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第2章 これはもしかしてデートなのでは?
3ー16
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さて、私達は街に繰り出してきた。
まず始めにやって来たのは街の魔石屋だ。
資金調達のためにこの場所に来るのは不可欠。
店は比較的街の入り口の門の近くに位置しており、街の中央近くに位置する宿屋からは少し離れた場所となっている。
更にその付近には武器屋と防具屋も並んでいた。
やはり旅の者達が真っ先に手に入れた魔石を換金したり、魔物と戦うための装備を調えるためには街の入り口にこの手の店が固まっていた方が利便性がいいからなのだろう。
そんな事を考えつつ、私達は魔石屋の中へと足を踏み入れた。
木製の扉を開けて店の中に入ると、何とも言えない独特な鼻をつく臭いがした。
今は午前中という事もあり私達以外に客はいない。
店の奥のカウンターには、中年の男が立て肘をついて座っている。
特に言葉を発する事もなく、私達を一瞥して再び視線を机へと落とした。
「何か愛想悪いわね。大丈夫かしら」
椎名がそっと耳打ちするように呟いた。
確かに私達の世界の、日本では考えられない愛想の悪さだ。
私も椎名と同じような感想を抱いたが、この街の魔石屋はここだけらしいので、とりあえず店の奥へと歩を進めていく。
「――魔石を換金して欲しいのですが」
「……あいよ」
私がそう言い魔石の入った革袋を差し出すと、店主は別に面白くも無さそうに私から袋を受け取った。
そのまま革袋を逆さにし、中身を乱雑にバラバラと机にぶちまけた。
ガラガラと音を立てながら木製の机に広がっていく魔石たち。
魔石は基本的には魔物を倒した際に手に入れられる。
ここピスタに訪れるまでの道中やネストに滞在時の修行中、かなりの数の魔物を相手取った結果それなりに軍資金を得られると踏んでいた。
魔石には魔力を込めて魔道具に使用したり、そもそも魔石自体に高い魔力を帯びた物があって、生活の消耗品に使用するというように、様々な用途があるらしいのだ。
一つ一つの価値は分からないが、そこまで低いということもないだろう。数だけなら百を優に超える量。
多少の買い物をしても十分お釣りが来る程の金額が得られるのではないだろうか。
しばらく魔石を触ったり叩いたり、虫眼鏡を取り出して眺めている店主。
待つ事十分程。
その間私達は何をするでもなくその場に立ちっぱなしで佇んでいた。
椎名だけは最初から気ままに店内を見回したり座ったり。何か独り言のようなことをぶつぶつ言っていたり。何にせよ自由に過ごしていた。
しかし、時間が掛かるのならば一言断ってほしいものだ。
私は彼の目の前でいつ終わるともしれない鑑定作業を、今か今かと待ち続け、結局最後まで見守る羽目となってしまった。
途中で一声掛けてくれればこんな手持ち無沙汰な時間を過ごさずとも良かったのだが。
改めて椎名の行動が正解だったのだと思い知る。
とにもかくにも、ようやく鑑定を終えた店主は再び私達の方へと視線を向けた。
「――全部で金貨10枚と銀貨50枚だな」
目が合った店主はさらりとそう告げる。
そう言われた私はしばし言葉に詰まってしまう。
当たり前のことだが、これが高いのか低いのかの判断が全くできない。
別に信用して二つ返事でその額を受け取ればいいだけの話なのだが、ここまでの店主の挙動からふと嫌な予感が脳裏をかすめるのだ。
――要するに、ぼったくられたりはしないだろうか、と。
ちらとアリーシャを見るが彼女は私と目が合うと首を横に振った。
どうやら彼女はその辺の事情には詳しくないようだ。
やはり姫という立場上、お金に困るといったことはないのだろうか。
だがどのみち魔石を鑑定してくれる店は街ではここだけだ。
それが分かったところでとも思う。
仕方なくそれで受けようとした時だった。
「ちょっとおじさん。私たちが若いからってぼったくらないでくれる?」
