旅路魔王討伐

みかん

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三話 

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 三人は訓練場へと来た。
 カイレンは炎魔法、ヨウシンは氷魔法、フリュージェは物理操作魔法を練習している。
 物理魔法は物体を動かせる魔法だ。すべての物体を動かせるわけではない。動かせる物体を増やすためにはやはり、練習が必要である。

 魔物に魔法を使う際には、相性というものがある。相性が不利な状態で戦えばすぐに負けてしまうこともあるため、重要だ。

 カイレンとヨウシンとフリュージェは夢について語り合った。三人とも一流の魔法使いを目指していることが分かり、やはり魔王の討伐が今一番の目標であった。

 カイレンには昔、弟がいた。だが、魔物に殺された。カイレンの目の前で魔物に殺される弟の様子を見ることしかできなかったカイレンは自分の無力さとともに、魔物への憎しみが湧いた
 ヨウシンは小さいころ、魔物に襲われた。その時、助けてくれた冒険者がいた。その冒険者は名を語ることなく、ヨウシンのもとを去っていた。それから助けてもらった冒険者のようになりたいと思うようになり、冒険者を志すようになっていった。
 フリュージェは昔、親友と思っていた人からの裏切りにあった。それから今まで、人を信用することができなくなっていた。自分は悪くないものの、このままではいけない、変わる必要があると思うようになった。それから自分を変えるため、冒険者を目指し始めた。

「好きなことってあるの?」
 カイレンはフリュージェに聞いた。
 フリュージェは少し考えた後話し始めた。
「うーん……自然が好きかな。自然を見るのも好きだけど、自然そのものが好きというか。だって自然って裏切らないじゃん? なんというか否定をしてこないというか……一人で風を感じながら散歩することが好きかな」

 魔王は町から遠く離れた場所にいる。魔王がいるとされる付近の詳細な地図がないため、近づくのは簡単ではない。まだ魔王の付近にたどり着いたものはいないとされている。魔王のもとへ行くための道中には様々な困難が連続しているといわれている。優秀な冒険者が何人も魔王を倒すため、町を出ているが、行方不明となったり、町へと帰還してきたかと思えば、その風貌は別人のような変わり果てた姿へとなっている。

 訓練場では様々な属性を持った、的が次々と出てきている。
 的の属性に対し、有利な属性の魔法を当てれば、的を倒すことができる。
 瞬発力と攻撃力の調整、その一瞬の判断が重要な訓練である。

 三人は、クエストのレベル六をクリア出来たら町を出ることにした。

 町から出て冒険するものは多くいる。
 町の外には未知の世界が多くあるとされている。
 町の外に出た時には、現在位置と物資の量を常に把握しておくことが重要になる。

 それから三日間、三人は訓練に明け暮れた。
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