【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

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第3章:エルフの国と優しい女王編

第14話:深淵のグレイベア

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 明朝、六時過ぎ――。
「あ、来た来た……おーい、レオー! 遅いよー!」
「ご主人様……遅刻」
「悪い……! なかなか用事が終わらなくてな……!」
 明け方までラズベリーに引っ付かれて、何とか待ち合わせ場所に着いた。
 長くなるのを見越して、昨日のうちに荷物をすべて魔法の袋に整理していてよかった。
「で、ラズベリーには許してもらえたの?」
「ははは……お見通しか、まあ、なんとかな」
 リズの問いかけに苦笑して答える。
 ハーレムを維持するのは大変だ。
「キアラも、遅れてすまない」
「構わないさ。さあ、向かおうか。ガラテアへ案内する」
 キアラが先頭を歩き、俺たちはそれについていく。
 草原を過ぎて、森に入る。
 途中何度か、戦闘はあったものの、キアラの動きの切れと槍さばきは素晴らしく冴えており、正直、前線に立つキアラとシレイドだけで魔物を仕留めてしまっている。
「すごいな、キアラ。相当強いじゃないか」
「ふふ、ありがとう。武を褒められるのは嬉しい」
 俺の言葉に頬を緩ませるキアラ。
「でも、その分だとエルフの戦士って相当強そうじゃない……その戦士たちが苦戦するって、あたしたちの手に負えるのかしら……」
 リズが不安そうにつぶやく。
「その心配はない……というか、情けない話なんだがな。エルフの国『ガラテア』で一番腕のいい戦士は私なんだ。ガラテアはルクシアと同じく、エルフにとっても辺境の国でな。戦士たちの適性も高くない。私以外で優れた戦士と言われる者たちは皆、適性Bの戦士ばかりだ」
「ほう。じゃあ、キアラはいくつなんだ」
「私か? 私は槍適性Sだ。高い適性になれたことを日々感謝している」
 キアラがにっこりと笑う。
 エルフは昨日初めて見たが、人にはない神秘的な空気感と整った顔立ちから、美術品のような美しさを感じる。
 ときめくというよりは、感嘆してしまうような。
 そんな美しさだ。
「すまないが、昨日お前たちに鑑定をかけて適性を見せてもらった。リズはA、シレイドはS、どちらも優れた戦士のようだ。そしてレオに至っては、適性SSS。驚愕したぞ。これなら任務を任せられると思い、ウルス殿の言葉に異を唱えなかったんだ」
 なるほど、国の命運を握るための冒険者がほいほい決められているのを静かに見ていたのは、すでに俺たちの実力を測り終えていて安心していたからだったのか。
「じゃあ、もし、あたしたちが全員適性Bとかだったら?」
「『他の者にしてくれ』とウルス殿に進言していただろうな。そちらが受けた依頼とはいえ、みすみす犬死するような選択は見過ごせないからな」
「その結果、適任者がいなくて国が滅んじゃっても?」
「ああ。その場合は、滅ぶべくしてガラテアは滅んだというだけだ。冷たい考え方だと思うだろうが、エルフとして、ちゃんとした矜持があるのだよ」
 そう語るキアラの目は悲しいくらいに凛とまっすぐな目をしていた。
 尋ねたリズも、思わず哀しい顔をしてしまうほどに。
「でも……シレイドたち……戦える……ガラテア……滅ばない」
 こんな時、我関せずの顔をするのが普通のシレイドが俺たちを鼓舞してくれる。
「珍しいな。シレイドがそんなに熱くなるなんて」
「あはは……シレイド、さっきキアラにエルフの国のお菓子を貰ってたからね」
 なるほど、欲望に素直な可愛い奴だ。
 そうこうしていると、森の中腹に差し掛かる。
 いよいよ『深淵』だ。
「さて、ウルス殿に聞いたが、レオたちは、深淵は初めてとのことだったな。ここから魔物が急に強くなる。最短でエルフの国に向かうとはいえ、用心してくれ」
「分かった」
 キアラの言葉に、俺たちは強くうなずいた。
 鬱蒼とした森の奥に入っていく。
 太陽の光は途端に少なくなり、なんとも薄暗い。
 チチチチチ……といった、鳥の不気味な鳴き声が反響して響いてくる。
 先頭を歩いていたキアラとシレイドが、急に立ち止まり、身をかがめる。
 キアラが俺とリズにしゃがめという合図をしてくる。
 その先には、大きな灰色のクマが二匹うろついていた。
 すぐに鑑定をかける。

名前:グレイベア
危険度:D
説明:森の奥に潜む大きな灰色の熊。獰猛で、冒険者を容赦なく襲う。
素材:『灰熊の毛皮』
レア素材:『灰色の熊掌』

 いきなり危険度Dか。
「ここからは私とシレイドだけでは手に余る魔物ばかりだ。レオやリズにも手を貸してもらうぞ? そうだな……試しにそなたたちの戦い方を見せてほしい」
「分かった。リズ、シレイド。いつものように戦うぞ」
「ええ」
「分かった……!」
 キアラに普段の戦い方を見せるため、俺とシレイドが前に飛び出す。
 初見の魔物だが、戦いは臆した方が危ないと、ここ一か月半で嫌と言うほど思い知った。
「グアアッ!?」
 グレイベア二匹がこちらに気が付き、両腕を上げて威嚇してくる。
「行くぞ! シレイド!」
「ん……!!」
 シレイドが前に飛び出し、大きく跳躍する。
「『フレイム』!!」
 シレイドの位置を確認した後、グレイベアに炎をお見舞いする。
「グアアアアアアッ!」
 効いているようだ。
 魔剣士にジョブチェンジして、魔法の威力も間違いなく上がっている。
 火柱で、慌てて藻掻いている灰熊の頭に、飛んでいたシレイドが勢いよく落ちてくる。
 鉄のダガーが灰熊の脳天に突き刺さっていた。
「ガ……アァッ……!」
 一匹が絶命して地に沈む。
 火柱が弱まってくると、もう一匹のグレイベアが四足歩行で俺に向かって突進してくる。
 鋼の剣を抜き、待ち構える。
 その後ろから、リズがクロスボウの矢を三発放つ。
「ガアッ!? ギャア!! グエァアッ!!」
 一発は肩に直撃、もう一発は盛り上がった背中に刺さり、最後の一発は左目に刺さり、グレイベアは動きを止めて苦しそうに身体を仰け反らせる。
「今だ……!! ファイア!!」
 じたばたしている間に、俺は距離を詰めて、灰熊の顎に火球を浴びせる。
「ガッ……ガッ……!」
 失神した灰熊を最後に袈裟斬りにする。
 ドシーン!!
 二匹目のグレイベアが絶命し、倒れる。
「す……すごいな……これほどとは……」
 キアラは感嘆の声を漏らす。
 リズがロックバグクロスボウを手に入れてから約一週間、森で魔物を狩って狩って狩りまくっていた成果だ。
 連携というか、戦法が俺たち三人の中では阿吽の呼吸で固まっていた。
 戦える。ちゃんと。この深淵でも。
 以前、苦戦したシルバーウルフと同じ、危険度Dの魔物とも。
 自分の成長に何とも言えない満足感を感じた。
「これは、私がお荷物にならないように頑張らないとな」
 俺たちをまっすぐな目で見つめながら微笑み、キアラは呟くのだった。
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