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第18話

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 〖実は、わたしはあまり社交的な方ではなくて……。留学してからは、少しは人付き合いが上手になったと思いたいですが……。なのでローランド、いざあなたに会えることになった時、緊張し過ぎて顔を見ることもできないのではないかと不安です。読み書きは好きですが、会話となると日本語でも苦手です〗

 そうちゃん、笑わないで。わたし、別に猫被って奥ゆかしさを演じているわけじゃないからね。
 
 これでも、人付き合いは得意じゃないの。ホントに。子供の頃だって、親にはよく『友達を作りなさい』って言われてたんだよ。休みの日とか家で一人で遊んでると、ちょっと嫌な顔っていうか、心配そうに見られたりもした。

 でもさ、それって『勉強しなさい』とかと違って、そもそも相手があってのことだと思う。いくら自分が努力しても、相手にその気がなければ友達になれないわけだし。
 
 もしわたしに子供がいたとしても、『友達を作りなさい』とは強要したくないよ。

 わたしが覚えている限りでは、仲良くしたい同級生なんてほとんどいなかった。友達って無理に作るものじゃないよね。もちろん、相手を理解しようとする努力や気遣いや歩み寄りは必要だけど、あとは相手次第だよ。わたしはそのことを、既に小学生のうちに身をもって学んだわ。

●翌朝

 【君の前途が輝く朝日のように美しくありますように。いつの時も笑顔でいられますように。おはよう】

 うわぁ♥ ローランド、今朝の四時半にLINEくれてたよ。

 まだ続きがある。今回は結構長いね。

 【君と知り合ってから、君の存在は僕にとってかつてないほどの喜びを与えてくれている。この喜びはエンドレスだ。こんなにも幸せをもたらしてくれる君に、僕はこの上なく感謝している】

 なんかロマンチック♫ 欧米人って、こうやって感謝や喜びをストレートに表現するよね。

 え? また嘘くささがプンプンするって?

 嘘じゃないって。ほら、続きを読めば分かるんだから。

 【何も心配することはないよ。君はただ心から僕を受け入れてくれればいいんだ。後悔はさせない。君と共に、これからの人生を歩んでいきたい】

 ローランド、またまたダイタン! これってもう告白だと見なしていいよね!

 ちょっと、そうちゃん。読めば読むほどじつが感じられなくなってくる、とか言わないでよ。こうやって、ステキな単語や言い回しを総動員させて告白するのって、欧米では当たり前なんだよ。きっと。

 ほら~、続きもロマンティック♥

 【互いに愛し合う関係は本当に素晴らしい。喜びに満ちてサポートし合い、求め合い、ありのままの正直な姿を受け入れる。僕もありのままの君を知りたい】

 え? ローランド、だんだん羞恥心しゅうちしんがなくなってきたって? 

 あのねぇ、そもそもローランドは、わたし以外の人が読むことは想定せずにLINEくれてるの。まあ、わたしだけじゃ英語分からないから、そうちゃんにも見せて手伝ってもらってるけど!

 誠心誠意を込めて告白することって、別に恥じることじゃないと思うよ!

 ん~、でも今はどう返信すればいいか分からないから後にする。これから出掛けなきゃいけないし。

 〖ありがとうございます。とても胸が熱くなりました。今からちょっと用事があるので出掛けます〗

 【君の純真さを知ることができて良かった。出掛ける前に、ちゃんと朝食は食べた?】

 そうちゃん、そんなの余計なお世話だとか言わないで。ローランドはわたしを心配してくれているんだよ。朝食は大切なんだから。

 〖オムレツを作って食べました。今日はあまり天気が良くありません。台風のせいでしょうか。早く遠くへ行ってほしいです〗

●帰宅後

 【何事もなく、輝く笑顔で過ごせることを祈ってるよ。一人で出掛けたの?】

 ずいぶん細かいことを訊いてくるね。でもこれって、わたしに興味があるからだよね。絶対!

 〖はい。今日は一人でした。時々、母親も一緒に出掛けます。この春、母親は腰を手術しました。リハビリのために少しは歩いた方が良いので。あと、今日のわたしのジョギングコースです〗

 キレイでしょー。神社とか公園の景色とかの画像。

 いつもお花の画像送ってくれるから、こっちからも興味深い画像送らなきゃね。
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