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第7章:海竜の洞窟と美人漁師編
第10話:海竜の洞窟
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「うーん! 清々しい朝だねぇー!」
太陽の光を受けて、リズが大きく背伸びをする。
宿から出た俺たちは、百聞は一見に如かずで、海竜の洞窟へ行ってみようということになった。
「ずいぶんぐったりしてるな、レオ。どうした?」
「おいおい、大丈夫かよ、ご主人様。これから、ダンジョンに向かうんだぜ?」
げっそりとした俺を見て、キアラとロウナが声をかけてくる。
原因はもちろん昨日の夜、一人で五人を相手取ってカーニバルしたからに決まっている。
一人、二回戦。合計一〇回プラス前戯で合計一二回くらいの発射。
オークエクスタシーが無ければ、干からびて死んでいただろう。
「一応、回復魔法はかけながらしたんですけどねぇ」
セーラがきょとんとした顔で言う。
「……ああ。お陰で体力的には問題ないさ……体力的にはな」
回復魔法も精神的な疲れには効かないのだ。
「ご主人様……ギルドには行かないの?」
「ああ。この町、ギルドが無いみたいなんだ」
シレイドの問いかけに答える。
そう、昨日酒場で情報収集して分かったのは、この町は漁師を生業にしている者が大半で、冒険者がほぼいない。
そのため、ギルドと呼ばれるものが存在しないのだ。
付近のダンジョンも『海竜の洞窟』くらいしかなく、魔物の影響も少ない。
一応、自警団的なものはあり、見回りなどはしているものの、そのほとんどが本職を別に持つ兼業団員らしい。
「ふぅむ……『海竜の洞窟』に妙な噂が立っているのに対処が限定的になっているのはギルドが無いのも原因かもしれないな」
キアラの言う通りだと思う。
結局、冒険者ではないから『危なければ近づかない』というスタンスを取れば、一応問題は回避できるのだ。
ダンジョンの魔物の大量発生『スタンピード』が起きるなら、前兆が調査団によって観測されているはずらしいしな。
とはいえ、俺たちは冒険者。
その枠には当然入らない。
「よし。みんな、『海竜の洞窟』に行こう。気を引き締めてな」
「「「「「おー!」」」」」
俺の言葉に皆は元気よく応えるのだった。
町の外れにある入江にぽっかりと空いた穴。
そこが『海竜の洞窟』の入り口だった。
俺たちは顔を見合わせて合図をして、中に入る。
そこには天井が高く広い空間と、何とも言えない綺麗な青が広がっていた。
「これは……鍾乳洞みたいになっているのかな?」
「ん……海からの水が洞窟内にも入ってきてる……外へと繋がる穴も多いから明るい……」
「まるでターコイズを散りばめたような壁や天井ですね……綺麗」
「それに涼しいな。あっちー『灼炎の祠』より全然、動きやすいぜ」
皆、口々に感想を述べ合う。
「レオ。気づいたか? この洞窟、瘴気が薄い」
「ああ。これなら、『ワープ』が使えそうだ」
キアラの言葉にしっかり答える。
どこか神聖な雰囲気も漂う洞窟は、とてもダンジョンとは思えないほどだ。
本当に化け物など潜んでいるのだろうか。
俺たちは慎重に奥に進むことにする。
「レオ、早速魔物よ。前方に反応あり」
エネミーカウントをしていたリズに魔物が引っかかる。
気づかれないように近づいてみると、槍を持った半魚人のような魔物がいた。
かなり数が多いな。
鑑定を行う。
名前:サハギン
危険度:B
説明:魚の上半身と人の下半身を併せ持つ水辺の魔物。集団で行動しており、漁師などを襲う。肝は珍味として有名。
素材:『サハギンの肝』
レア素材:『サハギンの宝鱗』
「よし、行くぞ!」
号令をかけた俺と共に、ロウナ、キアラが前衛として突っ込む。
「はあああっ!!」
キアラの薙ぎ払いが見事に決まり、数体が沈む。
「おらぁ! はぁ!!」
ロウナも善戦し、すでに複数体を倒している。
俺の方に近づいてきた残りのサハギンも、難なく斬り捨てて倒せた。
リズとシレイド、セーラはいつも通り後方支援に回っており、あっという間に倒せた。
「あんまり援護いらなかったねー」
リズが苦笑気味に言う。
サハギンの数自体は多かったものの、個々の能力自体は低く、背後を取られなければ苦戦することもない。
前衛の三人で殲滅できるほどだ。
「ふむ、今ので危険度Bか……?」
キアラも手応えの無さに呟く。
「多分、あたしたち、今までの戦いを経て強くなりすぎたんだ。なんつーか、戦闘時の立ち回りとかの面でさ」
ロウナが言う。
実際その通りなのだろう。
パーティが確立してから、魔獣の森、灼炎の洞窟と回ったが、雑魚戦で苦戦することはあまり無かった。
不意打ちなどをくらい、危なくなった時はあるが、それも潜り抜けられたし。
サラマンダーも巨大個体でなければ、あそこまで苦戦することは無かったはずだ。
この世界には『個人のレベル』という概念が存在しない。
その代わり『武器適性』や『ジョブのレベル』、あとは視覚化できない『センス』や『戦闘経験』などが強さの指標となる。
武器適性は、言わずもがな全員高い。
確認したところ、ジョブのレベルも全員中級職Lv30を超えている。
ロウナに至っては中級職Lv40超えだ。
適性などが高く戦闘効率がいいため、戦闘経験も同じクラスのパーティに比べれば多いはず。
