17 / 38
第十六話
しおりを挟む
リリアがシア湖の別荘に来てから3か月程経った頃、様子を見るために、キースがラフな格好で一人で別荘を訪れた。キースはデルヴィーニュ家嫡男のライオネルがメルヴィン国王との謁見を終え、王都から公爵領に戻るのに付いて来たついでに別荘の方に寄ったのだった。
日頃リリアについての報告をしているマイケルが出迎える。
「キース様、王都からお疲れ様です」
「出迎えサンキュー」
キースはマイケルと旧知なのか砕けた返事を返した。聞いたマイケルは思わず苦笑いした。
「公爵家の跡継ぎになったのに、相変わらずの言葉遣いですな」
「流石に人は選んでるさ。マイケルなら、今まで通りで大丈夫だろう」
そう言って、キースは笑うのだった。
「まぁ、そうですが……」
公爵家の跡継ぎになったと言うのに相変わらず砕けた話し方のキースにマイケルは少々困った様子だった。
「で、早速だが、リリアはどうしてる?」
「リリア様はここ最近、我がままを言うでもなく、いろいろ仕事を手伝ってくださってます」
思いもしないリリアの様子にキースはいぶかしむ。
「脱走とかしそうな様子は?」
「話は聞いていましたが、全くそのような様子もないですな」
キースは驚いて、腕を組みながら顎を触り、何か考えているようだった。
「そんなにここにいるのを喜ぶとも思えんが……」
「自分で好きにパンを焼けるのが嬉しいそうです」
リリアの作るパンの事を思い出してしまい、ちょっとにやけながらマイケルが返答するのだった。
「パン??」
キースの思いもしない理由にビックリする。構わずマイケルは話を続ける。
「ええ、パンです。自分で仰るだけあっておいしいですよ」
貴族がパンを作ると言う外聞の悪い話に、キースはマイケルの口を手でふさぐ仕草をする。
「それ、外で言うなよ。流石に公爵家の者が屋敷の者の仕事をしていると言うのは外聞が悪い」
マイケルは自分の口をふさごうとするキースの手を外す。
「言いませんよ。実際、私達この屋敷の者はここから他所に行くこともないのですが、万が一、誰かに言ってあんな美味しいパンが食べれなくなると困るので言いませんよ!!」
マイケルは言わないのは当然と言う態度だったので、キースはそのリリアが作るパンが気になりだした。
「そんなにうまいのか?」
「ええ。飲めます!!」
澱むことなく言い切るマイケルにキースは変なものを見る目で見てしまう。
「流石に、食いしん坊のお前でも、パンは飲めんだろう」
疑わしそうに見るキースにマイケルは言い返す。
「そんなに仰るなら、昼ご飯を一緒に召し上がればいいんですよ」
「一緒にか?」
一緒にという言葉にキースは驚いたように聞き返す。
「食べればわかりますから!!」
自分が作るわけでもないのにマイケルは自信満々に答えるのだった。
日頃リリアについての報告をしているマイケルが出迎える。
「キース様、王都からお疲れ様です」
「出迎えサンキュー」
キースはマイケルと旧知なのか砕けた返事を返した。聞いたマイケルは思わず苦笑いした。
「公爵家の跡継ぎになったのに、相変わらずの言葉遣いですな」
「流石に人は選んでるさ。マイケルなら、今まで通りで大丈夫だろう」
そう言って、キースは笑うのだった。
「まぁ、そうですが……」
公爵家の跡継ぎになったと言うのに相変わらず砕けた話し方のキースにマイケルは少々困った様子だった。
「で、早速だが、リリアはどうしてる?」
「リリア様はここ最近、我がままを言うでもなく、いろいろ仕事を手伝ってくださってます」
思いもしないリリアの様子にキースはいぶかしむ。
「脱走とかしそうな様子は?」
「話は聞いていましたが、全くそのような様子もないですな」
キースは驚いて、腕を組みながら顎を触り、何か考えているようだった。
「そんなにここにいるのを喜ぶとも思えんが……」
「自分で好きにパンを焼けるのが嬉しいそうです」
リリアの作るパンの事を思い出してしまい、ちょっとにやけながらマイケルが返答するのだった。
「パン??」
キースの思いもしない理由にビックリする。構わずマイケルは話を続ける。
「ええ、パンです。自分で仰るだけあっておいしいですよ」
貴族がパンを作ると言う外聞の悪い話に、キースはマイケルの口を手でふさぐ仕草をする。
「それ、外で言うなよ。流石に公爵家の者が屋敷の者の仕事をしていると言うのは外聞が悪い」
マイケルは自分の口をふさごうとするキースの手を外す。
「言いませんよ。実際、私達この屋敷の者はここから他所に行くこともないのですが、万が一、誰かに言ってあんな美味しいパンが食べれなくなると困るので言いませんよ!!」
マイケルは言わないのは当然と言う態度だったので、キースはそのリリアが作るパンが気になりだした。
「そんなにうまいのか?」
「ええ。飲めます!!」
澱むことなく言い切るマイケルにキースは変なものを見る目で見てしまう。
「流石に、食いしん坊のお前でも、パンは飲めんだろう」
疑わしそうに見るキースにマイケルは言い返す。
「そんなに仰るなら、昼ご飯を一緒に召し上がればいいんですよ」
「一緒にか?」
一緒にという言葉にキースは驚いたように聞き返す。
「食べればわかりますから!!」
自分が作るわけでもないのにマイケルは自信満々に答えるのだった。
11
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが
侑子
恋愛
十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。
しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。
「どうして!? 一体どうしてなの~!?」
いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
なりゆきで妻になった割に大事にされている……と思ったら溺愛されてた
たぬきち25番
恋愛
男爵家の三女イリスに転生した七海は、貴族の夜会で相手を見つけることができずに女官になった。
女官として認められ、夜会を仕切る部署に配属された。
そして今回、既婚者しか入れない夜会の責任者を任せられた。
夜会当日、伯爵家のリカルドがどうしても公爵に会う必要があるので夜会会場に入れてほしいと懇願された。
だが、会場に入るためには結婚をしている必要があり……?
※本当に申し訳ないです、感想の返信できないかもしれません……
※他サイト様にも掲載始めました!
転生皇女はフライパンで生き延びる
渡里あずま
恋愛
平民の母から生まれた皇女・クララベル。
使用人として生きてきた彼女だったが、蛮族との戦に勝利した辺境伯・ウィラードに下賜されることになった。
……だが、クララベルは五歳の時に思い出していた。
自分は家族に恵まれずに死んだ日本人で、ここはウィラードを主人公にした小説の世界だと。
そして自分は、父である皇帝の差し金でウィラードの弱みを握る為に殺され、小説冒頭で死体として登場するのだと。
「大丈夫。何回も、シミュレーションしてきたわ……絶対に、生き残る。そして本当に、辺境伯に嫁ぐわよ!」
※※※
死にかけて、辛い前世と殺されることを思い出した主人公が、生き延びて幸せになろうとする話。
※重複投稿作品※
転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
山下小枝子
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!
面倒くさがりやの異世界人〜微妙な美醜逆転世界で〜
蝋梅
恋愛
仕事帰り電車で寝ていた雅は、目が覚めたら満天の夜空が広がる場所にいた。目の前には、やたら美形な青年が騒いでいる。どうしたもんか。面倒くさいが口癖の主人公の異世界生活。
短編ではありませんが短めです。
別視点あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる