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眠らなかった5分間
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これは、私の身に起きた本当の話です。
その日、夕方近くに友人と、郊外にあるアウトレットモールへ出かけました。
特に買いたいものがあったわけでもなく、ぶらぶらといろいろな店を覗き、フードコートで軽く食事をして、帰ることにしました。
その頃には、もう夜の八時を過ぎていて、外はすっかり真っ暗。
モールから帰り道の県道に入る道を間違えてしまい、ナビを頼りに暗い住宅街を抜け、その先の国道バイパスに乗ることができました。
ほっとして、友人と楽しく談笑しながらの帰り道。
バイパスの降り口の標識を見ながら、
「ミカちゃんちの近くだね~」
と話した、その瞬間でした。
助手席の友人が、ガクッと項垂れて眠ってしまったのです。
疲れていたのかな、と思った次の瞬間、
今度は私の左肩から背中にかけて、これまで感じたことのない悪寒が走りました。
ただの寒気なら、すぐに引くはずなのに、
それは波のように、何度も何度も体を襲ってきます。
そこは、道が大きくカーブしていて、目の前に背の高い防音壁が迫っていました。
私は、とにかく冷静でいようとしました。
眠っている友人は起こさない。
もし起こして、何かが彼女をパニックに陥れたら——
そう思ったからです。
その先も、防音壁に挟まれたまま、大きなカーブを描くバイパスが続きます。
ルームミラーも見ない。サイドミラーも見ない。
前を走る車のテールランプだけを見て、車間距離を保つために速度を調整し、必死にハンドルを握りました。
やがて防音壁が途切れ、市街地に出た辺りで、
あの悪寒は、嘘のようにゆっくりと消えていきました。
同時に、友人も目を覚ましました。
けれど彼女は、何の異変も感じていませんでした。
ただ、急に眠ってしまった、と言うだけでした。
時間にして、五分ほどだったと思います。もしかしたら、それよりも短かったかもしれません。
けれど私には、その何倍もの時間が経ったように感じられました。
そして、話はこれで終わりではありません。
後日、この出来事を、沿線に住んでいて、会話の中にも登場したミカちゃんに話したところ、
「ああ、あそこは死亡事故も多いもんね」
と、何気なく言われたのです。
もし、私が助手席の友人と同じように、
あのとき不意に眠ってしまっていたら。
きっと、防音壁に激突していたことでしょう。
その日、夕方近くに友人と、郊外にあるアウトレットモールへ出かけました。
特に買いたいものがあったわけでもなく、ぶらぶらといろいろな店を覗き、フードコートで軽く食事をして、帰ることにしました。
その頃には、もう夜の八時を過ぎていて、外はすっかり真っ暗。
モールから帰り道の県道に入る道を間違えてしまい、ナビを頼りに暗い住宅街を抜け、その先の国道バイパスに乗ることができました。
ほっとして、友人と楽しく談笑しながらの帰り道。
バイパスの降り口の標識を見ながら、
「ミカちゃんちの近くだね~」
と話した、その瞬間でした。
助手席の友人が、ガクッと項垂れて眠ってしまったのです。
疲れていたのかな、と思った次の瞬間、
今度は私の左肩から背中にかけて、これまで感じたことのない悪寒が走りました。
ただの寒気なら、すぐに引くはずなのに、
それは波のように、何度も何度も体を襲ってきます。
そこは、道が大きくカーブしていて、目の前に背の高い防音壁が迫っていました。
私は、とにかく冷静でいようとしました。
眠っている友人は起こさない。
もし起こして、何かが彼女をパニックに陥れたら——
そう思ったからです。
その先も、防音壁に挟まれたまま、大きなカーブを描くバイパスが続きます。
ルームミラーも見ない。サイドミラーも見ない。
前を走る車のテールランプだけを見て、車間距離を保つために速度を調整し、必死にハンドルを握りました。
やがて防音壁が途切れ、市街地に出た辺りで、
あの悪寒は、嘘のようにゆっくりと消えていきました。
同時に、友人も目を覚ましました。
けれど彼女は、何の異変も感じていませんでした。
ただ、急に眠ってしまった、と言うだけでした。
時間にして、五分ほどだったと思います。もしかしたら、それよりも短かったかもしれません。
けれど私には、その何倍もの時間が経ったように感じられました。
そして、話はこれで終わりではありません。
後日、この出来事を、沿線に住んでいて、会話の中にも登場したミカちゃんに話したところ、
「ああ、あそこは死亡事故も多いもんね」
と、何気なく言われたのです。
もし、私が助手席の友人と同じように、
あのとき不意に眠ってしまっていたら。
きっと、防音壁に激突していたことでしょう。
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