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現代の常識学
【伝承7】とある書物の内容
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「師匠見てくださいよ!ボクのこの素晴らしい顔を!今日も美しいでしょう?」
そう言って、金色の長い髪の整った顔立ちの中性的な赤い目の少年がドヤ顔で言う。
「せんせー、こんな面白くない顔よりこっちの手作り弁当を見てくださいですにゃ!」
ドヤ顔をする少年と私の間に入り込むように銀色の長い髪の吸い込まれるような青い瞳の少女が言う。
「おやおや…誰かと思えば、どこぞの畜生じゃ無いですか。相変わらず、美的感覚が無いようですね。」
少年が呆れた様子で言う。
「ハッ!寝言は寝て言えつーの!こっちは美の神の子にゃんよ!美意識に対して、その辺のトカゲごときに遅れを取るわけがにゃいだろ!」
少女も強気に言葉を吐く。
「ほう?畜生のくせに龍に喧嘩を売るとはいい度胸ですね。ぶっ殺してやりしょうか?」
少年と少女は今にも取っ組み合いが始まりそうな雰囲気だ。
少年の名はグレイス、金剛龍の龍人であり、私の弟子の一人だ。
私の弟子の中では一番背が高く、一番光り物が好きでド派手にやるのが好き。
少女の方はカリアン、神の子であり、私の弟子の一人だ。
私の弟子の中では一番背が低いが音楽に関する事なら彼女に任せるのがもっとも適していると思う。
言うと怒られるから言わないけど、胸は永遠の断崖絶壁。
「主殿!拙者の新しい魔術を見てほしいでござる!」
そう言って、後ろで一つにまとめた青く長い髪の青い瞳で白いフレームの眼鏡をかけた少女が言う。
この少女はアレイシア。
元々は捨て子だったのを私が拾って育てている。
ちなみにアレイシアも私の弟子の一人だ。
そして、私の弟子の中では一番胸が大きく、とても頭が良いので回復魔法の開発の第一人者を務めるほどである。
私もカリアンと同じ平らな胸なので、この全てを受け止めるような雄大な山の大きさは羨ましい限りである。
大きさだけでなく、綺麗な球体なのも羨ましい…
私はそれぞれの相手をする。
「グレイス、カリアン、喧嘩はやめなさい。アレイシアの魔法はこの辺りの回路の改善が必要かもしれないわね。」
「ケッ!」
「チッ!」
グレイスとカリアンは舌打ちをしながら、お互いに顔をプイッと背ける。
「なるほど…では、これならどうでござるか?」
「それなら、ここを除外して、あれをこうするのとかいいと思うわよ?」
「了解でござる!主殿のおかげでまた一歩前進でござる!」
アレイシアは嬉しそうに言うと自分の研究室に戻る。
「シェテラエンデ様ぁ~♡愛しのネイアちゃんが来ましたよぉ~」
「ウゲッ…」
グレイスが露骨に嫌な顔をしながら見ている先には翡翠の長い髪、アメジストの様な綺麗な紫の瞳の少女がいた。
彼女はネイアード。
私の弟子では無いが、教え子の一人で異常に私の事を好いているせいで、周りから距離を置かれたり、嫌な顔をされがちだが、本人は気にしていない様子。
私の弟子の中で一番胸が大きなアレイシアよりも胸がより大きく綺麗な球体で変態である。
胸については羨ましいと思うが、この思考になるのは嫌かな…
「グへへ…シェテラエンデ様の素敵な香りを身体中に取り込みませんと…」
ネイアはだらしない表情で言う。
普段はこんな感じだが、実は私の弟子の誰よりも戦闘能力が高く、本気を出せばSランクの上位龍種である巨大龍の群れも一瞬で壊滅させるほどの力がある。
「ネイアちゃん、ヨダレ垂れてるにゃんよ。いくら、先生が美しいからと言ってもダラしない顔をするのは良くにゃい。」
「おっと…これはいけませんね。カリアンさんの言う通りですわ。」
カリアンに指摘されてハンカチでヨダレを拭きながら、ネイアードが思い出した様子で言う。
「あ、そうだ。シェテラエンデ様、第四魔王のガラディア様が試合を行いたいとの事ですが、如何致しましょうか?」
