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第3章:エルフの国と優しい女王編
第8話:女神との交信・ミレーユ編
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チュンチュンチュン……。
もう、新たな火遊びのやってしまった感がかなり薄れている。
「仕方ないよね……うん、これが異世界だもの」
自らに言い聞かせるように呟く。
『お互いの為の行為なんだから……やっぱり、『ありがとう』だな(迫真の演技・イケボ)』
「ぎゃあああああああああああっ!? 真似するなあああっ!?」
突然、女神の声で昨日の俺のキザな台詞が聴こえてきて絶叫してしまう。
『うるさいですねー。起きちゃいますよ? 愛しのお姉さま彼女』
「お前が悪ふざけするからでしょうが!」
隣を見ると、まだ夢の中の褐色美女。
起きなかったのを見て、ホッと胸をなでおろす。
『まあ、ともかくまたハーレムを拡充しましたねぇ。おめでとうございますぅ!』
女神がニヤニヤしながら言っているのが手に取るように分かった。
「今回は大したことをしていないというか……たまたま素材を持ってただけなんだがな」
『いえいえ、それでもファインプレーですよ。その世界の貴族は、いわば地球で言うと政治家や大企業社長みたいな感じで権力を持っていますからねー、そのくせ、異世界の法が緩いのをいいことに悪いことをしようとするヤツも多いのですよ』
はぁっと、ため息をつきながら言うメルヴィーナ。
「なるほど、今回はメルヴィーナがいつも言っている『魔物や賊を倒してくれ』の『賊』を懲らしめたことになるのか」
『そういうことですねー。頑張ってくれて嬉しいですー』
「その割には、あまり気分が乗って無いみたいだが?」
『あ、あははー。バレちゃいましたかー、いやー、レオさんはいつルクシアを出るのかなあと思いまして。始まりの街でかなり滞在してるので、てっきり、もうそこで住んじゃう勢いなのかなーとか感じておりまして』
「ああ……そのことか。メンバーとも話したが、地盤さえ固まれば次の目的地に行こうと思っているぞ? なんだ? 何か急ぐ理由でもあるのか?」
『…………』
俺の問いかけに急に押し黙るメルヴィーナ。
そしてしばらくの沈黙の後、静かに呟く。
『ここから話すことは、ただの世界情勢です。レオさんには何も関係のないことなので、気になさらないでくださいね』
そう前置きした後、ゆっくりと話し出した。
『アルティナの魔物の勢いは日に日に強くなり、地域によっては滅ぼされてしまったところもあります。その結果、荒んだ地では盗みや暴行などの犯罪が横行し、世界は暗く淀んでしまっている状態です。女神として憂慮しているのですよ。世界の行く末を』
なるほど、断った後でこの話をしたということは深入りすると女神の掟に抵触するということだろう。
前に言っていた『失楽園』として記憶を消されてこの世界に堕とされる可能性があるということだ。
「分かった。これ以上のことは訊かない。すまなかったな、言いにくいことを訊いてしまって」
『いえ……』
重々しい口調で言うメルヴィーナ。
察するに、転生をさせて色んな人物をこの世界に生み落としているのも、なにかしらの目的があってのことかもしれない。
先ほどの世界情勢を聞くに、色んな場所で広く世直しをして欲しいといったところか。
あるいは、もっと重大なことがあるのか。
『あはは、なんか重たくなっちゃいましたねー、すみません。でも、レオさんにその世界での生活を目一杯楽しんで欲しいっていうのに嘘は無いですから。先ほどの私の言葉はあまり気にせずに、欲望が萎れて枯れ果てるまでハーレム作って行っちゃってくださいよ!』
重苦しい雰囲気を無理矢理、変えようとするようにおどけるメルヴィーナ。
俺はそんな彼女を、少し不憫に思ってしまった。
「ああ。しっかり楽しむさ。そして、冒険者として世界を少しでも良くできるように頑張るよ」
俺の精一杯の答えだ。
今、自分の人生はこれまでになく充実している。
毎日刺激を受け、仲間と共にお金を稼ぎ、女の子と遊んで……病弱ひ弱でボッチだった過去なんて嘘のように。
俺は、こんな生活をくれたメルヴィーナに少しでも恩を返したい。
品行方正に生きて、悪を挫くことが恩返しになるなら喜んでする。
『ありがとう……ございます』
俺の言葉に柔らかい口調で答えるメルヴィーナ。
俺の言葉の真意が少なからず伝わったようだ。
