完結>友達以下 彼氏未満

切羽未依

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学校を休んだ理由

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 翌日。宇賀が休んだ。

 俺は心臓バックン!バックン!で、朝のショートホームルームの後、教室を出た担任の鹿尾先生を追う。
「先生。宇賀、休みって、体調不良って、何?」
「仲良くなったんじゃないの?お前ら。」
「なりましたけど!」
「じゃ、本人に聞けば?」
「……あいつ、本当のこと、言ってくんなさそうな気がする…」
 俺の手は、自分のブレザーの裾、掴んじゃってる。

 俺は、鹿尾先生に聞いた。
「宇賀、病気とかじゃないですよね?昨日、あいつ、体育は、ずっと見学だったって言ってて…」
「ぶははは。それで?うはははは」
「何で笑うんすか!!」

 鹿尾先生が、口を閉じて、その前に人差し指を立てた。
 口の端、ひくひく、笑ってやがる。

「お前、本人にも言うなよな。俺から聞いたこと。」
 鹿尾先生は、顔の横に出欠簿を立てて、ひそひそ声で言った。
「体中が痛くて動けないから、病院に行くって言ってた」
「は?ははははははははははは」
「先生、宇賀に、病名、教えてやって、病院なんて行かないで、さっさと学校来い。って言ったけど、ベッドも起き上がれないほど、相当、重症らしい。ありゃ来そうもねえな」
「はははははははは」
 筋肉痛で休むなんて、限りなくズル休みじゃね?

 4時間目の前に、早弁した。
 昼休み、お腹いっぱいで走るのも、空きっ腹で走るのも、よくないから。

 宇賀くん、学校に来ないな~。ぶははは。

 そして、昼休み。トイレの個室で、体操着に着替える。

 校庭に集まったのは、選ばれし……ケッコーいるな。
 見るからに、運動神経ないくん、ないちゃんたちが、集まってる。
「今宮、いるか?」
「はい」
 体育の先生に呼ばれて、俺は近くに行く。

「お前、今回はマジで走れよ。ペースメーカーとか、するなよ」
 マジ走りするつもりなかったんだけどな~。
「うっす」
 準備体操を俺が始めると、他の子も、のろのろ、始める。

 準備体操しながら、出欠が取られて、来てないヤツ4人、校内放送で呼ばれて、担任の先生?に拉致られて、連れて来られた。
 そのうちの1人は、
「体操着、持って来てない」
 って、制服で、ぶーたれると、
「じゃ、明日な。」
 って、体育の先生に、笑顔で言われてました。

 んじゃまあ、本気、出しますか。
 走り出して、昨日、走ったばっかだから、距離感も体がわかってて、校舎の時計で1周のペースを確認しながら、走る走る走る走る走る、ケッコー体が楽だったので、残り2周半、ほぼ全力疾走で駆け抜けた。

 ゴ~~~~ル!

 まだ走ってるヤツらのジャマになんないように、トラックの内側に入って、はあはあ、ゆっくり、歩いていると、体育の先生に腕を掴まれた。
なんっ、すか~。ガチのっ、マジでっ、走り、ました、よっ」
「お前!部活、何だっけ?!」
「バスケ部、ですっ」
「陸上部、入れ。これ、もう少しがんばったら、高校生記録だぞ」
「マジで?!」


 翌日。時間ギリギリに登校した宇賀くんに、
「昨日は、筋肉痛でお休み~?」
 教室のどこからか声がかかって、
「どうして、それを?!」
 叫んで俺は、うろたえる。

 俺と鹿尾先生の会話、教室に聞こえてた?!鹿尾先生、ひそひそ声だったのに??

「どう考えても、そうでしょ」
「やっぱりか~」
「俺も休みてえ~。まだいてえよ」
「俺、ゼンゼンだいじょうぶ」
「意外と、明日あたり、キたりして~」
 教室のあちこちで声が上がる中、教室の入口から真っすぐに宇賀は、窓際の一番前の席の俺を睨んでいた。

 俺は、ぶんぶん、首と手を横に振って、「俺、何にも言ってない!」と、目で必死に訴えた。
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