ともすれば、この快勝は必然なのかもしれない。
「まあ、楽に進めることは良いことだ。だが、油断は禁物だ。余裕をもって探索しよう」
俺の言葉に五人は首肯するのだった。
太陽の光を受けて、リズが大きく背伸びをする。
宿から出た俺たちは、百聞は一見に如かずで、海竜の洞窟へ行ってみようということになった。
「ずいぶんぐったりしてるな、レオ。どうした?」
「おいおい、大丈夫かよ、ご主人様。これから、ダンジョンに向かうんだぜ?」
げっそりとした俺を見て、キアラとロウナが声をかけてくる。
原因はもちろん昨日の夜、一人で五人を相手取ってカーニバルしたからに決まっている。
一人、二回戦。合計一〇回プラス前戯で合計一二回くらいの発射。
オークエクスタシーが無ければ、干からびて死んでいただろう。
「一応、回復魔法はかけながらしたんですけどねぇ」
セーラがきょとんとした顔で言う。
「……ああ。お陰で体力的には問題ないさ……体力的にはな」
回復魔法も精神的な疲れには効かないのだ。
「ご主人様……ギルドには行かないの?」
「ああ。この町、ギルドが無いみたいなんだ」
シレイドの問いかけに答える。
そう、昨日酒場で情報収集して分かったのは、この町は漁師を生業にしている者が大半で、冒険者がほぼいない。
そのため、ギルドと呼ばれるものが存在しないのだ。
付近のダンジョンも『海竜の洞窟』くらいしかなく、魔物の影響も少ない。
一応、自警団的なものはあり、見回りなどはしているものの、そのほとんどが本職を別に持つ兼業団員らしい。
「ふぅむ……『海竜の洞窟』に妙な噂が立っているのに対処が限定的になっているのはギルドが無いのも原因かもしれないな」
キアラの言う通りだと思う。
結局、冒険者ではないから『危なければ近づかない』というスタンスを取れば、一応問題は回避できるのだ。
ダンジョンの魔物の大量発生『スタンピード』が起きるなら、前兆が調査団によって観測されているはずらしいしな。
とはいえ、俺たちは冒険者。
その枠には当然入らない。
「よし。みんな、『海竜の洞窟』に行こう。気を引き締めてな」
「「「「「おー!」」」」」
俺の言葉に皆は元気よく応えるのだった。
町の外れにある入江にぽっかりと空いた穴。
そこが『海竜の洞窟』の入り口だった。
俺たちは顔を見合わせて合図をして、中に入る。
そこには天井が高く広い空間と、何とも言えない綺麗な青が広がっていた。
「これは……鍾乳洞みたいになっているのかな?」
「ん……海からの水が洞窟内にも入ってきてる……外へと繋がる穴も多いから明るい……」
「まるでターコイズを散りばめたような壁や天井ですね……綺麗」
「それに涼しいな。あっちー『灼炎の祠』より全然、動きやすいぜ」
皆、口々に感想を述べ合う。
「レオ。気づいたか? この洞窟、瘴気が薄い」
「ああ。これなら、『ワープ』が使えそうだ」
キアラの言葉にしっかり答える。
どこか神聖な雰囲気も漂う洞窟は、とてもダンジョンとは思えないほどだ。
本当に化け物など潜んでいるのだろうか。
俺たちは慎重に奥に進むことにする。
「レオ、早速魔物よ。前方に反応あり」
エネミーカウントをしていたリズに魔物が引っかかる。
気づかれないように近づいてみると、槍を持った半魚人のような魔物がいた。
かなり数が多いな。
鑑定を行う。
名前:サハギン
危険度:B
説明:魚の上半身と人の下半身を併せ持つ水辺の魔物。集団で行動しており、漁師などを襲う。肝は珍味として有名。
素材:『サハギンの肝』
レア素材:『サハギンの宝鱗』
「よし、行くぞ!」
号令をかけた俺と共に、ロウナ、キアラが前衛として突っ込む。
「はあああっ!!」
キアラの薙ぎ払いが見事に決まり、数体が沈む。
「おらぁ! はぁ!!」
ロウナも善戦し、すでに複数体を倒している。
俺の方に近づいてきた残りのサハギンも、難なく斬り捨てて倒せた。
リズとシレイド、セーラはいつも通り後方支援に回っており、あっという間に倒せた。
「あんまり援護いらなかったねー」
リズが苦笑気味に言う。
サハギンの数自体は多かったものの、個々の能力自体は低く、背後を取られなければ苦戦することもない。
前衛の三人で殲滅できるほどだ。
「ふむ、今ので危険度Bか……?」
キアラも手応えの無さに呟く。
「多分、あたしたち、今までの戦いを経て強くなりすぎたんだ。なんつーか、戦闘時の立ち回りとかの面でさ」
ロウナが言う。
実際その通りなのだろう。
パーティが確立してから、魔獣の森、灼炎の洞窟と回ったが、雑魚戦で苦戦することはあまり無かった。
不意打ちなどをくらい、危なくなった時はあるが、それも潜り抜けられたし。
サラマンダーも巨大個体でなければ、あそこまで苦戦することは無かったはずだ。
この世界には『個人のレベル』という概念が存在しない。
その代わり『武器適性』や『ジョブのレベル』、あとは視覚化できない『センス』や『戦闘経験』などが強さの指標となる。
武器適性は、言わずもがな全員高い。
確認したところ、ジョブのレベルも全員中級職Lv30を超えている。
ロウナに至っては中級職Lv40超えだ。
適性などが高く戦闘効率がいいため、戦闘経験も同じクラスのパーティに比べれば多いはず。
ともすれば、この快勝は必然なのかもしれない。
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