【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

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第2章:ルクシアの森と奴隷暗殺者編

第4話:依頼受注と鑑定魔法

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 次の日――。
「あだま……いだい……」
 リズは酷い二日酔いで、ベッドから起き上がれないほどだった。
「大丈夫か? 水を持ってこようか?」
「ううん……だいじょぶ……寝てれば治ると思うから……」
 弱々しく答えるリズ。
「朝食だよーー!」
 女将さんが朝食を持って来てくれる。
 部屋に通すと、ぐったりしたリズの様子を見て女将さんが言う。
「あらまあ、その顔は二日酔いかい? 慣れない事は、するもんじゃないよ、リズちゃん」
「ごめんなさい……お酒美味しくて、つい調子に乗りました……」
 しっかりと叱られている。
 というか、顔色を見ただけで二日酔いかどうか分かるのか?
 すごいな、この女将さん。
「リズちゃんの面倒はあたしが見ておくから、レオは冒険に行って来な」
「い、いや。女将さんにそこまでしてもらうわけには……」
「いいんだよ。リズちゃんはお得意様なんだから。旦那はしっかり働いて来な!」
「ごめんね、れお……あたしに構わず、いってらっしゃい……」
 勢いに押されて、宿を出てしまった。
 まあ、リズも了承していたし、今日は一人で頑張るか。
 そう思い、俺はギルドに向かった。

 朝だというのにギルドは相変わらずの盛況ぶり。
 曰く、ここは冒険初心者の町ということだから人数がある程度多いのも仕方ないということだ。
 掲示板で今日受けれそうな依頼を確認する。
 森まで活動範囲を伸ばしたおかげで、選択できる依頼の幅もグッと増えた。
 とりあえず、リズの分の宿代も合わせて400Gは稼ぎたい。
 普通に魔物を狩って、素材を交換しても問題なく稼げるだろうが、念のためというやつだ。
 まあ、どうしても足りなかったら、魔法の袋にストックしてある魔物素材を換金するという手もある。
 俺もリズも、採取したものを闇雲に全て換金しているわけじゃない。
 金銭的に余裕があれば換金せずに、アイテムを持っておくことが多い。
 例えば『角兎の肉』なんかがそうだ。
 主食として使っているため、狩ったらストックしてある。
 あとは、他の素材アイテムも普通に換金するより、掲示板の依頼で該当アイテムの納品クエストが貼りだされたら、それを受けて納品した方が儲かる。
 また、ギルドを通さず商店に直接卸売りした方がお得なことが多い。
 商店が必要としている物をピンポイントでストックしておく必要があるが。
 あとは、俺はまだ使ったことがないが、武具の加工や魔道具の錬成にも様々な素材アイテムが必要になるらしい。
 換金せずに持っておく方が、色々と用途が広がるのだ。
 シルバーウルフの毛皮と鬣も換金せずに持っている。
 まあ、それは初めて倒した大物なので、あっさり換金するのが少しもったいないというか、しばらくは記念として持っておこうと思ったからだ。
 もちろん、いい使用用途があれば、それに使いたいと思っている。

 しばらく悩んだ後『イエロービー十匹討伐依頼』を受けることにする。
 討伐報酬は1500G。申し分ない。
 掲示板から紙を剥がすと、近くにいるムキムキの冒険者が声をかけてくる。
 前に『リズちゃんを頼む』と言ってきた酒場に入り浸ってる中年の戦士だ。
 名前はグレゴというらしい。
「おお、レオ。強気だな。イエロービーを十匹かい。倒せるのか?」
「ああ、ファイアを一撃当てれば。割と簡単に」
「はえー、すげえな。俺のパーティも魔法使いLv2で魔法適性がCのやついるけど、ファイア一発じゃあ到底、倒せねえもん」
 魔法使いというのは多分冒険者の上位職だろう。
 ネーミングから察するに下級職といったところか。
 ここでも適性補正がバッチリ効いているらしい。
「ちょっと訊きたいんだが、ホーンラビット相手なら、グレゴでどのくらいかかる? 剣でも魔法でもいい」
「えーっと……どちらも同じくらいだな。一匹十分くらいで倒してるよ。でも、その後しばらくバテるから、連戦は無理だな。グループが出た時はパーティ総出で、死に物狂いで戦っているよ」
 俺が訊くと、グレゴが腕を組んで答える。
 それはバテるよな。一匹十分まで戦闘時間が長引いたら、俺だってそうなるだろう。
 どうやら、俺の強さとルクシアで活動している冒険者の強さとは思っていた以上に大きな開きがあるらしい。

