつありそうで、少し怖いんだけどね。一緒に魔鉱石や魔力電池を作る機会が多くなり、その際の彼女のアピールが日に日に増してるからね。
「だって、早めに分かってた方が、ドレスのデザインを考えなきゃだし」
「まぁ!アヤコさん達のウェディングドレスは、貴女が作ったの⁉︎。それなら是非頼みたいわね」
「まだプロポーズもしてないけどね」
勝手に話を進める彼女達に、もはや苦笑いしかできないね。アヤコさん達も黙認してるし。
「それじゃ、俺とソーリンはガルムさんに会って来るから、皆んなは買い物でもして待ってて。タオやハルにも何かお願いね?」
アヤコさんに巾着財布を渡すと、分かりましたと皆んなを連れて商会内を物色に向かって行った。
アラヤとソーリンは、社長室の扉をノックして中へと入った。中では、ガルムが溜まっていた書類の山を整理しているところだった。
「おお、アラヤ君。元気にしていたかね?私が出発する時にはまだ意識が無かったからね」
「ええ、もうスッキリと目覚めましたよ。その節は心配をおかけしました」
「そうそう、家の購入も無事に終わったようで何よりだよ。それと、便器に関しての生産準備は整ったよ」
「そうですか。それは良かったです。実は今日訪れたのは、新たな開発品が数点出来たので持って来たんです」
「おお!それは是非とも拝見させてもらいましょう!」
ソーリンが大きな木箱を部屋に入れる。実は木箱の中は空で、亜空間収納を中で発動して、あたかも木箱から取り出して見えるようにする為の物だ。
「先ずは魔力電池です」
ガルムさんの前に、青・緑・黄・赤のラインが入った四角い魔鉱石を並べる。
「これは鉱石内に蓄えてある魔力を、微量ずつに放出する魔鉱石です。青が最も微量の魔力を放出し、長期間保ちます。徐々にその量は変化し、赤の魔力電池は放出量は多いですが、短期間で鉱石内の魔力が空になります」
「これはまた、珍妙な物ですな。マジックポーションの代わりですかな?」
「いえ、マジックポーションとしても使えますが、次から見せる製品等に使う動力源に使います」
アラヤは木箱から次なる製品を出す。次に出したのはランタンである。
「これはライトの魔鉱石が内蔵してあるランタンです。火を使えない場所の灯りとして役立ちます。この動力源にも、魔力電池は使えます。このランタンの場合は青の魔力電池で最適です。この電池で約1500時間使用できる計算です」
ランタンには電池用の差し込みスペースが有り、そこへ青ラインの魔力電池を差し込む。カチッと音が鳴るまで差し込まれると、ランタンは明るい光を発して周りを照らした。もちろん、ON・OFFのスイッチが付いてる。
「なるほど。魔力を注ぎ続ける手間も省けるわけですな」
「はい。使い方はこの要領で、他の製品も説明します」
続いて出したのは魔導冷蔵庫である。これの需要が高くなることを願っている。
「これは冷蔵庫といって、上と下に2つの部屋があり、上は冷凍室でアイスの効果に似た氷結化する部屋です。下は冷蔵室で冷気により食品の鮮度を保つ部屋です。これには電池は緑を2つ使用します。こちらは約720時間持ちます」
「食品保管庫ですか!飲食店には多大な人気が出そうですな!」
「次の製品は…」
アラヤは次々と製品を出した。サクション魔鉱石内蔵の掃除機、ホットブロー魔鉱石内蔵のドライヤー、フレイム魔鉱石内蔵のコンロ、エアカッター内蔵のフードミキサー等だ。
「驚きがあまりにも多過ぎて、少し頭が混乱しそうですな。ただ、全ての動力源である魔力電池の生産が重要ですな」
「この魔力電池は、土属性魔法の熟練度がLV 2で覚えるオーラゼーションを使える魔術士ならば、少しの調整技術を覚えたら生産可能です。生産に使う魔力は同じなので、電池の価格は全て同じで構わないと思います」
「ふむ。魔導製品ですか。これは人々の生活が一変する発明ですな。人材集めに苦労しそうですが、何とかしましょう!全て採用させていただきます!」
ガルムはニヤッと満面の笑みで頷いた。だけど、もう1つ言わなきゃならない品物があるんだった。
「後1つ、これもお願いします」
追加でアラヤが差し出したのは、レミーラが作った万年筆だった。
「これは…?」
「万年筆といって、羽ペンに変わる筆記用具です。インク内蔵の同軸部は交換できるようになっています」
「おおっ!コレは便利ですな!確かに羽ペンに取って代わる発明ですよ!」
「実はコレ、製作自体はある方に頼んだ物なんですよ」
「ほう、有能な人材が居ましたな。どのような方ですかな?」
「武器鍛冶屋のゴードンさんの娘さん、レミーラさんです」
「ふぉっ⁉︎コレをレミーラが⁈」
「ええ。ですから、生産は彼女に依頼して貰えますか?」
「……分かりました!このキッカケに、かの親子を我が生産ラインの一部に引き込むとしましょう」
例えた言葉は悪いけど、仲直りを考えてくれると言ってくれたようだ。お節介かもしれないけど、家族は大切だと最近思い知らされたばかりなものですからね。
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