第四魔王:ガラディアは現在は5人いる魔王のうちの一人だ。
それぞれが名乗る番号は魔王になった順なので、特に意味はなかったりする。
「なら、受けて立つと伝えてちょうだい。場所はいつものところで良いわ。」
「承知しました。」
ネイアードはそう言うと真剣な顔をして私の顔を見て言う。
「シェテラエンデ様、一つお願いがあります。」
「あら、なにかしら?」
私はなんとなく予想は着いていたが、一応聞いておく。
「グへへ…ボクと今夜…その…」
「おい!エロガキ、このボクを差し置いて師匠に近づこうとするとはいい度胸だな。ぶっ殺してやるよ。」
グレイスがネイアードに喧嘩を売りに行く。
「あらあら…爬虫類の分際でボクに喧嘩を売ろうとは面白いですね。相手になりますよ?」
ネイアードがニコニコと微笑みながら言う。
「じゃあ、こっちはネイアちゃんに着くにゃ!トカゲ野郎にゃんかに手を貸したくにゃいからね。」
カリアンもノリノリで茶々入れている。
「はいはい。勝負するなら、ここで暴れないでね。」
私がそう言いながら、本を片付けていると…
「やいやいやいやい!シェテラエンデ!貴様と言うやつはいつまでこんなところでのんびりとしておるのだ!あまりに遅いから、第四魔王の我がここまで来たでは無いか!」
威勢よく緋色の翼を揺らしながら、緋色の短い髪の緋色の眼の少女が入ってくる。
頭には彼女が魔族である事を証明するかのような天に向かって大きく伸びた緋色の角が2本ある。
角を入れなければ、私の胸の辺りくらいまでの身長であり、私と同じく胸は断崖絶壁だった。
彼女の身長の倍近くある角を入れれば私と同じくらいの身長に見える。
私は少女に言う。
「ガラディアちゃん、ごめんね。ちょっと前に挑戦の話を聞いたところだったのよ。」
「む?そうなのか?なら、仕方ないな。実はネイアードに3の時ほど前に伝言を頼んでおったのだが…」
ガラディアはそう言うとネイアードを睨むように見る。
ガラディアの言う「3の時ほど前」とは3時間前くらいをさしている。
決して、彼女は短気でせっかちな性格では無いのだ。
むしろ、ヒトとして見ても指折りの気の長い呑気な性格なのだ。
魔族は元々気が短くせっかちな種族だが、魔王の素質がそうさせているのか、魔王は通常の魔族よりも呑気な性格であることが多く、現在の魔王も一人を除いて呑気で優しい性格をしている。
基本的には能動的にヒトを襲うことは無いし、大抵のことは気にしない様子である。
ただし、魔王やその領土に対する攻撃行為があれば、排除対象になる事は覚えておかなければならないだろう。
「興味無いので忘れてました。」
特に悪びれる様子も無くネイアードは淡々と言う。
「はぁ…お主と言うやつは…」
ガラディアは呆れたように手を横にして首を振る。
「まあよい。暴れることが出来るなら、我は満足じゃ。」
ガラディアがそう言って出て行き、私達も移動する。
…
闘技場…
それは最近作られた力比べの勝負所…
ここでは毎日、さまざまな戦いが繰り広げられている。
Xランク冒険者同士の勝負、パーティ戦の模擬試合、魔族の力比べなど…
挙げ出すとキリが無いほどの試合によって会場は常に熱に浮かされるような雰囲気を出している。
私も気まぐれに参加したりする事もあり、会場の盛り上がりも凄いことになる。
「それでは、次の試合の参加者は場内に入ってくださーい!」
司会がそう言って両者に場内と呼称される戦いのフィールドへの入場を促す。
そして、両側にある扉から互いに場内の中央まで歩みを進める。
会場が沸き立つ。
「それでは!ただいまより【現生の全能神】Xランク最強の魔導師:シェテラエンデ・アルフェルンと【黒炎の龍拳】の第四魔王:ガラディア・ヴァルゼリーザとの試合を開始します!」
司会がそう宣言すると同時にガラディアが魔力を解放する。
「先手必勝じゃあ!焼き尽くす我が覇道!止めれるもんなら止めてみせぇい!龍炎砲撃掌!」
膨大な龍の炎を載せた衝撃波がガラディアの突き出した左手の掌から発せられる。
