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9章 鍛冶屋とバグ(チート)

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そうして2人は採掘現場の鉱石が眠る洞窟の中へ、以前案内してもらった調査員の男性と共に向っていた。


調査員「しかし・・・、私が採掘作業をしている間にとんでもない事になっていたんですね・・・?」


加治屋「本当に・・・。国王が血迷わなければこう言った事態にはならなかったのですが・・・。

そのせいで鉱石を利用する羽目になってしまいましたし・・・。」


調査員「いえいえ・・・、むしろここに来て、

今まで私のやって来た事がこの世界の役に立つと言うんですから・・・。ようやく・・・。」


調査員はそう今までの苦労を思い出すかの様に言葉を噛み締めていた。


金田「・・・そう言えば、何でお前この作業員の人には敬語なんだよ?

俺や他の奴等には随分と横柄な態度で接してただろ?」
 

加治屋「俺は人柄で判断するんだよ。自分の仕事に実直に向かっている姿は称賛に値する。

何も皆の前で目立つ事をする人間だけが偉いんじゃない、

その下地を作る人がいるからその後の作業がし易くなるんだ。

綺麗な服を着た人間が土木作業員を馬鹿にする事と同じ、馬鹿にした人間には道路を作る事は出来ないんだから。」


金田「・・・偉そうにふんぞり返ってる馬鹿がい過ぎて困るんだけどな。」


加治屋「まぁ何だ、俺もちゃんと人は見てる、普通に話す場合はお前等と大差はない。」


調査員「さぁ・・・、着きました。」


調査員は言葉少なく目的の場所に着いた事を2人に知らせた。


金田「・・・想像していた物より随分大きいな・・・。これがお前の言っていた最後の希望か・・・。」


加治屋「・・・俺そんな事言ったっけか?」


調査員「話は徳井さんから聞かせて貰っています。ですが、これほどの鉱石、

未だに規模がいまいち判明しない程でして、それに強度もかなりあって簡単には加工は出来ないと思いますよ?」


加治屋「それは問題無いそうです。ここにいる元勇者が快適な空間を作り出してくれるらしいです。」


調査員「・・・元勇者?」


調査員はそれを言った途端言葉を失っていた。


金田「いや、俺別に芸術に詳しくねぇから適当に人間2人が入れる空間を作るだけだぞ?」


加治屋「適当じゃあ困る。万が一ここが崩れてでも見ろ。計画は全て台無しになるんだぞ?

表面はなるべく分厚く残せ。後は入り口は作らず下から入れ!」


金田「・・・おいおい、今のお前随分と無茶言ってるぞ?」


加治屋「そりゃあそうだろ?ここに入るのがお前なら尚更だ。

ここでさえも無事じゃ済まなくなるかもしれないんだ。」
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