凍った世界

みかん

文字の大きさ
1 / 3

一話

しおりを挟む
 今日は、休日。

 平井祐介は、休日にしては早く起きることができた。まるで、何か特別なことが起こる予感でもあったかのように。リビングのテレビを付けると、ゆっくりと朝食を食べる。そして、テレビから流れるニュースを耳で聞く。

「続いてのニュースです。専門家によりますと海水の水質がここ数十年に比べ、過去にない勢いで変化しているとのことです。この変化によりどのような事態が予測されるかそれはまだわからないとのことですが、専門家も調査を続けていくとのことです」

 祐介はテレビを消す。そして外に出る。潮風が肌に当たる。ゆっくりとした足取りで歩く。五分ほど歩くと祐介の眼の前には海が広がっていた。

 祐介は一人暮らし。部屋自体は広くないが、海が近くにあるアパートだ。休日にはこうして朝食後、海を眺めるのが日課だ。海は今日もきれいだ。今日は休日で心の余裕があるからか、いつもより海は大きく、そして広く見えた。

 そして家に帰る。それから祐介は外に出ず、ダラダラとした休日を部屋の中で過ごした。次の日になる。今日は仕事だ。休日はあっという間に過ぎる。昨日と同じ時間に起き、朝食を食べ、祐介は職場に向かった。

 仕事内容は事務作業だ。軽く挨拶をし、誰とも話すことなく席につき、与えられた仕事をこなしていく。集中していれば仕事もあっという間に過ぎていった。そして帰宅した。1日中座りっぱなしとはいえ、やはり体に疲れが出ている。帰ってすぐシャワーを済ませる。お湯を電気ポットで沸かし、棚からカップ麺を取り出す。蓋を開け、お湯を注ぐ。リビングのテーブルに座りテレビをつける。

 一人暮らしになってもリビングでご飯を食べるのは一年前までの実家暮らしの影響もあるだろう。帰宅後の時間帯はいつもニュースがある。そしてそれを聞いて、世間を知る。

「ニュースです。専門家によりますと、南極の方から順に、海の温度が急低下し、凍っているとのことです」

 祐介はテレビに目を向ける。最近は温暖化、温暖化と騒いでいるのに真逆の情報が耳へと入ってきたからだ。

「これは異常です。今まで南極の氷はなくなるかもと専門家とともに検証がされていたのに今、真逆のことが起こっているのです。しかも南極だけではありません。比較的気温の高い地域も今急激に気温が下がりつつあります」

 祐介はだんだん眠くなってきた。明日も早い。祐介は食べ終わったカップ麺をゴミに捨て、歯磨き、洗顔をしたあと、床についた。

 次の日、外の音が騒がしく目覚ましがなる前に目を覚ました。まだ外は暗い。だがおかしい、沢山の人の声がする。祐介は外に出る。近所の人達が同じ方向に向かって走っている。祐介は気になり後を追った。皆は海の方向に向かっている。

 朝日がだんだんと昇り、周囲が明るくなってくる。海が朝日に照らされる。そして祐介は驚愕した。海が、凍っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

ワシの子を産んでくれんか

KOU/Vami
ライト文芸
妻に先立たれ、息子まで亡くした老人は、息子の妻である若い未亡人と二人きりで古い家に残された。 「まだ若い、アンタは出て行って生き直せ」――そう言い続けるのは、彼女の未来を守りたい善意であり、同時に、自分の寂しさが露見するのを恐れる防波堤でもあった。 しかし彼女は去らない。義父を一人にできないという情と、家に残る最後の温もりを手放せない心が、彼女の足を止めていた。 昼はいつも通り、義父と嫁として食卓を囲む。けれど夜になると、喪失の闇と孤独が、二人の境界を静かに溶かしていく。 ある夜を境に、彼女は“何事もない”顔で日々を回し始め、老人だけが遺影を直視できなくなる。 救いのような笑顔と、罪のような温もり。 二人はやがて、外の世界から少しずつ音を失い、互いだけを必要とする狭い家の中へ沈んでいく――。

**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密

まさき
青春
 俺は今、東大院生の実験対象になっている。  ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。  「家庭教師です。住まわせてください」  突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。  桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。  偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。  咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。  距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。  「データじゃなくて、私がそう思っています」  嘘をついているような顔じゃなかった。  偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。  不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...