【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

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第12章:砂の国オラシア王国と砂漠の女王編

第7話:動き

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「パトラ女王の話だと、リーダーのジェネラルファルコンが砂漠の魔物たちを兵として率いてるらしい。特に危険度が高い手下は確認されていない」
「危険度Sがジェネラルファルコンのみだとすると……手下と適当にかち合っても、こっちが瘴気で動けなくなることはないってことか」
 ゼルフィア団長の言葉に無精髭冒険者が言う。
「危険度Sと対峙できる冒険者を後方に置く。雑魚は残りのメンバーで対処して進む。ジェネラルファルコンが前線に現れたら、手下を相手取るメンバーは下がり、後方に控える危険度Sを対処できる冒険者が前に出るのが得策だろう」
 ゼルフィア団長がテキパキと作戦を決めていく。
 なるほどな。あくまでも主力メンバーはジェネラルファルコン討伐の為に力を温存するということか。
 にしても、分かりやすく的確な作戦指示の会議だ。
 それに適宜出される冒険者やギルド職員の提案を汲み取ってくれる。
 作戦的にはザックリとしているが、窮屈すぎず破綻している部分もないし、無茶な部分も少ない。
 下で動く者としては非常にやりやすい。
 自由気ままな冒険者たちの気風を、上手く汲み取っている。
 伊達にギルドの団長をしていないということだろう。
 約1時間の作戦会議の後、お開きとなる。
 何はともあれ、まずは斥候の情報待ちだ。
 敵の規模やアジトが分かれば、自ずと動きが出てくるだろう。

 情報が上がってくるまで、俺たちはパトラ女王が用意してくれた街の屋敷に身を寄せることになった。
 流石に他国の冒険者たちを、大人数で城に寝泊まりさせるわけにはいかなかったようだ。
 その代わり、街の中を自由に回っていいと許可を出される。
 俺はリズとキアラに挟まれて、オラシア王国の城下町を散策することになった。
「うわぁ! 見て見て、レオ! こんな料理見たこと無いよ!」
「うむ。汗で流れた塩分を補給するために香辛料がタップリ入っているようだ。辛そうだな」
 俺の腕にそれぞれ抱きつきながら屋台の品を見てキャッキャとはしゃぐ彼女たち。
 美人二人に挟まれる俺を、道行く男たちが羨ましそうに睨んでくる。
 考えてみれば、十数人も彼女がいる今の状態はものすごく贅沢なのかもしれない。
 転生前は、病弱だったこともあって恋愛どころではなかったし。
 それこそ、毎日生きていくだけで必死だったしな。
 だからこそ、今の人生をしっかりと楽しみ、彼女たちとも誠実に付き合い、悪い事はせずに善行を積まなければいけないと心底思えるのだが。
 常に当たり前の幸せの中にいると、その幸せが段々とぼやけてしまうのだ。
 人間というものは、なんとも厄介な生き物であると若干19歳で哲学めいた事をついつい考えてしまう。
 そういえば、俺の誕生日ってどうなっているのだろうか。
 確か、この世界に転生してきたのは春。
 4月初め頃だと記憶しているが……今は3月中旬だ。
 そう考えれば、もうすぐ20歳ということになるのだろう。
 転生して一年か。なんとも感慨深いものである。
「なに考え事してんのよ。レオ♪」
 俺の腕をグイっと引っ張り笑うリズ。
「おぉ……!! 砂漠の土の中で育った芋の煮物『スナイモの甘辛煮』だと……!? レオ、リズ! 食べてみないか?」
 キアラも楽しそうに砂漠の街を満喫している。
 二人の彼女の無邪気な言動に、心が温かくなる。
 転生前には決して感じることのなかった愛情の充実感。
 記憶を持ったまま生まれ変わった事で悩むこともあるが、本当に大事なものがよく見えるという所は、いわば、最高のチート能力だと思う。
 まあ、今はせっかくのデートだ。
 二人の彼女との楽しい時間をしっかりと味わわせてもらおう。
「よーし、リズ、キアラ! 今日は俺のおごりだ! 屋台のものから装飾品まで、片っ端から砂漠の街を楽しむぞ!」
「「おー!」」
 俺の言葉に、二人はノリノリで返事をするのだった。



 ——王国から遠く離れた砂漠の果ての砂上の砦にて。
「けっ!! まだ落とせねえのか!? オラシアは!!」
 ずんぐりむっくりした大男が、部下とみられる騎士たちを叱責する。
「は、はっ!! 申し訳ありません!! わが反乱軍も人員が少ないため、あちらとの戦いは拮抗している状況です!! おまけに、エルゼリアから援軍の冒険者たちが到着したとの知らせが……!!」
「くそがぁっ!! もういい!! 下がれ!!」
 大男は酒の入ったグラスを報告している部下に投げつける。
 ずぶ濡れになった配下の兵士が、団長室から出ていく。
「……反乱軍の指導者ともあろう者が、そんなに動揺してはみっともないぞ? オラシア王国前国王サルベ殿?」
 何を隠そう、この大男がオラシア王国元国王で、現在の反乱軍の頭領『サルベ・オラシア』なのである。
 大男が声の方を振り向く。
 そこには、開いた窓に腰かけた隼の顔をした人型の魔物がいた。
「お前か……ジェネラルファルコン。必要以上の接触は避けるはずだが?」
「随分な言い草だな。王国軍との戦いの場に都度乱入して、兵の数を減らしてやっているのに」
 ジェネラルファルコンは、表情を変えずに淡々と大男に答える。
「けっ、カモフラージュのために俺たち反乱軍の兵にまで襲い掛かってるくせに、よく言う」
「王国軍は確実に殺しているが、反乱軍に対しては加減をしている。それに……それは、あなたも承知した上の話だろう? サルベ前国王」
 二人の間に何とも言えない物騒な空気ができる。
「まあいい。で、何の用だ? さっさと要件を言え。砂漠の王に返り咲くためとはいえ、魔物と繋がっているのがバレたら面倒だ」
 ため息をつきながら、反乱軍の長……前国王サルベが言う。
「ああ。少し報告を。次の王国軍との戦いの際、私たちは乱入できなくなりそうだ。エルゼリアから鼠が来たのは知っているだろう? 奴らの動きが気になるのでな」
「な、なんだと!? お前たちの援護がねえと、負けるに決まっているだろうが!!」
 思わず声を荒げるサルベ。
「仮にも国王だった男とは思えないほど情けない言動だな。そんなんじゃ、あの女王から国を奪っても、統治するのは難しいのではないか?」
「ぐっ……!!」
 ジェネラルファルコンの返答に思わず声を詰まらせる。
「心配するな。『例のモノ』の準備ができたそうだ。次の戦いで遂に使用できるぞ。これでオラシア王国は終わりだ」
「ふっ……ふはははは!! そうか!! それならいい!! これで、この国は俺のものになるってことだな!?」
「……ああ。そうだな」
「ひゃはははははは!! 見てろよ、パトラ!! 必ず犯しぬいた後で殺してやる……!! お前のその座は、俺様のものだ!!」
 反乱軍の頭領サルベが高らかに笑う。
 その様子を傍で見ていた隼の魔物は一言「人というものは……なんとも浅はかだな」と呆れ交じりに嘲笑した。
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