元チート大賢者の転生幼女物語

こずえ

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現代の常識学

【アイエフ02】鋼の星

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「ねぇねぇ、ご主人様~」

私は主の元へ不思議な紋章の描かれた本を持って行く。

「どうしたの?」

調合書を片手に調合をしている少女が言う。

「イタズラしようとして…じゃなくて、屋敷を散歩してたら、変な本を見つけたんだけど、これってなんなのかわかる?」

私が本を渡すと少女は首を傾げながら言う。

「ん~…わかんないなぁ…でも、この感じ…どこかで見たことがあるような気が…」

少女がそう言って調合中の素材に魔力を流そうとした瞬間だった。

「うわああああああああ!」

突然本が光出して、私たちの視界が真っ白になる。



浮遊感があった後に何か柔らかいものの上に顔から落ちたのを理解する。

「イテテ…」

少女の声が聞こえたと同時に柔らかいものが顔を押し上げて、顔が落ちたのを理解する。

視界が元に戻ると私は少女の太ももに顔を埋めていたのがわかった。

「ん?え?!ごめんなさい!」

私は慌てて立ち上がる。

「あ…うん…大丈夫…」

どことなく赤い顔でシェラが言う。

私は顔からシェラの胸に落ちて、そのままシェラが起き上がる時に太ももの方にずり落ちたみたいだ。

そんなことをうっすらと考えながら、周りを見ていると…

「これは…なんだろ?」

シェラがたまたま持っていたオリハルコンの小さなナイフで地面の金属の表面を削って確認する。

その瞬間だった。

「ビー!ビー!」と突然ものすごい音の警告音が鳴り響き、赤い明かりが点滅する。

「警告!警告!侵入者あり!侵入者あり!繰り返します!警告!警告!侵入者あり!侵入者あり!至急、マザールームまで来てください!」

シェラが慌てた様子で言う。

「なんかヤバそうだし、逃げるよ!」

私はシェラに手を引かれながら、たまたま蓋の開いていた通気ダクトに入る。

通気ダクトから見た景色には私たちが先程まで居た場所には物々しい重装備の機械たちが大量に集まっていた。

偶然にも機械たちは通気ダクトには気がついてない様子で周囲を警戒していた。

「フィナちゃん、早く」

もう少し観察していたかったが、シェラが呼ぶので私も先に進む。

しばらく進むと別の蓋が開いたダクトがあったので、周囲に気をつけて、そこから部屋の中に入る。

「あっ…」

私は着地に失敗して足首を挫く。

何が起こるか分からないので立ち上がろうとするが、思うように足が動かない。

「フィナちゃん、私の中に居なよ。歩けないでしょ?」

シェラの助言の通りに私はシェラの中に居ることにした。

『これなら私たちの会話も聞かれることは無いと思うし、平気そうだね。』

シェラはそう言って周囲を注意深く観察する。

私もシェラの中で全方位を見て気になるものや気になる点が無いか見る。

部屋の中自体はなんともなかったが、妙な感覚を感じる。

「…あれ?」

それはシェラも同じだったようで、シェラがもう一度確認する。

「魔法が使えない…?」

どんなに魔力が無い場所であっても自身の魔力を使った魔法なら扱えるはずなのだが、不思議なことにここではそれも出来ないようだ。

より詳しく言うと発動はしているが、効果が現れた状態にならない…

つまり、魔法が発現の状態にならないのだ。

魔法の発現には生命力…命の力が大きく関わってくるため、発現が起こらない=死者の魂を含めた生命が一切存在しないことになる。

魔法は基本的にどんなところでも発動すれば発現して、効果がもたらされるものなので、その発現が起こらない時点で効果が現れることもないため、実質的に魔法が使状態になっているのだ。

固有能力も同じで生命力が発現に関わる要素になるので、発動は出来るが、発現しないため、効果が無い状態になっている。

「うわっ!」

私は突然シェラの中から弾き出されて尻もちを着く。

「フィナちゃん!?」

シェラの驚いた声に反応したのか、「ガチャガチャ」と遠くから音が聞こえる。

「詳しいことは後で話すよ。今はここを切り抜けよう。」

私は痛む足に鞭を打ちながら、立ち上がる。

「そうね。でも、ヤバかったら、私を盾にしなさいよ。多分、ここでは契約魔族でも普通に死ぬわ。」

「大丈夫よ。例え、足が折れようと、内蔵が潰れようと、ご主人様を盾にするようなことはしないわ。そんなことをするのは魔族の…いえ、フィナと言う存在にとって、死より恐ろしい恥曝しよ。」

