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6.夢をみせて(1)
「んっ――~~!」
数年ぶりだというのに身体は容易くグレッグ様の存在を思い出してきゅうきゅうと喜悦する。
「痛くない……みたいだね。ほら、メアリーの好きな奥、優しくとんとんしよう」
腰を掴まれ甘く揺さぶられれば指で散々蕩かされた弱いところを一定のリズムで刺激される。じわじわと、そして確実に絶頂へ押し上げられるのを意識せざるを得ない状況に大きく首を振って身を捩った。
こんなの、嫌。
「ゃっ、やです、グレッグ様……止まって、くださ」
「どうして?」
晴天色の瞳に生理的な涙をたっぷり溜め睨む。旦那様に女主人らしからぬ情けない顔を見せたくない、普段ならそう思うけれど今はそんなこと言っていられない。
でも、そんな本音は全く伝わらず、うまく力の入らない腕で厚い胸板を押し返しても甘い抵抗と捉えられて諭すように纏めあげられてしまう。
愛している人に触れられているという都合のいい妄想が繰り出す事実に身体は素直に喜んで戦慄いた。
「こんなに熱くてぐちゃぐちゃにして、もっとって甘えてきてくれてるよ」
うっ、と泣きそうになる。身体だけがどんどん先走って反応して心は置き去りなのに、気持ちいいと感じるのを止められない。
彼が口端に色気をたっぷりと乗せて緩ませる。イタズラな眼差しと親指が散々弄られて敏感になりすぎている豆をぐりぐりと押し潰した。
「やっ! いやですっ、ほんとうに……っ、グレッグさまぁっ……ああぁっ!」
規則的なリズムで剛直が内側から弱いところを突き、外からは蜜を絡めた指で刺激される。
頭がおかしくなってしまいそうな刺激に耐えられる訳もなかった。
「ぁっあっ、ぁ――ッ」
大きく腰を震わせてつま先がピンッと張る。心臓が弾けるくらい大きな鼓動が全身を駆け巡る感覚が走って、じわっと涙が滲んできた。
愛しい人に触れられて感じるのは身体だけ果てた絶望感と遣る瀬なさだけだ。
こんなに苦しいのに、悲しいのに、気持ちよくて、こんな妄想をしているなんて馬鹿みたい。
こんな厭らしい妻、たとえ『ヒト』の姿でなくても彼は触れてくれなかったかもしれない。
大きな手が昔猫耳の生えていた場所をするりと撫でた。まるで、猫の耳を懐かしむように。
「本当に、夢なのが惜しいくらいだな……我が儘か」
――ああ。
夢の中でも、この方は今の私に触れてくださらないのね。
失望、諦め、苦痛――そのどれを持ったとしても表現できない感情が静かに胸を埋め尽くしたとき、静かにぽたぽたと泣く……のが常だった。妻であり、母になる3年前までは。
気づけば、私は旦那様の頬を思いっきり平手打ちしていた。
どんっ、と全体重をかけて押し返してその腕の中から逃げ出して寝台の隅に後ずさった。
「夢の中でくらい、夢を見させてくださいっ!」
旦那様は言葉を失って金色の瞳を瞠っている。私だってまさか夢の中とはいえ旦那様を叩くとは思ってもみなかった。
けれど、どんなに破廉恥で卑猥でどうしようもないくらい寂しい夢だとしてもつかの間の幸せだと錯覚していたかった。
我が儘だということくらいグレッグ様から言われなくたって分かってる。
これ以上の幸せを望むのが『ヒト』の姿でありながら寵愛を望むのが女主人としてふさわしく無いことくらい。
「義務だなんて……分かっていても、分からないふりをさせてください……嬉しく、なっちゃうんです」
数年ぶりだというのに身体は容易くグレッグ様の存在を思い出してきゅうきゅうと喜悦する。
「痛くない……みたいだね。ほら、メアリーの好きな奥、優しくとんとんしよう」
腰を掴まれ甘く揺さぶられれば指で散々蕩かされた弱いところを一定のリズムで刺激される。じわじわと、そして確実に絶頂へ押し上げられるのを意識せざるを得ない状況に大きく首を振って身を捩った。
こんなの、嫌。
「ゃっ、やです、グレッグ様……止まって、くださ」
「どうして?」
晴天色の瞳に生理的な涙をたっぷり溜め睨む。旦那様に女主人らしからぬ情けない顔を見せたくない、普段ならそう思うけれど今はそんなこと言っていられない。
でも、そんな本音は全く伝わらず、うまく力の入らない腕で厚い胸板を押し返しても甘い抵抗と捉えられて諭すように纏めあげられてしまう。
愛している人に触れられているという都合のいい妄想が繰り出す事実に身体は素直に喜んで戦慄いた。
「こんなに熱くてぐちゃぐちゃにして、もっとって甘えてきてくれてるよ」
うっ、と泣きそうになる。身体だけがどんどん先走って反応して心は置き去りなのに、気持ちいいと感じるのを止められない。
彼が口端に色気をたっぷりと乗せて緩ませる。イタズラな眼差しと親指が散々弄られて敏感になりすぎている豆をぐりぐりと押し潰した。
「やっ! いやですっ、ほんとうに……っ、グレッグさまぁっ……ああぁっ!」
規則的なリズムで剛直が内側から弱いところを突き、外からは蜜を絡めた指で刺激される。
頭がおかしくなってしまいそうな刺激に耐えられる訳もなかった。
「ぁっあっ、ぁ――ッ」
大きく腰を震わせてつま先がピンッと張る。心臓が弾けるくらい大きな鼓動が全身を駆け巡る感覚が走って、じわっと涙が滲んできた。
愛しい人に触れられて感じるのは身体だけ果てた絶望感と遣る瀬なさだけだ。
こんなに苦しいのに、悲しいのに、気持ちよくて、こんな妄想をしているなんて馬鹿みたい。
こんな厭らしい妻、たとえ『ヒト』の姿でなくても彼は触れてくれなかったかもしれない。
大きな手が昔猫耳の生えていた場所をするりと撫でた。まるで、猫の耳を懐かしむように。
「本当に、夢なのが惜しいくらいだな……我が儘か」
――ああ。
夢の中でも、この方は今の私に触れてくださらないのね。
失望、諦め、苦痛――そのどれを持ったとしても表現できない感情が静かに胸を埋め尽くしたとき、静かにぽたぽたと泣く……のが常だった。妻であり、母になる3年前までは。
気づけば、私は旦那様の頬を思いっきり平手打ちしていた。
どんっ、と全体重をかけて押し返してその腕の中から逃げ出して寝台の隅に後ずさった。
「夢の中でくらい、夢を見させてくださいっ!」
旦那様は言葉を失って金色の瞳を瞠っている。私だってまさか夢の中とはいえ旦那様を叩くとは思ってもみなかった。
けれど、どんなに破廉恥で卑猥でどうしようもないくらい寂しい夢だとしてもつかの間の幸せだと錯覚していたかった。
我が儘だということくらいグレッグ様から言われなくたって分かってる。
これ以上の幸せを望むのが『ヒト』の姿でありながら寵愛を望むのが女主人としてふさわしく無いことくらい。
「義務だなんて……分かっていても、分からないふりをさせてください……嬉しく、なっちゃうんです」
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