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学園編
162. 追い出されたんじゃないよ
マダム先生は、頑として魔法陣に触れようとしない子どもの魔力量を測ることをあきらめた。
「今日はここまでにしましょう。休んで、明日の学科試験に備えてください」
「……はい」
子どもは、小さく息を吐き、身体の力を抜いた。騒ぎは起こしたけれど、明日の試験が受けられることになって安心したようだ。
となると、やることは一つ。止まってしまった手に、頭をこすりつける。もっとなでて。
「なでてほしい、と言っている」
「あ、すみません」
「落ち着くまで、しばらく控え室を使えばいい。部隊長、お願いします」
このまま宿におとなしく帰るかどうか分からないし、あきらめきれずに校内で何かしそうな気もする。だったら、部隊長さんにゆっくり話を聞いてもらうのがいい。
『オレも行く。何かあったら呼んで』
「その使役獣をしばらく預かってくれ」
「この子……ですか?」
「試験に飽きたらしい」
『キャンキャン』
その理由付けはどうなの。子どもを心配しているとか、励ますためとか、それっぽい説明の仕方があったでしょう。オレのイメージが台無し!
子どもが部屋を出たあと、ドアのすき間からマダム先生がため息をついているのが見えた。
控室には誰もおらず、部隊長さんは子どもを座らせ、自身も隣に座ったので、オレは子どもの膝の上に飛び乗る。
「人懐っこい子ですね」
「学園の子どもたちにも人気なんですよ」
『キャン』
子どもは少し打ち解けてきたのか、笑顔を見せた。部隊長さんがそっと子どもの肩に触れたが、今度は逃げなかった。
「もしよければ、どうしてこの学園に入りたいのか教えてもらえますか? 私は神獣様の騎士です。貴方の許しなく、学園の先生たちには話しません」
「神獣様の……」
そうだよ。ここは神獣の守護する学園だから、安心して事情を話してよ。
子どもは少し考えこみ、そして、オレの背中を強めになでつけた。
「あの、使役獣は主人と意思疎通ができるって、本当ですか?」
「それなりには……」
オレが特別だと言えない部隊長さんが、返事をぼかしている。普通の使役獣なら、オレみたいにはっきり言葉は通じないけど、感情は伝わる。
「じゃあ、この子に言うと、学園長に伝わるんですね」
『キューン』
オレがいると、ウィオに聞かれたくない話ができない。ここは、部隊長さんに任せてしまおう。
『オレ、ウィオのところに帰るよ』
「その子には、学園長のところに戻ってもらいましょう。それでいいですか?」
「……はい」
いなくなるから、何に困っているのか話してほしい。勇気がいるだろうけど、頑張って。
ウィオのいる学園長室に戻ると、一日目の試験についての会議が始まっていた。
出席者は、学園長、学科長、騎士代表の副部隊長。部隊長さんがまだ青い子と話しているので、副隊長が代わりに参加している。
「ルジェ、話はどうした? 追い出されたのか」
『キャンキャン!』
なんだか今日は言葉にトゲがない? オレは空気を読んで、気を利かせたの。追い出されたわけじゃない!