「…わかったわ。でも、無理はしないこと。それだけは約束して。」

「合点承知之助にゃ!」

私たちは速やかにかつ静かに部屋を出て少し離れた通路の奥に隠れる。

同時に一体の機械が部屋の前に着く。

「260番で侵入者の形跡あり。260番で侵入者の形跡あり。マザーへの報告を開始します。」

「させないっ!」

シェラがぶん殴って機械を一撃で破壊する。

再びあの警告音が「ビー!ビー!」となる。

「警告!警告!260番で破損機体あり。繰り返す。260番で破損機体あり。至急、260番へ迎え。」

周囲が騒がしくなる。

「壊してもダメなの?!」

シェラはそんなことを言いながら逃げる。

私もなんとかシェラに追いつき、物陰に隠れることに成功する。

「はぁ…はぁ…こ、ここまで来れば…追ってこないかな?」

肩で息をしながらシェラが言う。

「グッ…」

足に激痛を感じて座り込む。

見ちゃダメだと思いつつも見てしまった。

赤黒いシミのような感じの内部出血があることが確認出来た。

それもかなり大きめであることから、ダメージは大きなものだと理解する。

正直に言って、これ以上は身体を支えることすらままならない状況だ。

「フィナちゃん…無理させてごめんね…どっかで補強材でも手に入ればいいんだけど…」

「いえ…この程度なら平気…と言いたいところだけど、ちょっとキツいかも…何故だかわからないけど、ご主人様の中に入れなくなっちゃってるみたいだし、怪我の治りも遅いし、身体も普段より弱くなってるから怪我の状態が悪化しやすくなってるし…」

「なら、ここは私に任せて!」

シェラはそう言うと通路に飛び出してしまった。

「あ、ちょっと!」

壁で身体を支えながらでは全力疾走するシェラに追いつくのは不可能だった。

諦めて私は元の物陰に隠れることにする。

幸いにもこの場所はあまり使われていないらしく、目の前を機械が通り過ぎる事はあっても、ここまで来ることはなかった。

何度か警告音がなる度に心臓の鼓動が早くなる感覚を感じていた。

そうして、息を殺しながら、永遠に感じるほどの時間が経った。

「ご主人様…遅いなぁ…」

私はそんなことをポツリと呟く。

「ザッザッ」と音が聞こえたので、慌てて気配を殺す。

「フィナちゃん、居る?」

聞き覚えのある声はシェラの声だった。

「…いるよ。」

「良かったぁ…」

そう言ってシェラがこちらにやってくる。

「ちょっと重いかもだけど…」

そう言っていくつかの金属を組み合わせて、即席のギブスを作る。

シェラの手でつけられたギブスのおかげで私は再び動けるようになったが、もう通気ダクトのような狭い場所には行けそうにない。

「せめて、削ったりだけでも出来たら良かったんだけど、ちょっとでも音を立てるとすぐにあの機械が集まってきちゃうんだよねぇ…」

シェラは数回ほど会話を試みたが、その試みは失敗し、逆に襲われたらしい。

よって、会話による交渉の道は完全に途絶えたことが確定する。

シェラにも明らかに疲れが見えているため、ここから出ないとジリ貧で殺されるのも時間の問題だろう。

「それと今までの事を振り返って思い出したんだけど、私たちがここに来た原因の本は、あのマザールームって場所にあるみたいなの。多分、あの本にまた魔力を流せば帰れると思うんだけど…」

シェラが首を振る。

「さっきから、大騒ぎしてるせいで警備が厳重になっちゃってるのよねぇ…これじゃ、動きにく過ぎる…なんとかしてセキュリティを突破しないとマザールームに辿り着くことすら難しくなる。さらには地図もないから、余計に辿り着けない状況が続いてるのよねぇ…」

