追われる身にもなってくれ!

文月つらら

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ソイツは再び巡り合う

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 ひたすら歩き続けて夜が近づいて疲れてきた頃、ようやくコリエンテであろう集落にたどり着いた。聞いていた通り集落というより街に近く、多くの色とりどりの明かりが街中を照らしている。
 交易が盛んなだけあって、この時間でも道を行き来する人は多く、あちこちから笑い声が聞こえてきた。活気あふれるその様子は、疲れ果てた身体を少し元気にしてくれた。

「やっと着いたわね~……。この片道だけでも足腰ガックガクだわ~……。」

 ソフィアがもう歩きたくないですと言わんばかりに歩みを遅める。慣れない岩山の威力は確かに凄く、普段使わない筋肉までも痛みを感じさせていた。

「休みたい気持ちはわかるが、人通りが多いうちに少しでも情報を集めないと。」

「そうだね、シンティアも頑張るよー……。」

「いいこだ、シンティア。」

 俺はシンティアの頭を撫でてからまた歩き出した。鍛冶屋がいるとは思えないが、メインの道に行けば道具を扱う商人がたくさんいるはずだ。
 できるだけ独自の輸入経路を持っていて、俺たちの拠点でも商売が滞りなくできて、ヒンメルと戦うことになる俺たちに協力してくれる道具屋。
 改めて条件を挙げていくとかなり無茶を言っていることがわかる。しかし一つとして条件から外せないのも確かだった。

「しっかしそこらの街よりも人がいるな。オレあんまりこういう賑やかなとこ来たことねー。」

「あら、それは意外ね。こういうところで女の子引っ掛けては泣かしてそうなのに。」

「ちょっとリーナちゃんオレのイメージどうなってんのホント。」

 オレ誠実派なんだけどな~、とため息をつきながら言うルキに少し笑ってしまった。疲れているときにこうやって空気を良い意味で乱してくれるのはとてもありがたい。
 こういうところもモテる要因なんだろうな、と思っていると不意に言い争うような声が聞こえてきた。

「なんだよ! いいじゃんかここで商売したって!」

「ここはガキが来るような場所じゃねえんだよあっち行け!」

「ちゃんと許可もらったっての! ほら!」

「ガキが言うことなんか信用できるか! 次ここで変なマネしたら手荒にいくからな!」

 ここで商売をしたいらしい少年と、子供だからと追い返す男。少年の方はまだ文句を言いたげだったが、男はもう話は終わったとばかりに自分の持ち場であろう場所に帰って行った。
 許可証があるにもかかわらず年齢が気に食わないから追い返すのはどうかと思うが、ここで余所者の俺たちが間に入ったところで助けられそうにない。
 それでも少年が理不尽すぎてなんとかしてあげたいと思っていると、いつの間にか少年の近くに行ったルキが話しかけていた。

「よう少年! 商売がしたいって聞こえたが、キミは商人なの?」

「そうだよ。これでもいろんな地域の物扱ってるし、ここのどの商人よりも種類豊富だと思うけど。」

 ほら、と売り物であろう物をでかいバッグから取り出していく少年。近くで見ようと俺も近づくと、不思議そうな顔でこちらが見られてしまった。

「なんかにいちゃんの顔見たことがあるような……。まぁいいや、客のことは詮索するべきじゃないし。で、何か気になるものある?」

「ああ。ゆっくり見たいところだが、おまえここで商売始めたらまた怒られるぞ。」

 そう言うと少年は困ったような顔をして俯いた。

「やっと空いてる場所ゲットしたのにさー、子供ってだけでこれだもんなー。まぁ慣れてるし、また別の場所探すよ!」

「危ないことはするなよ。」

 わかってるよ、と元気に言いながら少年は別の道へと歩いて行った。
 さて仲間探しの続きだと思っているとルキが不思議そうに尋ねてきた。

「道具屋に誘うかと思ったのに誘わねえのな。」

「まだ小さいのにこっちの都合で戦いに巻き込むわけにもいかないだろう。」

 シンティアと同じくらいの年で、一人で商売をする少年。それはこの国ではさほど珍しいものではないが、商売と戦争は違う。
 道具屋だし物を売ったり買ったりしてくれればいいとはいえ、危険はどうしても付き纏うことになるだろう。

「子供はできるだけ戦いから離れたところで暮らすべきだ。幸せになれる可能性がまだあるんだから。ほら、行くぞ。」

「待ってフィン! あれ!」

 そう言うシンティアに腕を引かれて指差す方を見てみると、先ほどの少年が大人に胸ぐらを掴まれているのが見えた。
 その胸ぐらを掴んでいる大人は遠くからでもよくわかる、がっしりとした体格にグリーンの髪、そしてあの眼帯は。

「なんでここにアドラーがいるだよ! タイミング最悪すぎるだろ!」

「うっわー、会う頻度高すぎてムリ。でもオレ子供には弱いんだよなぁ……。」

「まぁ確実に戦闘になるでしょうけど、あの子を放っておけないわ!」

 正直今一番会いたくなかった人物だが、このまま見なかったことにするわけにもいかない。どうか死にませんように、と普通に生きていたら願うことが少ないであろうお願いを心の中でして俺たちは少年の元へ走った。
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