愛人(まなびと)

大宮りつ

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プロローグ

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 彼女は私のすべてだった。
 運命の人は、この世に二人いるらしい。一人目は、愛することの幸せと別れることの辛さを教えてくれる人。二人目は、永遠の愛を教えてくれる人。

 どうして私は、彼女にとっての二人目になれなかったんだろう……そんなことを考えながら、幸せそうに微笑む写真の中の花嫁を、煮えきらない思いで見つめた。純白のドレスに身を包んだその姿は、真珠のような美しい輝きを放ち、参列する人達に祝福されながら幸せを噛みしめる満面の笑みは、突きつけられた残酷な現実を受け入れるにはとても眩し過ぎた。
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