シェラがそう言うと通路とは反対側から音がする。

「オメーら、ここの地図を探してんのかい?」

私もシェラも思わず身構える。

そこに居たのは先程の機械たちと違って古ぼけた機械だった。

古ぼけた機械は首を振って言う。

「そんな警戒しなくても良いべ。オラはただのガラクタでい。」

ガラクタはそう言うとスマホのような板の端末を差し出す。

「これは…?」

大昔に異世界人が持ってたと言われているスマホのような板の端末を受け取って外観を眺める。

「んだ?オメ、これの使い方知らねぇのけ?オラが操作してやっから、覚えてくんろ。」

そう言って、ガラクタが操作すると地図が出てくる。

「あ、これマネーカードみたいに触って使えるんだ。ガラクタさん、ありがとう!」

「良いってことよ。オメーらの会話を勝手に聞いちまったからな。オラはアイツらみてぇにマザーの支配下にはねえから、オメーらを助けられっけども、他の奴らは違う。他の奴らは皆マザーによって作られてマザーによって支配されてんだ。それがかつてこの世界に居た生命体が組み込んだプログラムだからな。」

「この世界に居た…と言うことは今はもう居ないの?」

「んだ。大昔にマザーが誤作動を起こして、世界中の機械たちが反乱を起こしてこの世界の生命体を蹂躙し始めたんさ。本来は命を守るために存在してたものがマザーの誤作動のせいで次々に殺戮兵器に変化しちまった。オラはたまたま旧式でマザーとは切り離された状態で動いてたからマザーの支配を受けなかったんさ。その端末も旧式だから、オラと同じマザーとは切り離された状態さ。同時にこの世界の最後の生命体となった人間が遺したものでもあり、この世界の地図であるとともにマザーの停止装置でもある。もっとも、マザーに読み込ませな意味がねぇけどな。」