『では、引き続きいい人生を。ハブ・ア・ナイスライフ!』
「ああ、またな」
女神との交信が切れる。
アホなところもあるが、しっかりした女神じゃないか。
俺は認識を改めて、女神の言葉を大切に胸に刻んだ。
「……んー、ふぁ。あら、私が男より寝ちゃうなんて不覚だわ……」
ミレーユは小さくあくびをした後、先に起きていた俺の腕に抱きついてくる。
ミレーユのたわわな膨らみに沈み込む腕。
柔らかい……至極、柔らかい。
せっかくなので、このままでいさせてもらう。
「おはよう、ミレーユ」
「おはよう……レオくん……♪ 昨日はすっかり、いいようにされちゃったわね」
「不満か?」
「うふふ……私が主導権をもらうつもりだったからね……少しだけ不満かしら……次は、負けないから」
不敵な笑みを浮かべるミレーユ。
彼女には敵わないなと思ってしまった。
「そうだ、昨日気になってたんだが、貴族にあんな形で逆らっちゃっても大丈夫だったのか? ミレーユの店に嫌がらせとかしてくるんじゃ?」
「大丈夫よ。その対処として『血の契約書』で今後、私と私の周りには一切関われないようにしたんだから。それに、ロースシュタイン家はそこそこ大きな貴族だけど、カブラはその中でも、かなりの嫌われ者。何かしようにも協力者なんかいないでしょうしね」
うっとりと俺を見つめながら言うミレーユ。
潤んだ瞳と、艶めかしい唇をこれでもかと見せつけてくる。
「そ、そうか……じゃあ、良かったよ。でも、何か困ったことがあったら、いつでも言ってくれよ」
思わず、目を逸らしてしまう。
「頼もしい……♪ さすがは私の彼氏様ね」
頬に優しくキスをされる。
甘ったるい空気が流れるが、さすがにもうゆっくりはできない。
あまり帰りが遅ければ、リズやシレイドにも迷惑がかかる。
と思ったが、ミレーユの方はそうではないらしく……。
「み、ミレーユ? も、もう時間が……!」
「もう一回ぐらいなら大丈夫でしょう? 私、負けっぱなしはイヤなの。さっそく、『次』を始めさせてもらうわ……♪」
その後、猛獣に食われるウサギのように、俺はミレーユに強引に美味しく頂かれた。
彼女が凄まじく負けず嫌いだと思い知ったのだった。
ちなみに、昼頃宿に帰った後で、俺の帰りが遅いと心配しまくっていたリズとシレイドにたっぷり埋め合わせを要求されたのだった。
もう、新たな火遊びのやってしまった感がかなり薄れている。
「仕方ないよね……うん、これが異世界だもの」
自らに言い聞かせるように呟く。
『お互いの為の行為なんだから……やっぱり、『ありがとう』だな(迫真の演技・イケボ)』
「ぎゃあああああああああああっ!? 真似するなあああっ!?」
突然、女神の声で昨日の俺のキザな台詞が聴こえてきて絶叫してしまう。
『うるさいですねー。起きちゃいますよ? 愛しのお姉さま彼女』
「お前が悪ふざけするからでしょうが!」
隣を見ると、まだ夢の中の褐色美女。
起きなかったのを見て、ホッと胸をなでおろす。
『まあ、ともかくまたハーレムを拡充しましたねぇ。おめでとうございますぅ!』
女神がニヤニヤしながら言っているのが手に取るように分かった。
「今回は大したことをしていないというか……たまたま素材を持ってただけなんだがな」
『いえいえ、それでもファインプレーですよ。その世界の貴族は、いわば地球で言うと政治家や大企業社長みたいな感じで権力を持っていますからねー、そのくせ、異世界の法が緩いのをいいことに悪いことをしようとするヤツも多いのですよ』
はぁっと、ため息をつきながら言うメルヴィーナ。
「なるほど、今回はメルヴィーナがいつも言っている『魔物や賊を倒してくれ』の『賊』を懲らしめたことになるのか」
『そういうことですねー。頑張ってくれて嬉しいですー』
「その割には、あまり気分が乗って無いみたいだが?」
『あ、あははー。バレちゃいましたかー、いやー、レオさんはいつルクシアを出るのかなあと思いまして。始まりの街でかなり滞在してるので、てっきり、もうそこで住んじゃう勢いなのかなーとか感じておりまして』
「ああ……そのことか。メンバーとも話したが、地盤さえ固まれば次の目的地に行こうと思っているぞ? なんだ? 何か急ぐ理由でもあるのか?」
『…………』
俺の問いかけに急に押し黙るメルヴィーナ。
そしてしばらくの沈黙の後、静かに呟く。
『ここから話すことは、ただの世界情勢です。レオさんには何も関係のないことなので、気になさらないでくださいね』