「神獣様、オルーさんと何かありましたか?」
『ないよ。オレがいるとウィオに話が伝わるかって聞かれたから、部隊長さんに任せてきた』
「スキャンダー殿、アチェーリの受験生が神獣様から学園長に話が伝わるのを警戒しているため、水の騎士様に任せて戻ってこられたそうです」
ここにいるメンバーで、唯一オレの声が聞こえない副部隊長に、マダム先生が通訳してくれた。
オレの騎士のナンバー2だし、聞こえるようにしてもいいんだけど、勝手をすると怒られちゃうから、ウィオにちゃんと相談してからにしよう。
薬学科の実技試験について、おじいちゃん先生の報告によると、今年は大きな問題なく終わったそうだ。あとで面白いポーションがないか見に行こう。
「魔法学科は、アチェーリの受験生以外は問題なく、面接と魔力測定が終わりました。今年も魔力を偽っている者が数名いました」
「それで、アチェーリからの受験者はどうするのですか?」
「オルーは入学させる」
わけありのようなので、ウィオは学園で保護するつもりなのだろう。
「あの髪の色であれば問題ないと思いますが、魔力量の測定はまだです。そういえば神獣様、あの子の魔力量は分かりますでしょうか?」
『キューン』
その質問来ちゃったか。答えてもいいんだけど、あの子が自分で話すかもしれないし、どうしようかな。
迷っていたら、ドアがノックされ、部隊長さんが入ってきた。
「水の騎士様。オルーさんは落ち着きましたか?」
「はい。宿まで騎士に送らせました。明日の学科試験は受けられるでしょう」
「では、明日の学科試験のあと、再度面接をしようと思います。学園長、それでよろしいですか?」
「ああ」
部隊長さんに席を勧めながら、マダム先生が続きを促している。
「それで、何か話しましたか?」
「詳しくは、明日の面接で聞いてください。今度はきちんと話すでしょう。私も付き添います」
あの子は部隊長さんにちゃんと話ができたようだ。よかった。その内容は、明日になれば分かるだろうから、詮索するのは止めておこう。
「警備はどうでしょう?」
「スキャンダー、あのあと何かあったか?」
「いいえ。問題を起こす者はいませんでした。あの、その……」
オレのほうをちらちら見ているけど、何だろう。首をかしげすぎて身体が斜めになっちゃう。キュウ?
「ルジェが何かしたか?」
「……魔法披露の際の神罰騒動で、みな大人しいようです」
『キャン!』
今年の受験生が大人しいのは、デビルルジェのおかげだった。ちょっと前のオレ、グッジョブ。尻尾がぶんぶん振れちゃう。
この分なら、明日の学科試験、そしてその後の合格発表で騒ぐ受験生や保護者もいないだろう。やったね!
明日の学科試験の結果のあと、アチェーリの子の面接をして、その後、全学科の合格者の確認を行う。スケジュールを確認して、会議は解散になった。
「ルジェ、オルーには何かあるのか?」
『それは、人間関係じゃなくて、魔法のことだよね?』
「そうだ」
『本人が話すかもしれないから、一日待ってあげて』
ウィオは学園に入学させるとすでに決めている。だったら、オレはあの子を助けるように動くだけだ。
だけど、あんなにおびえるなんて、いったい周りの大人は何をしたんだろう。
「今日はここまでにしましょう。休んで、明日の学科試験に備えてください」
「……はい」
子どもは、小さく息を吐き、身体の力を抜いた。騒ぎは起こしたけれど、明日の試験が受けられることになって安心したようだ。
となると、やることは一つ。止まってしまった手に、頭をこすりつける。もっとなでて。
「なでてほしい、と言っている」
「あ、すみません」
「落ち着くまで、しばらく控え室を使えばいい。部隊長、お願いします」
このまま宿におとなしく帰るかどうか分からないし、あきらめきれずに校内で何かしそうな気もする。だったら、部隊長さんにゆっくり話を聞いてもらうのがいい。
『オレも行く。何かあったら呼んで』
「その使役獣をしばらく預かってくれ」
「この子……ですか?」
「試験に飽きたらしい」
『キャンキャン』
その理由付けはどうなの。子どもを心配しているとか、励ますためとか、それっぽい説明の仕方があったでしょう。オレのイメージが台無し!
子どもが部屋を出たあと、ドアのすき間からマダム先生がため息をついているのが見えた。
控室には誰もおらず、部隊長さんは子どもを座らせ、自身も隣に座ったので、オレは子どもの膝の上に飛び乗る。
「人懐っこい子ですね」
「学園の子どもたちにも人気なんですよ」
『キャン』
子どもは少し打ち解けてきたのか、笑顔を見せた。部隊長さんがそっと子どもの肩に触れたが、今度は逃げなかった。
「もしよければ、どうしてこの学園に入りたいのか教えてもらえますか? 私は神獣様の騎士です。貴方の許しなく、学園の先生たちには話しません」
「神獣様の……」
そうだよ。ここは神獣の守護する学園だから、安心して事情を話してよ。
子どもは少し考えこみ、そして、オレの背中を強めになでつけた。
「あの、使役獣は主人と意思疎通ができるって、本当ですか?」
「それなりには……」
オレが特別だと言えない部隊長さんが、返事をぼかしている。普通の使役獣なら、オレみたいにはっきり言葉は通じないけど、感情は伝わる。
「じゃあ、この子に言うと、学園長に伝わるんですね」
『キューン』
オレがいると、ウィオに聞かれたくない話ができない。ここは、部隊長さんに任せてしまおう。
『オレ、ウィオのところに帰るよ』
「その子には、学園長のところに戻ってもらいましょう。それでいいですか?」
「……はい」
いなくなるから、何に困っているのか話してほしい。勇気がいるだろうけど、頑張って。
ウィオのいる学園長室に戻ると、一日目の試験についての会議が始まっていた。
出席者は、学園長、学科長、騎士代表の副部隊長。部隊長さんがまだ青い子と話しているので、副隊長が代わりに参加している。
「ルジェ、話はどうした? 追い出されたのか」
『キャンキャン!』
なんだか今日は言葉にトゲがない? オレは空気を読んで、気を利かせたの。追い出されたわけじゃない!
