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第1章 ヒストリア王国のお姫様
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「ほんと、何二人の世界作っちゃってんのよっ! てか私たちに隠れてイチャつかないでよねっ! 全然隠れてはないけどっ!」
「あ……あうう……」
美奈があたふたしつつ顔を赤らめ俯く。
全員の視線が凄く痛い。
「わ――私達は真面目な話をだな!」
苦し紛れに吐いた言葉に椎名は大袈裟にため息をついた。
「何が真面目な話よっ! 真面目な話にかこつけてキスしようとしたくせに!」
「――し、してないっ」
「いや、その間、何なの? 隼人くんてほんとムッツリなの?」
「うぐうっ……」
椎名に簡単に手玉に取られ、逃げ場を失う。
いや、自身の態度があからさま過ぎるのが悪いのだが……。
とにかくこうなっては最早成す術はない。
潔く平謝りモードに突入しようかと決めた矢先。
意外なアリーシャの反応に私達は驚かされることになる。
「なっ!? ハヤトとミナはその……け、結婚していたのか!?」
「――はい?」
アリーシャの突拍子もない反応に私は一時返す言葉を失う。
何? 結婚? アリーシャさん?
「アリーシャ違うのよ。隼人くんはね、結婚もしてないのにミナにキスしまくって手だけは早いのよ」
そんな私の心中の思考をよそに、説明をする隙すら与えず、ここぞとばかりに椎名が余計な事を吹聴する。
本当に、こういう時の彼女の反応の速さにはいつも舌を巻くのだ。
だが椎名は割といつもの冗談のつもりだったのだろうが、この時ばかりはアリーシャの反応は一堂の予想の更に斜め上を行くものだった。
「なっ!? ……ハヤト、見損なったぞ! 君は誠実な振りをしてそのような軽い男だったのだな! そ、そんな事をして万が一ミナが身籠ってしまったりしたらどうするつもりなのだ! ……というかもうその可能性もっ!?」
「「――は?」」
これには私の椎名もアリーシャの顔を見つつハモってしまう。
アリーシャ当人意外、一瞬何を言っているのか理解が追いつかず、目は点だ。
アリーシャの年齢は16だと聞いていたが。まさか一国の姫様がここまで男女間の話に疎いとは。
この反応は流石にうぶ過ぎるのではないだろうか。
皆して絶句し、固まってしまっていた。
「……アリーシャ……可愛いすぎ」
「……可愛いな」
椎名と工藤の可愛い発言にみるみる顔を赤らめるアリーシャ。確かに可愛いが。
この発言で場は更に混沌を導いていく。
「く、クドー! 可愛いなどと破廉恥なっ! 君は一体どういうつもりだっ!? 君達の世界の男共は一体どうなっているのだ!?」
……可愛いなアリーシャ。
ふと横を見ると、美奈がすっごい笑顔で私の方を見ていた。こんな笑顔、今まで見たことがない。
何故か笑顔のはずなのに、めちゃくちゃ怖い。というか彼女の胸の内に渦巻くあのどす黒い靄はなんだ?
え? 魔族より黒くないですか? ちょっと本当に怖いんですけど美奈さん?