「母なる海に包まれよ…マスィーティア!」
瞬時に生成された塩の混じった巨大な水泡が炎の熱を和らげると同時に発生した塩で壁を作る事でガラディアの衝撃波を完全に無力化する。
「続けて行くわよ!我が声に応えなさい!塩の巨人!」
壁や辺りに散らばった塩が集まって、山のような巨人の形になり、シェテラエンデの命令に従ってガラディアに巨大な拳を振り下ろす。
「ぐぬぬ…なんのこれしき!」
ガラディアが拳を受け止めた右手が徐々に龍の鱗に覆われ始め、指先の爪も鋭く変化する。
「砕け散れぇ!」
そのまま塩の巨人の拳を粉々に粉砕する。
「あはは!力任せに砕くだけでは攻略など出来ないわよ!」
シェテラエンデの言葉通りに塩の巨人の身体がどんどん修復されていく。
「ならば、溶かして固めてしまえばいいのだ!龍炎練撃掌・捌連!」
ガラディアは足を大きく開いて右の掌を構えると炎を纏った8発の龍の炎で出来た火球を放つ。
青白く燃える炎が塩の巨人を溶かし、大地に沈め固める。
「うんうん!そうでなくちゃ面白くないわ!」
シェテラエンデは楽しげに言う。
「楽しい!楽しいぞ!シェテラエンデ!我ももっと激しく燃え上がろうぞ!」
ガラディアの周囲の温度が急上昇し、煉獄を思わせるような真っ赤な炎が翼の形を作り、ガラディアの背中に赤黒く燃え上がる炎を纏った緋色の龍の翼が現れる。
「グラアアアアアアアア!」
ガラディアが咆哮をあげるとともに翼の真っ赤な炎が吹き飛ぶ。
「ほんの少しだけ、本気で行きますよ!」
シェテラエンデが一振の先に浮遊する円が着いた宇宙を思わせるような黒い杖を空間から取り出す。
「イクゾ!龍炎轟唱派!」
ガラディアが赤黒く燃える翼を羽ばたかせ、天高く飛翔する。
「デヤアアアアアアアアアアア!」
そのまま膨大な声量に乗せた黒炎が地に居る者を消滅させんがばかりの勢いで降り注ぐ。
「荒ぶる氷河の王よ。全てを凍てつかせる力を奮い給へ…スー二ゲリャーチ!」
シェテラエンデが杖を振って魔法を唱えると杖の先から小さな氷の少女が現れ、自身の身に纏う圧倒的な冷気で黒炎を氷の塊へと変化させて消滅させる。
「さぁ…踊り踊られ、踊り踊れて、踊り狂いて、根源にて奇を繕いましょう…」
シェテラエンデの詠唱とともにガラディアの遥か上空から巨大な魔法陣が展開され、そこから上半身だけ出した巨大な何かが現れる。
何かは人間の言葉では形容出来ず、また正しく認識することさえ困難を極めるような正体不明のものだ。
辛うじて、何かは人型の骨格である事だけは認識が出来る。
「カオスマリオネット…混沌の根源よ…我が声に従え!」
「_________!!!」
何かの咆哮のようなものが聞こえたと同時にガラディアが不明な力で地に叩きつけられる。
「ガッ!?ナンジャ?!この力は…!」
ガラディアの翼が消滅する。
「根源に住む混沌のほんの一部を借りたのよ。百兆分の一にも満たない力だけど、勝てないでしょ?」
「めちゃくちゃ過ぎる…ただの試合で出していい代物じゃ無いじゃろ…」
何かは魔法陣に戻って行き消失する。
「さて。ガラディアちゃん、降参する?それとも、このまま私に叩き潰されてみる?」
シェテラエンデは天使のような優しい声とは真逆の悪魔のような表情をして言う。
「降参はしない…元々我が仕掛けた勝負じゃからな!」
ガラディアはそう言うとシェテラエンデに対峙する。
「それは良い心がけね。」
シェテラエンデの魔力が高まる。
「だから、その心に敬意を持って、一撃で倒すわ!」
シェテラエンデの右眼が青く輝く。
そして、その場で時計回りに体をクルッと回して杖を突きだす。
「ハーデスウィスパー」
優しく包み込むような雪がガラディアを包み込み、一瞬で意識を奪う。
「ガラディアちゃん…」
ガラディアは意識を奪われてなお、仁王立ちで構えていた。
「勝負あり!勝者、【現生の全能神】:シェテラエンデ・アルフェルン!」
「うおおー!」と会場が大盛り上がりし、シェテラエンデとガラディアの両者を称える声で埋め尽くされる。
