異世界探検記

救世主 〜世界を救ったヒロト〜

　ヒロトたちは無事、西側の入り口に着いた。
　魔物は現れず、先に進んでいく。
　するとヒロトたちの前を影が遮った。
　そしてすぐ、影の正体は姿を現した。
「ふっ忘れてなんかいなかったぜ、こんなところにいたんだな……」
　ヒロトたちの前に現れたのは、馬に乗った魔物だった。
「はっ！」
　ユンセルは魔物に向け、氷魔法を放った。
　あっさりと魔物はユンセルの攻撃を避けた。
「っな！」
　チャキーン
　ものすごいスピードで魔物はユンセルに近づき、剣を振り下げた。
　危機一髪のところでガード魔法を出せ、なんとか攻撃を防げた。
「はぁ！」
　ヒロトが後ろから剣で攻撃を仕掛ける。
「なっ」
　魔物は振り向くことなく、ヒロトの攻撃を避けた。
「タク！」
　タクはヒロトの合図を受け、球体を作った。
　ヒロトは球体を魔物に投げた。
　馬の足にヒットした。
　一気に三つの球体を投げる。
　残りの足にヒットした。
　魔物の馬は足を曲げ、動かなくなった。
　すると馬に乗った魔物は剣を上にあげ、自分の馬の頭に突き刺した。
　馬は、醜い鳴き声をあげ、消えた。
　魔物は歩いてヒロトの方に向かってくる。
「はっ」
　ユンセルは魔物の足に、氷魔法を放った。
　魔物の足が凍り、動きが止まった。
　その隙に、ヒロトはタクが作った球体を投げ攻撃した。
　だが、あまり効いていない。
　ヒロトは、かな、ユンセルの方を向いた。
「ーーーーできないか？」
「もちろん！」
「出来るぜ！」
　三人はカナに近づいた。
「空間転移！」
　ヒロトたちは……
　一気に魔物の真後ろに移動した。
　周りはユンセルのガード魔法により、守られている。
「ありがとう、みんな……」
　ヒロトは剣を突き立て、魔物の背中に剣を刺した。
　魔物はその場に倒れ、消えた。
「やった！」
　その後、他の魔物の姿が全く見えなくなった。
　作戦通り、放射能物質を集め、放射能除去が完了した。
　その後、ガードを貼らなくても、影響がない状態まで落ち着いた。
　ヒロトたちは、ハルミの元に向かい、西側の問題は全てなくなったこと、魔物が消えたことを報告した。
　そしてすぐ、そのことは、町の人たち全体に噂として知れ渡った。
　その後、ヒロトたちは町の広場に招待され、そこでヒロトたちへの感謝のパーティーが開かれた。

「ヒロト？　……ヒロトなのかい？」
　ヒロトを呼ぶ声が後ろから聞こえてきた。
　ヒロトは後ろを向いた。
　そこには少し歳をとったおばさんがいた。
　するとおばさんはヒロトに抱きついた。
「よかった……無事で……」
　そう言うと、もう一度ヒロトの顔を見た。
「あんた……ほんとにヒロトか？」
　ヒロトはそう言われ、驚いた。
　ヒロトのもとにユンセルたちが駆けつけた。
「あの……あなたは？　……」
　ユンセルが聞くと、おばさんはユンセルの方を向いた。
「ヒロトの母です……」
　ヒロトたちはびっくりした。
　その後、ヒロトは落ち着いて聞いてくださいと言い、ヒロトは自分は過去から今のヒロトと入れ替わり、入れ替わったヒロトはそこで昔、地球温暖化を救い、寿命を全うしたことを伝えた。
　ヒロトの母は、俯いて、少し考え込んだ後、口を開いた。
「ヒロトは……やるべきことをやってくれたのね……そしてあなた……ヒロトも今この世界を救ってくれた……ヒロトの代わりだと思うことは出来ないかもしれないけど、私はあなた、ヒロトを守る義務が、私にはあると思う」

「それに、亡くなった夫も喜ぶと思う」

「息子と祖父が、世界を救ったんだ……てね」