椎名は腰に手を当て、明らかに不服といった風でため息混じりにそう発言したのだ。
まず始めにやって来たのは街の魔石屋だ。
資金調達のためにこの場所に来るのは不可欠。
店は比較的街の入り口の門の近くに位置しており、街の中央近くに位置する宿屋からは少し離れた場所となっている。
更にその付近には武器屋と防具屋も並んでいた。
やはり旅の者達が真っ先に手に入れた魔石を換金したり、魔物と戦うための装備を調えるためには街の入り口にこの手の店が固まっていた方が利便性がいいからなのだろう。
そんな事を考えつつ、私達は魔石屋の中へと足を踏み入れた。
木製の扉を開けて店の中に入ると、何とも言えない独特な鼻をつく臭いがした。
今は午前中という事もあり私達以外に客はいない。
店の奥のカウンターには、中年の男が立て肘をついて座っている。
特に言葉を発する事もなく、私達を一瞥して再び視線を机へと落とした。
「何か愛想悪いわね。大丈夫かしら」
椎名がそっと耳打ちするように呟いた。
確かに私達の世界の、日本では考えられない愛想の悪さだ。
私も椎名と同じような感想を抱いたが、この街の魔石屋はここだけらしいので、とりあえず店の奥へと歩を進めていく。
「――魔石を換金して欲しいのですが」
「……あいよ」
私がそう言い魔石の入った革袋を差し出すと、店主は別に面白くも無さそうに私から袋を受け取った。
そのまま革袋を逆さにし、中身を乱雑にバラバラと机にぶちまけた。
ガラガラと音を立てながら木製の机に広がっていく魔石たち。
魔石は基本的には魔物を倒した際に手に入れられる。
ここピスタに訪れるまでの道中やネストに滞在時の修行中、かなりの数の魔物を相手取った結果それなりに軍資金を得られると踏んでいた。
魔石には魔力を込めて魔道具に使用したり、そもそも魔石自体に高い魔力を帯びた物があって、生活の消耗品に使用するというように、様々な用途があるらしいのだ。
一つ一つの価値は分からないが、そこまで低いということもないだろう。数だけなら百を優に超える量。
多少の買い物をしても十分お釣りが来る程の金額が得られるのではないだろうか。
しばらく魔石を触ったり叩いたり、虫眼鏡を取り出して眺めている店主。
待つ事十分程。
その間私達は何をするでもなくその場に立ちっぱなしで佇んでいた。
椎名だけは最初から気ままに店内を見回したり座ったり。何か独り言のようなことをぶつぶつ言っていたり。何にせよ自由に過ごしていた。
しかし、時間が掛かるのならば一言断ってほしいものだ。
私は彼の目の前でいつ終わるともしれない鑑定作業を、今か今かと待ち続け、結局最後まで見守る羽目となってしまった。
途中で一声掛けてくれればこんな手持ち無沙汰な時間を過ごさずとも良かったのだが。
改めて椎名の行動が正解だったのだと思い知る。
とにもかくにも、ようやく鑑定を終えた店主は再び私達の方へと視線を向けた。
「――全部で金貨10枚と銀貨50枚だな」
目が合った店主はさらりとそう告げる。
そう言われた私はしばし言葉に詰まってしまう。
当たり前のことだが、これが高いのか低いのかの判断が全くできない。
別に信用して二つ返事でその額を受け取ればいいだけの話なのだが、ここまでの店主の挙動からふと嫌な予感が脳裏をかすめるのだ。
――要するに、ぼったくられたりはしないだろうか、と。
ちらとアリーシャを見るが彼女は私と目が合うと首を横に振った。
どうやら彼女はその辺の事情には詳しくないようだ。
やはり姫という立場上、お金に困るといったことはないのだろうか。
だがどのみち魔石を鑑定してくれる店は街ではここだけだ。
それが分かったところでとも思う。
仕方なくそれで受けようとした時だった。
「ちょっとおじさん。私たちが若いからってぼったくらないでくれる?」
椎名は腰に手を当て、明らかに不服といった風でため息混じりにそう発言したのだ。
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