隣国からのこんにちは

とーま

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俺の物語はここから始まる。

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 物語の主人公なんてものは類稀なる才能や、何千万年に一度の逸材などそんなものが題材になるなんでよくある話だ。だが俺は違う。才能なんてものには縁もゆかりもない。

俺はただの凡人だ。

 ー2020年五月十日ー (月)
 俺(斎藤拓哉)は高校二年生になって新しいクラスになり約一ヶ月を過ぎたところだ。このクラスにも慣れてきて特に仲がいいやつがいるわけではないが、このクラスに不便を感じてることは特にない。毎朝七時に起き学校へ向かい学校が終わるのは夕方四時半。これが俺の毎日の日課であり、この日課が変わることはないはずだった。

ー2020年五月十四日ー (木)
 この日もいつも通り帰宅する予定だった。家に帰るまでそう遠くはない。特に一緒に帰る友達もいないので一人で歩いて家に向かっていたところだった。信号を渡っていたところ、赤信号を無視して突っ込んできた大型トラックにはねられたのだ。接触直後の刹那の時間、脳内には今までの人生が走馬灯の如く駆け巡る。特に裕福な家庭で育ったというわけではないが、自分なりに良い生活を送れていたと思っている。学校も高校受験には無事合格し今年二年生になったばかりだというのにこんなふうに終わってしまうのは何処と無く遣る瀬無いが、これが運命ならば従うほかないだろう。そんな事が脳内を駆けているうちに、意識が無くなってしまった。

 

「ルイ!仕事サボってないでちゃんと働け!」

威厳のある大男がこちらに向かって怒鳴っている。日本人ではない。

 「ここはどこだ。ルイ、ルイって誰だ。」

 「頭でも打ったのか、ふざけてないでさっさと働け。」

俺の頭の中には斎藤拓哉としての記憶がほんのわずか残っている。全神経を頭に集中させて斎藤拓哉としての記憶を呼び戻す。

 「俺は確かトラックに轢かれて、死んだ。じゃあ俺は誰だ。さっきあの男が言っていた名前、ルイそれが俺の名前か。いや待てまずここはどこだ。」

 記憶が徐々に戻ってきたところでここがどこなのか聞くために大男に尋ねる事にした。

 「なあ、ここって何処だ。」

 「パリだが、お前ほんとどうしたんだ。頭おかしいぞ。」

 「パリか、てことはフランスだな。今は、西暦何年の何月何日だ教えてくれ。」

 「西暦か、確か2020年の今日は五月十四日じゃなかったか。だがそんなこと聞いてどうすんだ。」

 「いや、ありがとう教えてくれて。おかしい確か俺が死んだのも2020年の五月十四日だった気がする。だとするとどういう事だ。生まれ変わるには早すぎる。まず生まれ変わるなんて事が存在して良いのか。それに今の俺の背丈を見る限り二十歳に近い年齢だ。日本にいたはずの俺の存在はどうなっている、抹消されてるのか、それともちゃんと死んだことになってるのか。」

 そんなことを口ずさんでいると、先ほどの大男からの強烈な鉄槌が降った。

 「いつまでサボってるつもりだ、さっさと仕事戻れ」

 頭を手で押さえながらもポツリと呟く、

 「俺はここでルイとして生きていく。だが絶対解き明かしてみせる。俺が日本で生きた証拠を。」


こうして俺の物語はここから始まる。


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