spiritGUARDIAN ~あの空の向こうへ~ ②

七瀬 ギル

文字の大きさ
1 / 1
風に揺れる竜胆の花

穏やかな正午の一時

しおりを挟む
日曜日の正午前、商店街の南口に紫月と黄泉の姿があった。

朝顔 紫月
『お待たせ!遅くなって御免ね!』

百合 黄泉
『気にしないで。私も今さっき着いたところだから』

2人は商店街の中へ向かって歩き始めた。

朝顔 紫月
『でも珍しいこともあるんだね』

百合 黄泉
『何が?』

朝顔 紫月
『いつもお礼させてくれないから』

百合 黄泉
『尊敬している人と話していて、たまには甘えてみようかなって思っただけよ』

朝顔 紫月
『尊敬する人?』

紫月は少し驚いた表情を見せた後、物凄く嬉しそうな顔で再び黄泉に話し掛けてきた。

朝顔 紫月
『もしかしてその人って髪の毛が青かったりする?』

その問い掛けに対し黄泉は恥ずかしそうに口を開く。
 
百合 黄泉
『少なくともオレンジや赤色では無いわよ』

そんな会話を交わしながら2人は先月開店したばかりのハンバーグの専門店へと入り、然程並ぶこと無く案内された席に着きメニューを手に取った。

------------------------❶●●

朝顔 紫月
『お昼前に来て正解だったね』

そう言いながら、紫月は混み合っている店内を見渡した。

百合 黄泉
『そうね。ここまですんなり入れるとは思ってもいなかったわ』

2人は早々に注文するメニューを決め、呼び出しボタンを押した。
すると若い女性スタッフがオーダーを取りに近寄ってきた。

女性スタッフ
『ご注文をお伺い致します』

紫月はメニューに指を翳しながら話し始めた。

朝顔 紫月
『この3種類のチーズハンバーグを2つお願いします』

女性スタッフ
『3種類のチーズハンバーグを、お2つですね』

朝顔 紫月
『はい。後ホットコーヒーも2つお願いします』

女性スタッフ
『3種類のチーズハンバーグをお2つ、ホットコーヒーをお2つ。以上で宜しかったでしょうか?』

朝顔 紫月
『はい。お願いします』

女性スタッフ
『畏まりました。少々お待ちくださいませ』

そう言い残すと、女性スタッフはカウンターの方へと歩いて行った。

------------------------●❷●

紫月は不思議そうに黄泉の顔を眺めている。

朝顔 紫月
『コーヒー飲めるようなったんだね』

百合 黄泉
『つい最近ね』

朝顔 紫月
『それも青い髪の子のおかげ?』

紫月は、とても嬉しそうだ。
そんな紫月を眺め、黄泉は頬を赤く染める。

百合 黄泉
『何よ!嬉しそうに』

いつも無愛想な黄泉がメンバーと打ち解け合っていることが、紫月にとっては物凄く嬉しいのであった。

------------------------●●❸

注文から7分程で2人の元へと料理が運ばれ、2人は食事を摂り始めた。

百合 黄泉
『このハンバーグ凄く美味しい!』

朝顔 紫月
『ほんとだね!美味しい!』

百合 黄泉
『でも紫月ちゃんなら作れそうね』

朝顔 紫月
『私にも作れるかなぁ?』

百合 黄泉
『紫月ちゃんなら作れるわよ!』

紫月は黄泉の顔を眺め、少しそわそわとしながら話し始めた。

朝顔 紫月
『前に調理の専門学校は諦めたって話したの覚えてる?』

百合 黄泉
『うん。覚えてるわ』

朝顔 紫月
『あれね、飲食店で2年以上働いたら調理師国家試験を受けられるんだって。』

百合 黄泉
『じゃあ、まだ諦めなくて良いってこと?』 

朝顔 紫月
『うん』

百合 黄泉
『良かったわね』

朝顔 紫月
『心配かけちゃったから伝えておきたくて』

百合 黄泉
『でもそれならblancで働いている場合じゃないんじゃないの?』

朝顔 紫月
『そうだね。でももう少しだけblancに居たいんだ』

百合 黄泉
『ふ~ん。でも紫月ちゃんなら大丈夫よ。私が保証するわ』

黄泉は話し終わると恥ずかしそうにコーヒーを口にし、紫月はそのいつもと変わらない親友との居心地の良い時間に安堵の表情を浮かべていたのであった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

嘘はあなたから教わりました

菜花
ファンタジー
公爵令嬢オリガは王太子ネストルの婚約者だった。だがノンナという令嬢が現れてから全てが変わった。平気で嘘をつかれ、約束を破られ、オリガは恋心を失った。カクヨム様でも公開中。

壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~

志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。 政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。 社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。 ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。 ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。 一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。 リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。 ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。 そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。 王家までも巻き込んだその作戦とは……。 他サイトでも掲載中です。 コメントありがとうございます。 タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。 必ず完結させますので、よろしくお願いします。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

『お前を愛する事はない』なんて言ってないでしょうね?

あんど もあ
ファンタジー
政略結婚で妻を娶った息子に、母親は穏やかに、だが厳しく訊ねる。 「『お前を愛する事は無い』なんて言ってないでしょうね?」

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。

ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。 彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。 婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。 そして迎えた学園卒業パーティー。 ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。 ガッツポーズを決めるリリアンヌ。 そのままアレックスに飛び込むかと思いきや―― 彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。

処理中です...