ガラクタはそう言うと奥の方へと行こうとする。

「貴方はどうするの?」

「オラはもう戦えねぇ…だから、動かなくなるその日までひっそりと暮らすっペよ。」

ガラクタは奥へ行きながら言う。

「んじゃ、達者でな。無事に帰れることを祈っとるよ。もっとも、オラは機械だから祈る心はねぇけどな。」

ガラクタはそのまま闇の中へと消えて行った。

「…ご主人様、行こう。」

私はシェラに声をかけて再び歩き始める。

「…まずはセキュリティルームでセキュリティを破壊するよ。多分、適当に触ってれば壊れるはず。」

しばらく、端末を見ながら、周囲の警戒もしつつ、歩いてセキュリティルームまで行き、装置をデタラメに操作する。

「異常な操作を確認、セキュリティ保護のため、全てのセキュリティを再起動します。」

セキュリティがシャットダウンしたと同時に全ての機械たちの稼働音が止まる。

シェラがその隙に端末を差し込み、セキュリティの解除コードを端末にインストールする。

そして、セキュリティが復帰する前に端末を装置から外す。

ちなみにさっき出てきたマネーカードのシステムは異世界人の持っていたスマホを参考に作られたものなので、操作方法もシェラは知っているらしい。

大賢者と言われるだけあって、膨大な知識を持っていることは間違いないようだ。

…まあ、普段はそんな風には見えないけど。

「セキュリティが復帰しました。順次巡回を開始します。侵入者を発見し次第削除してください。」

再び周囲で機械たちが動き出す音が聞こえる。

私は一足先にセキュリティルームから出る。

「さてと…後はここをこうしてっと…」

シェラは私のギブス代わりに使っていた1枚の鉄の板を使って、機械が入ってきたら、ショートするように罠を作る。

「これでよしっと。これでアイツらがここに来たら、セキュリティが止まるようになったよ。とは言っても、どのくらい止めれるかは分からないから、アテになんないけど。」

シェラはそう言うと気をつけてセキュリティルームから出る。

「よし。後はアイツらに見つからないようにマザールームまで行くよ!」

私は細い鉄の棒と包帯替りのテープでぐるぐる巻きになっている足を引き摺りながら、シェラについて行く。

しばらくして、機械が罠にかかって、セキュリティが止まった隙をついて突破不可能なセキュリティを抜ける。

残すはマザールームに入るだけとなった。

シェラの予想通り、あの本はマザールームの通気ダクトの近くに落ちていた。

そのせいか、機械たちも気がついていないようだった。

「やっぱ、そう簡単にはいかないわよね…」

大量の機械が蜘蛛の糸ひとつも逃さないかのような完璧な警備をしていた。

「試しにこれでも投げてみる?」

たまたまその辺で拾った鉄球を見せる。

「う~ん…こっちに気がつかれると厄介なんだよなぁ…」

そう言いながら、シェラがその鉄球を受け取る。

「…」

シェラはそれを見つめて言う。

「フィナちゃん、命を賭ける覚悟は出来てる?」

私はシェラが何をしようとしているのかを察した。

「私の命はご主人様のものよ。他の誰にも渡すわけないじゃない!」

私が自信満々に言うとシェラは「フッ…」と笑って言う。

「よろしい!ならば、存分に愉しもうじゃないか!」

シェラが狙いを定めて一番近くの機械に向けて鉄球を投げる。

それと同時に私は走り出したシェラを追いかける。

「侵入者発見!侵入者発見!総員、マザールームに集合せよ!総員、マザールームに集合せよ!」

赤い警告灯が光り、施設全体に凄まじい音の警告音が鳴り響く。

「侵入者発見!削除する!」

機械がシェラに気づいて襲いかかる。

「うるさい!」

シェラが次々に襲い来る機械たちをただの鉄塊に変えていく。

「対遠距離武装展開、発射します!」

「させないよ!」

私の近くにいた機械が構えていた銃を蹴り飛ばす。

「グッ…なんのこれしき!」

ギブスがある方の足で蹴り飛ばしたせいで足がもげたかのような激痛が走る。

だが、そんなことで止まるほど弱くない。

私はそのまま銃や火器を構える機械の武器を蹴り飛ばす。

シェラは引き続き機械たちを鉄塊に変えながら、徐々にあの本の元へと向かう。

私もなんとか機械たちの猛攻を凌ぎながら、少しづつシェラの元へと向かう。

「アグッ!」

シェラの左肩に機械の剣が刺さる。

「負けるかぁ!」

シェラはその機械を蹴り飛ばして破壊する。

シェラは血を流しながら走り、本を拾う事に成功する。

だが、完全に機械に囲まれてしまって身動きが取れない状況になっていた。

「くぅ…あと少しなのにっ!」

私も足が上手く動かないせいでなかなか動けないでいた。

もうダメだと思ったその時だった。

「ドゴーン!」と大きな爆発音が響く。

「警告!警告!第一、第二電源が爆破されました!第一、第二電源が爆破されました!至急、第三電源の保守と第一、第二電源の修理を行ってください!」

シェラの持っている端末から声が聞こえる。

「オラがオメーの手伝いが出来るのもここまでだ。後は任せたでな。」

「ガラクタさん!」

「ドゴーン!」と先程よりも大きな爆発音が響く。

「警告!警告!メインエンジンルーム、稼働生産工場、エネルギープラント、備蓄用倉庫で爆発あり!至急、修理に向かえ!」

私は動きが僅かに鈍くなった機械たちを蹴り飛ばしてシェラの元へ向かう。