「さ、帰るわよ。」
シェテラエンデはガラディアを担いで場内から帰宅するのであった。
そう言って、金色の長い髪の整った顔立ちの中性的な赤い目の少年がドヤ顔で言う。
「せんせー、こんな面白くない顔よりこっちの手作り弁当を見てくださいですにゃ!」
ドヤ顔をする少年と私の間に入り込むように銀色の長い髪の吸い込まれるような青い瞳の少女が言う。
「おやおや…誰かと思えば、どこぞの畜生じゃ無いですか。相変わらず、美的感覚が無いようですね。」
少年が呆れた様子で言う。
「ハッ!寝言は寝て言えつーの!こっちは美の神の子にゃんよ!美意識に対して、その辺のトカゲごときに遅れを取るわけがにゃいだろ!」
少女も強気に言葉を吐く。
「ほう?畜生のくせに龍に喧嘩を売るとはいい度胸ですね。ぶっ殺してやりしょうか?」
少年と少女は今にも取っ組み合いが始まりそうな雰囲気だ。
少年の名はグレイス、金剛龍の龍人であり、私の弟子の一人だ。
私の弟子の中では一番背が高く、一番光り物が好きでド派手にやるのが好き。
少女の方はカリアン、神の子であり、私の弟子の一人だ。
私の弟子の中では一番背が低いが音楽に関する事なら彼女に任せるのがもっとも適していると思う。
言うと怒られるから言わないけど、胸は永遠の断崖絶壁。
「主殿!拙者の新しい魔術を見てほしいでござる!」
そう言って、後ろで一つにまとめた青く長い髪の青い瞳で白いフレームの眼鏡をかけた少女が言う。
この少女はアレイシア。
元々は捨て子だったのを私が拾って育てている。
ちなみにアレイシアも私の弟子の一人だ。
そして、私の弟子の中では一番胸が大きく、とても頭が良いので回復魔法の開発の第一人者を務めるほどである。
私もカリアンと同じ平らな胸なので、この全てを受け止めるような雄大な山の大きさは羨ましい限りである。
大きさだけでなく、綺麗な球体なのも羨ましい…
私はそれぞれの相手をする。
「グレイス、カリアン、喧嘩はやめなさい。アレイシアの魔法はこの辺りの回路の改善が必要かもしれないわね。」
「ケッ!」
「チッ!」
グレイスとカリアンは舌打ちをしながら、お互いに顔をプイッと背ける。
「なるほど…では、これならどうでござるか?」
「それなら、ここを除外して、あれをこうするのとかいいと思うわよ?」
「了解でござる!主殿のおかげでまた一歩前進でござる!」
アレイシアは嬉しそうに言うと自分の研究室に戻る。
「シェテラエンデ様ぁ~♡愛しのネイアちゃんが来ましたよぉ~」
「ウゲッ…」
グレイスが露骨に嫌な顔をしながら見ている先には翡翠の長い髪、アメジストの様な綺麗な紫の瞳の少女がいた。
彼女はネイアード。
私の弟子では無いが、教え子の一人で異常に私の事を好いているせいで、周りから距離を置かれたり、嫌な顔をされがちだが、本人は気にしていない様子。
私の弟子の中で一番胸が大きなアレイシアよりも胸がより大きく綺麗な球体で変態である。
胸については羨ましいと思うが、この思考になるのは嫌かな…
「グへへ…シェテラエンデ様の素敵な香りを身体中に取り込みませんと…」
ネイアはだらしない表情で言う。
普段はこんな感じだが、実は私の弟子の誰よりも戦闘能力が高く、本気を出せばSランクの上位龍種である巨大龍の群れも一瞬で壊滅させるほどの力がある。
「ネイアちゃん、ヨダレ垂れてるにゃんよ。いくら、先生が美しいからと言ってもダラしない顔をするのは良くにゃい。」
「おっと…これはいけませんね。カリアンさんの言う通りですわ。」
カリアンに指摘されてハンカチでヨダレを拭きながら、ネイアードが思い出した様子で言う。
「あ、そうだ。シェテラエンデ様、第四魔王のガラディア様が試合を行いたいとの事ですが、如何致しましょうか?」
第四魔王:ガラディアは現在は5人いる魔王のうちの一人だ。
それぞれが名乗る番号は魔王になった順なので、特に意味はなかったりする。
「なら、受けて立つと伝えてちょうだい。場所はいつものところで良いわ。」