 受付に進むとラズベリーの姿が見えた。
 昨日の今日で、こうやって顔を合わせるのは何ともむず痒い。
 俺が『イエロービー十匹討伐依頼』の紙を渡すと、少し目を見開き、ごくりと息を飲む。
 何かあったのかと思ったが、咳ばらいをして、直ぐにいつもの調子に戻る。
「イエロービー十匹の討伐ですね。おや、今日はお一人でしょうか? リズさんはどうかされましたか?」
「ああ。リズは二日酔いで休みだ。俺一人でも宿代くらいは稼いどかないとな」
「そうでしたか。一応、プロフィールを確認させていただきます」
 受付嬢は事務魔法を唱えて俺のプロフィールを出す。

名前:レオ・アオミネ
年齢:19歳
ジョブ:冒険者Lv13

 見ると、冒険者のレベルが跳ね上がっていた。
 確か、サマンサの依頼を受ける前は冒険者Lv5だったはずだ。
 魔物素材も溜まりまくってるし、なんなら百個以上持っている素材もある。
 レベルが急激に上がったのは、危険度Dのシルバーウルフの経験値が高かったのだろう。
 なんか、ボスっぽかったし。
 あと考えられるのは、低レベルの間はレベルアップに必要な経験値が少ないということだろう。
 RPGなどにおける常識だ。
「Lv13ですか、ずいぶんと上がりましたね。適正レベルは超えているので、この分なら依頼を任せても大丈夫ですね」
 淡々と言う、受付嬢ラズベリー。

「イエロービーの特徴は分かりますか?」
「ああ、昨日、少しだけ森に入ったから、その時に見た。リズの『鑑定』も使ってみたからバッチリだ」
「リズさんの……? ああ、そういえば、レオさんは『鑑定』持ってませんでしたね」
「まあ、採集者じゃないからな」
「これは、提案なのですが……『鑑定』の魔導書を使うことで鑑定魔法を簡単に習得することができますが、いかがでしょう?」
「そんなことできるのか?」
「はい。ソロの冒険者は、たいてい皆さん魔導書を使って覚えておられます。『鑑定』は極めて便利ですし、初めての魔物やアイテム、人に対して情報を掴むのは冒険者としては定石ですから」
「だけど、資金的に魔導書を買うお金がないからな」
「……少し待っていてください」
 そう言い残し、奥の部屋に入っていったラズベリー。
「こちらを……ページ数が少ないので今の内にこっそり読んでください」
 ヒソヒソ声で差し出してきた白い魔導書。
 どうやら、便宜を図ってくれるらしい。
 お言葉に甘えて、その魔導書を開き素早く目を通す。
 わずか数ページの魔導書なので簡単に読み終わった。
 同時に、頭の中に『鑑定』の魔法の使い方が広がっていく。
 なるほど、鑑定は詠唱が不要で、頭の中に情報を映し出したり、プロフィールを表示する時みたいに外に表示させたり、両方できるようだ。
「これで、レオさんは『鑑定』の魔法を使えるようになりました」
「ありがとう。でも、これだと冒険者の人は全員『鑑定』の魔導書を読んだ方が良いんじゃないか?」
「冒険者の中には肌で感じることや実戦で得た知識を重視する者も多いのです。実際、『鑑定』の情報を鵜吞みにし過ぎて相手を侮り、命を落とすケースも多いので」
「そうか。でも、なんでリズは『鑑定』にも魔導書があるって今まで教えてくれなかったんだろう」
 俺の疑問にラズベリーが静かに答える。
「それは……『自分の役割を失いたくなかったから』ではないでしょうか。少しでもレオさんの役に立ちたいと思うあまり、そういった行動を取ってしまったのではと推察します」
 なるほど『パーティメンバーとしての自分』に自信がないリズなら十分考えられる。
 きっと、俺が『鑑定』を覚えることで、自分が役立たずになるとでも思ったのだろう。
 あやつめ……二日酔いから覚めたら、秘密にされていた分、存分に可愛がってくれるわ。
「ですので、リズさんの前では鑑定を使えることは、しばらくは秘密にしておいた方が良いかと」
「ああ、分かってる。機会が来るまで秘密にしておくよ」
 ラズベリーの進言に首肯する。
「そうだ……じゃあ、なんで受付嬢である君は教えてくれたんだ?」
「そ、それは……」
 少し言いよどむラズベリー。
「……リズさんとは、ライバル……ですので」
 なんとなく顔が赤くなったラズベリーだが、すぐに咳払いして、元の表情に戻る。
 今の言葉って、つまり、そういうこと……だよな。
 俺の心臓が嬉しそうにトクリと跳ねる。
「そ、それでは、いってらっしゃいませ」
 ラズベリーに押し出されるように見送られ、ギルドを後にする。
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