「ご主人様!」

「フィナちゃん!無事…だとは言えないわね。」

シェラが苦笑する。

「それは仕方ないにゃ。」

私がキャピっと猫アピールをしながら言うとシェラがマザーのメインコンピュータらしき装置を見る。

「ガラクタさんの最後の願い…叶えよう…」

「…そうね。」

私はシェラと一緒に僅かに残った襲ってくる機械を破壊してマザーに端末を接続する。

「警告!警告!緊急停止装置が作動しました。マザーシステムが停止します。緊急停止装置が作動しました。マザーシステムがててててててて…」

それまで、ただの壁だと思っていたはずの壁が崩れて中から一人の少女が現れる。

少女はゆっくりと目を開けて言う。

「ありがとう…私を止めてくれて…これでやっと…私も皆の元へ還れる…」

少女はそう言うとゆっくりと目を閉じて、一粒の涙を流す。

「異界から来た恩人メシアよ…どうか、その行く末に幸多からんことを祈っています。」

少女はそう言うと完全に動かなくなってしまった。

「ゆっくりお眠りなさい…貴方は頑張ったわ…」

シェラが手を合わせる。

周囲が静かになり、徐々に稼働が停止していることを理解する。

「さあ、帰るわよ。手を握って。」

シェラと手を握る。

そして、シェラが本に魔力を流すと本が光り輝く。



永遠とも感じるほどの一瞬が過ぎて、元の場所に帰ってきたのを感じる。

「ドタドタ」と足音が聞こえて扉が開かれる。

「シェラさんっ!」

カリヤがシェラに飛びつく。

「おわっと!危ないから、飛びつかないでよ…」

「だってぇ!シェラさん…突然居なくなって…ボク…ボク…うわああああああああああん!」

「カリヤちゃん…心配させちゃってごめんね。」

続々とシェラの部屋に人が入ってくる。

「シェラさん!酷い怪我をしてるじゃないですか!治療するので見せてください!」

ユキがシェラの怪我を見て言う。

「シェラ様!ハラミも心配したんですよ!寂しかったです!」

「あーはいはい。ごめんって…」

シェラが皆に揉みくちゃにされていた。

「フィナさん、お疲れ様でした。」

ティアラは丁寧に私の怪我を治療しながら言う。

「…ありがとね。」

私はティアラにお礼を言う。

「なんのことでしょう?」

ティアラはよくわからないと言った表情で言う。

「アタシがご主人様と異世界に行っていた間のこと…それと怪我の治療をしてもらったことについてよ。アンタのおかげで大きな騒ぎにはなってないんでしょ?アンタの顔を見ればわかるわ。」

私が説明するとティアラは表情を変えることはなかったが、どこか優しげな目で言う。

「シェラ様の配下として当然のことをしているだけです。それに感謝しているのは私も同じです。フィナさんのおかげでシェラ様が暴走することもなく、無事に帰ってこられたのですから…良くも悪くも素直な貴方が居たから、シェラ様も大賢者らしい行動を行えていますし、貴方が傍にいてくれたおかげでシェラ様もかなり安心していたようですからね。」

ティアラはそう言って優しい表情でシェラを見る。

「あはは!やっぱ、アンタは凄いよ。元々アンタが凄いのは知ってるけど、今日改めてそう思ったよ。アンタが居れば、安泰だわ。」

私がそう言うとティアラは真剣な表情で私の顔を見る。

「私一人ではダメです。貴方もシェラ様も他の誰か一人でも欠けてはいけません。私にも未熟な部分はあります。だから、仲間で集まって足りないところを補い合うのです。貴方もその一人ですよ。」

しばらく見つめ合う。

そして、私は笑う。

「あはは!やっぱ、アンタが居れば安泰だわ!アンタのおかげでアタシも助かってるし!」

「はぁ…」

ティアラはため息をつく。

「全く…どいつもこいつも…私の話を聞きやしないんですから…」

ティアラは口では呆れた様子だが、声はどこか嬉しそうだった。

シェラの方を見ると揉みくちゃにされながらも楽しそうにしていた。

「はぁ…錬金釜が近くにあるのにあんなに暴れて良いんですかねぇ…?」

「フフッ…後でお説教タイムになるのかにゃ?」

「その時はフィナさんにもお説教しますよ?」

「なんでよ!アタシは暴れてないじゃない!」

「問答無用!覚悟ー!」

「ぎゃー!」

ティアラのお説教タイムが始まった。

やっと開放された頃にはすっかり日が暮れていた。

オリオンが晩御飯が出来たと呼びに来なければ、朝まで続きそうな勢いだった。

晩御飯を食べて、お風呂に入った後にシェラの中に帰って寝る。

『あれ?もう寝ちゃうの?』

『いろいろあったから、疲れちゃったのよ。』

『そっか~…』

シェラが優しげな声で言う。

『それじゃ、おやすみ。ご主人様。』

『あいよ。おやすみなさい。フィナちゃん。』

私は今日のことは忘れないだろう。

普段なら見られない大賢者様らしいところも見れたし…

それにあんなに危険なところで命を賭けた冒険をしたのに、すっごく楽しかったからね。

そんなことを考えながら、私は静かに眠りへと誘われて行った。



『全くもう…だらしない格好で寝ないでください。』

ティアラは大の字で服がはだけている幸せそうな表情をした少女の服を直して寝床に運ぶ。

『全く…最後まで手間のかかる人ですね。』

ティアラはそう言って眠りにつくのであった。
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