「承知しました。」
ネイアードはそう言うと真剣な顔をして私の顔を見て言う。
「シェテラエンデ様、一つお願いがあります。」
「あら、なにかしら?」
私はなんとなく予想は着いていたが、一応聞いておく。
「グへへ…ボクと今夜…その…」
「おい!エロガキ、このボクを差し置いて師匠に近づこうとするとはいい度胸だな。ぶっ殺してやるよ。」
グレイスがネイアードに喧嘩を売りに行く。
「あらあら…爬虫類の分際でボクに喧嘩を売ろうとは面白いですね。相手になりますよ?」
ネイアードがニコニコと微笑みながら言う。
「じゃあ、こっちはネイアちゃんに着くにゃ!トカゲ野郎にゃんかに手を貸したくにゃいからね。」
カリアンもノリノリで茶々入れている。
「はいはい。勝負するなら、ここで暴れないでね。」
私がそう言いながら、本を片付けていると…
「やいやいやいやい!シェテラエンデ!貴様と言うやつはいつまでこんなところでのんびりとしておるのだ!あまりに遅いから、第四魔王の我がここまで来たでは無いか!」
威勢よく緋色の翼を揺らしながら、緋色の短い髪の緋色の眼の少女が入ってくる。
頭には彼女が魔族である事を証明するかのような天に向かって大きく伸びた緋色の角が2本ある。
角を入れなければ、私の胸の辺りくらいまでの身長であり、私と同じく胸は断崖絶壁だった。
彼女の身長の倍近くある角を入れれば私と同じくらいの身長に見える。
私は少女に言う。
「ガラディアちゃん、ごめんね。ちょっと前に挑戦の話を聞いたところだったのよ。」
「む?そうなのか?なら、仕方ないな。実はネイアードに3の時ほど前に伝言を頼んでおったのだが…」
ガラディアはそう言うとネイアードを睨むように見る。
ガラディアの言う「3の時ほど前」とは3時間前くらいをさしている。
決して、彼女は短気でせっかちな性格では無いのだ。
むしろ、ヒトとして見ても指折りの気の長い呑気な性格なのだ。
魔族は元々気が短くせっかちな種族だが、魔王の素質がそうさせているのか、魔王は通常の魔族よりも呑気な性格であることが多く、現在の魔王も一人を除いて呑気で優しい性格をしている。
基本的には能動的にヒトを襲うことは無いし、大抵のことは気にしない様子である。
ただし、魔王やその領土に対する攻撃行為があれば、排除対象になる事は覚えておかなければならないだろう。
「興味無いので忘れてました。」
特に悪びれる様子も無くネイアードは淡々と言う。
「はぁ…お主と言うやつは…」
ガラディアは呆れたように手を横にして首を振る。
「まあよい。暴れることが出来るなら、我は満足じゃ。」
ガラディアがそう言って出て行き、私達も移動する。
…
闘技場…
それは最近作られた力比べの勝負所…
ここでは毎日、さまざまな戦いが繰り広げられている。
Xランク冒険者同士の勝負、パーティ戦の模擬試合、魔族の力比べなど…
挙げ出すとキリが無いほどの試合によって会場は常に熱に浮かされるような雰囲気を出している。
私も気まぐれに参加したりする事もあり、会場の盛り上がりも凄いことになる。
「それでは、次の試合の参加者は場内に入ってくださーい!」
司会がそう言って両者に場内と呼称される戦いのフィールドへの入場を促す。
そして、両側にある扉から互いに場内の中央まで歩みを進める。
会場が沸き立つ。
「それでは!ただいまより【現生の全能神】Xランク最強の魔導師:シェテラエンデ・アルフェルンと【黒炎の龍拳】の第四魔王:ガラディア・ヴァルゼリーザとの試合を開始します!」
司会がそう宣言すると同時にガラディアが魔力を解放する。
「先手必勝じゃあ!焼き尽くす我が覇道!止めれるもんなら止めてみせぇい!龍炎砲撃掌!」
膨大な龍の炎を載せた衝撃波がガラディアの突き出した左手の掌から発せられる。
「母なる海に包まれよ…マスィーティア!」
瞬時に生成された塩の混じった巨大な水泡が炎の熱を和らげると同時に発生した塩で壁を作る事でガラディアの衝撃波を完全に無力化する。