私は反射的に目を逸らしてしまう。
冷や汗を拭いながら思う。
どうしてこういう時の女の子の勘はいつもこんなにも鋭いのだろうか。
いや、それとも美奈だけが特別なのか。なんとなくだが椎名はこんなことはない気がする。
まあ私にとって美奈は間違い無く特別だが。
しかしながら彼女の手を握りつつ、別の女の子を可愛いなどと思ってしまう事は不謹慎極まりない。
屑と罵られても仕方無い程の所業だ。
そんな事を考えていると、美奈は今度はむくれた表情で、私と触れていない方の手で服の裾を強く握ってきた。
不服そうな反面顔を赤らめて前を向いている。さ、流石にこれは可愛い過ぎるだろう。
「ちょっとそこの二人! いつまで手を握ってるのよ!」
椎名の怒号が空に響き渡った。
「あ……あうう……」
美奈があたふたしつつ顔を赤らめ俯く。
全員の視線が凄く痛い。
「わ――私達は真面目な話をだな!」
苦し紛れに吐いた言葉に椎名は大袈裟にため息をついた。
「何が真面目な話よっ! 真面目な話にかこつけてキスしようとしたくせに!」
「――し、してないっ」
「いや、その間、何なの? 隼人くんてほんとムッツリなの?」
「うぐうっ……」
椎名に簡単に手玉に取られ、逃げ場を失う。
いや、自身の態度があからさま過ぎるのが悪いのだが……。
とにかくこうなっては最早成す術はない。
潔く平謝りモードに突入しようかと決めた矢先。
意外なアリーシャの反応に私達は驚かされることになる。
「なっ!? ハヤトとミナはその……け、結婚していたのか!?」
「――はい?」
アリーシャの突拍子もない反応に私は一時返す言葉を失う。
何? 結婚? アリーシャさん?
「アリーシャ違うのよ。隼人くんはね、結婚もしてないのにミナにキスしまくって手だけは早いのよ」
そんな私の心中の思考をよそに、説明をする隙すら与えず、ここぞとばかりに椎名が余計な事を吹聴する。
本当に、こういう時の彼女の反応の速さにはいつも舌を巻くのだ。
だが椎名は割といつもの冗談のつもりだったのだろうが、この時ばかりはアリーシャの反応は一堂の予想の更に斜め上を行くものだった。
「なっ!? ……ハヤト、見損なったぞ! 君は誠実な振りをしてそのような軽い男だったのだな! そ、そんな事をして万が一ミナが身籠ってしまったりしたらどうするつもりなのだ! ……というかもうその可能性もっ!?」
「「――は?」」
これには私の椎名もアリーシャの顔を見つつハモってしまう。
アリーシャ当人意外、一瞬何を言っているのか理解が追いつかず、目は点だ。
アリーシャの年齢は16だと聞いていたが。まさか一国の姫様がここまで男女間の話に疎いとは。
この反応は流石にうぶ過ぎるのではないだろうか。
皆して絶句し、固まってしまっていた。
「……アリーシャ……可愛いすぎ」
「……可愛いな」
椎名と工藤の可愛い発言にみるみる顔を赤らめるアリーシャ。確かに可愛いが。
この発言で場は更に混沌を導いていく。
「く、クドー! 可愛いなどと破廉恥なっ! 君は一体どういうつもりだっ!? 君達の世界の男共は一体どうなっているのだ!?」
……可愛いなアリーシャ。
ふと横を見ると、美奈がすっごい笑顔で私の方を見ていた。こんな笑顔、今まで見たことがない。
何故か笑顔のはずなのに、めちゃくちゃ怖い。というか彼女の胸の内に渦巻くあのどす黒い靄はなんだ?
え? 魔族より黒くないですか? ちょっと本当に怖いんですけど美奈さん?
私は反射的に目を逸らしてしまう。
冷や汗を拭いながら思う。
どうしてこういう時の女の子の勘はいつもこんなにも鋭いのだろうか。
いや、それとも美奈だけが特別なのか。なんとなくだが椎名はこんなことはない気がする。
まあ私にとって美奈は間違い無く特別だが。
しかしながら彼女の手を握りつつ、別の女の子を可愛いなどと思ってしまう事は不謹慎極まりない。
屑と罵られても仕方無い程の所業だ。
そんな事を考えていると、美奈は今度はむくれた表情で、私と触れていない方の手で服の裾を強く握ってきた。
不服そうな反面顔を赤らめて前を向いている。さ、流石にこれは可愛い過ぎるだろう。
「ちょっとそこの二人! いつまで手を握ってるのよ!」
椎名の怒号が空に響き渡った。
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