「神獣様、オルーさんと何かありましたか?」
『ないよ。オレがいるとウィオに話が伝わるかって聞かれたから、部隊長さんに任せてきた』
「スキャンダー殿、アチェーリの受験生が神獣様から学園長に話が伝わるのを警戒しているため、水の騎士様に任せて戻ってこられたそうです」
ここにいるメンバーで、唯一オレの声が聞こえない副部隊長に、マダム先生が通訳してくれた。
オレの騎士のナンバー2だし、聞こえるようにしてもいいんだけど、勝手をすると怒られちゃうから、ウィオにちゃんと相談してからにしよう。
薬学科の実技試験について、おじいちゃん先生の報告によると、今年は大きな問題なく終わったそうだ。あとで面白いポーションがないか見に行こう。
「魔法学科は、アチェーリの受験生以外は問題なく、面接と魔力測定が終わりました。今年も魔力を偽っている者が数名いました」
「それで、アチェーリからの受験者はどうするのですか?」
「オルーは入学させる」
わけありのようなので、ウィオは学園で保護するつもりなのだろう。
「あの髪の色であれば問題ないと思いますが、魔力量の測定はまだです。そういえば神獣様、あの子の魔力量は分かりますでしょうか?」
『キューン』
その質問来ちゃったか。答えてもいいんだけど、あの子が自分で話すかもしれないし、どうしようかな。
迷っていたら、ドアがノックされ、部隊長さんが入ってきた。
「水の騎士様。オルーさんは落ち着きましたか?」
「はい。宿まで騎士に送らせました。明日の学科試験は受けられるでしょう」
「では、明日の学科試験のあと、再度面接をしようと思います。学園長、それでよろしいですか?」
「ああ」
部隊長さんに席を勧めながら、マダム先生が続きを促している。
「それで、何か話しましたか?」
「詳しくは、明日の面接で聞いてください。今度はきちんと話すでしょう。私も付き添います」
あの子は部隊長さんにちゃんと話ができたようだ。よかった。その内容は、明日になれば分かるだろうから、詮索するのは止めておこう。
「警備はどうでしょう?」
「スキャンダー、あのあと何かあったか?」
「いいえ。問題を起こす者はいませんでした。あの、その……」
オレのほうをちらちら見ているけど、何だろう。首をかしげすぎて身体が斜めになっちゃう。キュウ?
「ルジェが何かしたか?」
「……魔法披露の際の神罰騒動で、みな大人しいようです」
『キャン!』
今年の受験生が大人しいのは、デビルルジェのおかげだった。ちょっと前のオレ、グッジョブ。尻尾がぶんぶん振れちゃう。
この分なら、明日の学科試験、そしてその後の合格発表で騒ぐ受験生や保護者もいないだろう。やったね!
明日の学科試験の結果のあと、アチェーリの子の面接をして、その後、全学科の合格者の確認を行う。スケジュールを確認して、会議は解散になった。
「ルジェ、オルーには何かあるのか?」
『それは、人間関係じゃなくて、魔法のことだよね?』
「そうだ」
『本人が話すかもしれないから、一日待ってあげて』
ウィオは学園に入学させるとすでに決めている。だったら、オレはあの子を助けるように動くだけだ。
だけど、あんなにおびえるなんて、いったい周りの大人は何をしたんだろう。
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