「続けて行くわよ!我が声に応えなさい!塩の巨人!」
壁や辺りに散らばった塩が集まって、山のような巨人の形になり、シェテラエンデの命令に従ってガラディアに巨大な拳を振り下ろす。
「ぐぬぬ…なんのこれしき!」
ガラディアが拳を受け止めた右手が徐々に龍の鱗に覆われ始め、指先の爪も鋭く変化する。
「砕け散れぇ!」
そのまま塩の巨人の拳を粉々に粉砕する。
「あはは!力任せに砕くだけでは攻略など出来ないわよ!」
シェテラエンデの言葉通りに塩の巨人の身体がどんどん修復されていく。
「ならば、溶かして固めてしまえばいいのだ!龍炎練撃掌・捌連!」
ガラディアは足を大きく開いて右の掌を構えると炎を纏った8発の龍の炎で出来た火球を放つ。
青白く燃える炎が塩の巨人を溶かし、大地に沈め固める。
「うんうん!そうでなくちゃ面白くないわ!」
シェテラエンデは楽しげに言う。
「楽しい!楽しいぞ!シェテラエンデ!我ももっと激しく燃え上がろうぞ!」
ガラディアの周囲の温度が急上昇し、煉獄を思わせるような真っ赤な炎が翼の形を作り、ガラディアの背中に赤黒く燃え上がる炎を纏った緋色の龍の翼が現れる。
「グラアアアアアアアア!」
ガラディアが咆哮をあげるとともに翼の真っ赤な炎が吹き飛ぶ。
「ほんの少しだけ、本気で行きますよ!」
シェテラエンデが一振の先に浮遊する円が着いた宇宙を思わせるような黒い杖を空間から取り出す。
「イクゾ!龍炎轟唱派!」
ガラディアが赤黒く燃える翼を羽ばたかせ、天高く飛翔する。
「デヤアアアアアアアアアアア!」
そのまま膨大な声量に乗せた黒炎が地に居る者を消滅させんがばかりの勢いで降り注ぐ。
「荒ぶる氷河の王よ。全てを凍てつかせる力を奮い給へ…スー二ゲリャーチ!」
シェテラエンデが杖を振って魔法を唱えると杖の先から小さな氷の少女が現れ、自身の身に纏う圧倒的な冷気で黒炎を氷の塊へと変化させて消滅させる。
「さぁ…踊り踊られ、踊り踊れて、踊り狂いて、根源にて奇を繕いましょう…」
シェテラエンデの詠唱とともにガラディアの遥か上空から巨大な魔法陣が展開され、そこから上半身だけ出した巨大な何かが現れる。
何かは人間の言葉では形容出来ず、また正しく認識することさえ困難を極めるような正体不明のものだ。
辛うじて、何かは人型の骨格である事だけは認識が出来る。
「カオスマリオネット…混沌の根源よ…我が声に従え!」
「_________!!!」
何かの咆哮のようなものが聞こえたと同時にガラディアが不明な力で地に叩きつけられる。
「ガッ!?ナンジャ?!この力は…!」
ガラディアの翼が消滅する。
「根源に住む混沌のほんの一部を借りたのよ。百兆分の一にも満たない力だけど、勝てないでしょ?」
「めちゃくちゃ過ぎる…ただの試合で出していい代物じゃ無いじゃろ…」
何かは魔法陣に戻って行き消失する。
「さて。ガラディアちゃん、降参する?それとも、このまま私に叩き潰されてみる?」
シェテラエンデは天使のような優しい声とは真逆の悪魔のような表情をして言う。
「降参はしない…元々我が仕掛けた勝負じゃからな!」
ガラディアはそう言うとシェテラエンデに対峙する。
「それは良い心がけね。」
シェテラエンデの魔力が高まる。
「だから、その心に敬意を持って、一撃で倒すわ!」
シェテラエンデの右眼が青く輝く。
そして、その場で時計回りに体をクルッと回して杖を突きだす。
「ハーデスウィスパー」
優しく包み込むような雪がガラディアを包み込み、一瞬で意識を奪う。
「ガラディアちゃん…」
ガラディアは意識を奪われてなお、仁王立ちで構えていた。
「勝負あり!勝者、【現生の全能神】:シェテラエンデ・アルフェルン!」
「うおおー!」と会場が大盛り上がりし、シェテラエンデとガラディアの両者を称える声で埋め尽くされる。
「さ、帰るわよ。」
シェテラエンデはガラディアを担いで場内から帰宅するのであった。
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