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9章 鍛冶屋とバグ(チート)

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騎士団長「・・・・・・・・・。」


騎士団長は既に国王の動きを予測していたのか、行方を探す事も、驚愕の声を漏らす事もしなかった。


その行為自体が・・・無駄な事だと言わんばかりに・・・。


国王「どうした?この私を捕まえるのではないのか?その割には行動がお粗末に見えるのだが?」


その声は背後から。そして今度の騎士団長は背後を見ず動きもしなかった。


国王は有無を言わさず騎士団長の頭を後ろから手で掴み、ゆっくりと地面に向って押し付けにかかって来た。


騎士団長(くっ・・・抵抗できない・・・、これはあの力とは・・・関係無いのか?)


国王「なるほど・・・。純粋な力での制圧なら問題ない・・・って事か?」


騎士団長も抵抗を試みるも、全くと言って良い程力が入らず、徐々に地面に近付いて行った。


国王「そらそら・・・どうした?このままでは地面にその端整な顔が汚れてしまうぞ?」


騎士団長(・・・ようやく効果があったのを見て少々調子に乗ってるみたいだな・・・。

だが・・・これで良い・・・。俺ごと・・・転移させてやる!)


最後の抵抗と言わんばかりに騎士団長は両手を地面に突き、それ以上の地面への接近を逃れようとしたが・・・。


国王「お前の抵抗はそんな物なのか?それでは私どころか低級の魔物にでさえも太刀打ち出来んぞ?」


騎士団長「抵抗・・・出来ているかすらわからんが・・・。あんたのその力・・・、

チートだって事を忘れるな・・・?決して・・・あんたに・・・備わっていた物では・・・無い!」


国王「チート・・か。ならそれも良いではないか?何を嫌悪する必要がある?」


騎士団長「・・・何?」


国王「チートであってもそれはこの世に生まれた概念の一つではあるのだろ?

ならば圧倒的な力を突如として身に付けると言う事も不思議でないはずだ。」


騎士団長「概念・・・か。チートを正当化し我が物顔で力を振るう・・・。

そうしてその周辺の人間が驚愕する。そんな物、作品を読んでいなくてもあらすじでもう大体理解出来る。

そんな物・・・俺は理解出来ない。だが別にあんたの言っている事を否定はしない。

考え方は多用にあっても良い・・・。」


国王「何が言いたい?」


騎士団長「だがな・・・、今現在・・・この世界では・・・あんたの力は・・・不必要なんだよ!!!」

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