そう前置きした後、ゆっくりと話し出した。
『アルティナの魔物の勢いは日に日に強くなり、地域によっては滅ぼされてしまったところもあります。その結果、荒んだ地では盗みや暴行などの犯罪が横行し、世界は暗く淀んでしまっている状態です。女神として憂慮しているのですよ。世界の行く末を』
なるほど、断った後でこの話をしたということは深入りすると女神の掟に抵触するということだろう。
前に言っていた『失楽園』として記憶を消されてこの世界に堕とされる可能性があるということだ。
「分かった。これ以上のことは訊かない。すまなかったな、言いにくいことを訊いてしまって」
『いえ……』
重々しい口調で言うメルヴィーナ。
察するに、転生をさせて色んな人物をこの世界に生み落としているのも、なにかしらの目的があってのことかもしれない。
先ほどの世界情勢を聞くに、色んな場所で広く世直しをして欲しいといったところか。
あるいは、もっと重大なことがあるのか。
『あはは、なんか重たくなっちゃいましたねー、すみません。でも、レオさんにその世界での生活を目一杯楽しんで欲しいっていうのに嘘は無いですから。先ほどの私の言葉はあまり気にせずに、欲望が萎れて枯れ果てるまでハーレム作って行っちゃってくださいよ!』
重苦しい雰囲気を無理矢理、変えようとするようにおどけるメルヴィーナ。
俺はそんな彼女を、少し不憫に思ってしまった。
「ああ。しっかり楽しむさ。そして、冒険者として世界を少しでも良くできるように頑張るよ」
俺の精一杯の答えだ。
今、自分の人生はこれまでになく充実している。
毎日刺激を受け、仲間と共にお金を稼ぎ、女の子と遊んで……病弱ひ弱でボッチだった過去なんて嘘のように。
俺は、こんな生活をくれたメルヴィーナに少しでも恩を返したい。
品行方正に生きて、悪を挫くことが恩返しになるなら喜んでする。
『ありがとう……ございます』
俺の言葉に柔らかい口調で答えるメルヴィーナ。
俺の言葉の真意が少なからず伝わったようだ。
『では、引き続きいい人生を。ハブ・ア・ナイスライフ!』
「ああ、またな」
女神との交信が切れる。
アホなところもあるが、しっかりした女神じゃないか。
俺は認識を改めて、女神の言葉を大切に胸に刻んだ。
「……んー、ふぁ。あら、私が男より寝ちゃうなんて不覚だわ……」
ミレーユは小さくあくびをした後、先に起きていた俺の腕に抱きついてくる。
ミレーユのたわわな膨らみに沈み込む腕。
柔らかい……至極、柔らかい。
せっかくなので、このままでいさせてもらう。
「おはよう、ミレーユ」
「おはよう……レオくん……♪ 昨日はすっかり、いいようにされちゃったわね」
「不満か?」
「うふふ……私が主導権をもらうつもりだったからね……少しだけ不満かしら……次は、負けないから」
不敵な笑みを浮かべるミレーユ。
彼女には敵わないなと思ってしまった。
「そうだ、昨日気になってたんだが、貴族にあんな形で逆らっちゃっても大丈夫だったのか? ミレーユの店に嫌がらせとかしてくるんじゃ?」
「大丈夫よ。その対処として『血の契約書』で今後、私と私の周りには一切関われないようにしたんだから。それに、ロースシュタイン家はそこそこ大きな貴族だけど、カブラはその中でも、かなりの嫌われ者。何かしようにも協力者なんかいないでしょうしね」
うっとりと俺を見つめながら言うミレーユ。
潤んだ瞳と、艶めかしい唇をこれでもかと見せつけてくる。
「そ、そうか……じゃあ、良かったよ。でも、何か困ったことがあったら、いつでも言ってくれよ」
思わず、目を逸らしてしまう。
「頼もしい……♪ さすがは私の彼氏様ね」
頬に優しくキスをされる。
甘ったるい空気が流れるが、さすがにもうゆっくりはできない。
あまり帰りが遅ければ、リズやシレイドにも迷惑がかかる。
と思ったが、ミレーユの方はそうではないらしく……。
「み、ミレーユ? も、もう時間が……!」
「もう一回ぐらいなら大丈夫でしょう? 私、負けっぱなしはイヤなの。さっそく、『次』を始めさせてもらうわ……♪」
その後、猛獣に食われるウサギのように、俺はミレーユに強引に美味しく頂かれた。
彼女が凄まじく負けず嫌いだと思い知ったのだった。
ちなみに、昼頃宿に帰った後で、俺の帰りが遅いと心配しまくっていたリズとシレイドにたっぷり埋め合わせを要求されたのだった。
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