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第8章:マッサ鉱山と謎のダークエルフ編
第5話:メテオバード
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充分休憩をとった後、再び鉱山の攻略を進める。
「おっしゃー! ガンガン行くぜ!!」
セーラの治療もあって、ロウナもすっかり元気になった。
「先ほどの戦いから見るに、俺たちが今、楽に勝てる魔物の危険度はB辺りってことだろうか。危険度Aの時は、全員で全力を出して勝っていると思うし」
俺の言葉を聞いて、みんなが首肯する。
「概ね、合っていると思うぞ。実際、危険度B+とAの間は他の魔物の難易度と比べ、少し差が大きいらしいからな」
「ええ。危険度A以上というのは、普通はレアモンスターかボスモンスターの危険度です。転じて、一般モンスターは危険度B+以下が多い。私たちの苦戦も想定通りということです」
キアラとセーラが言う。
「以前にも言ってたけど危険度S以上っていうのは、瘴気の濃度を変えるくらいヤバイ魔物だからな。今のあたしたちではまず勝てないだろう」
「うげー。そんな強い魔物、戦いたくないよぉ」
「……大丈夫……前にも話したけど、エルゼリア周辺で確認されている魔物の危険度はAが最高レベル……この辺りで活動する限り、S級の魔物に遭うことは考えられない……」
ロウナ、リズ、シレイドが話している。
要するに、エルゼリアを活動拠点とする限り、気を抜かなければそうそう負けることはないということだ。
何度も言うが、冒険者は余裕をもって活動しなければ、すぐに命取りになる。
そういう点では『中級職というジョブランク』『戦闘経験の多さ』そして『高い武器適正』を持つ俺たちは随分と優位なところにいるのだと思わされる。
『ワープ』を使えたり『回復魔法を使える仲間』がいることも大きい。
普通のパーティなら、一般モンスターにもそこそこ苦戦しながら冒険していたりするのだろうか。
そんなことを考えながら、何度か戦闘を繰り返し進むと、階段を見つける。
幸い、楽に倒せるデビルバットとリトルゴーレム以外、遭遇することはなかった。
先ほどの危険度の話から察するに、ゴーレムはレアモンスターに位置するのだろう。
もう一度、あんなのが出てきたら、さすがにキツイ。
俺たちは、中層への階段を上がって行った。
「中層も……そんなに代わり映えしないねー」
階段の先の景色に、リズがそんなことを言う。
「まあ、鉱山だしな」
「ええ。でも、採れる鉱石は少し違ってくると思いますよ」
俺とセーラが返答する。
しばらく進むと、ゴツゴツした岩が飛び回っている。
よく見ると、羽がある。鳥だ。
一匹や二匹ではない、十匹はいるだろうか……。
「……ご主人様……魔物……数が多い……」
「ああ。鑑定」
先行しているシレイドの言葉を受けて鑑定を行う。
名前:ロックバード
危険度:B
説明:身体が岩でできた鳥の魔物。硬い身体での体当たりをしてくるので危険。表面は固い岩で覆われているが内部の肉は美味。
素材:『岩鳥の肉』
レア素材:『岩鳥の骨』
なるほど。あれがクエスト用紙に書かれていたロックバード。
『岩鳥』といえば、以前『いざないの洞窟』で野営した時に食べたな。
とすれば、目的のメテオバードもこの近くに……。
「あ、レオ! あそこ!」
注意深く観察していると茶色い軍団の中に一匹、黒い岩鳥がいる。
鑑定してみる。
名前:メテオバード
危険度:A
説明:ロックバードを束ねる魔物。長い年月をかけてロックバードの身体が硬化し、強靭になった。体当たりもさることながら、土魔法も使用してくる。肉は硬化してしまっており、食用には向かない。
素材:『隕石鳥の爪』
キアラが調べていた通り、危険度はA……高めだ。
ということは、全力で行かなければ勝てないだろう。
「危険度Aだ。みんな、力を出し惜しみするな。周りのロックバードにも気を付けて戦うぞ」
俺の言葉に、五人が首肯する。
「エルウェーブ!! よし、前衛! 突撃だ!」
距離を測りつつ、俺は牽制のために水魔法を放つ。
そして、間髪を入れずにキアラとロウナと共に突撃する!
「はあああああっ!!」
「おらあああああ!!」
飛んでいるロックバードを、キアラの槍が貫き、ロウナの拳が砕く。
相手も負けてはおらず、硬い身体で突撃をしてくる。
「エルウェーブ!!」
突撃してくる岩鳥たちを、広範囲魔法で薙ぎ払う。
「グギェー!!」
「ギェエー!!」
断末魔を上げながら、ポトリポトリと落ちていく岩鳥たち。
——その時!!
「グギェエエ!!」
後方で羽ばたいていたメテオバードの身体が怪しく光り、くちばしに魔法陣が現れる。
「気をつけろ!! 何かしてくるぞ!!」
俺の言葉に、キアラとロウナが一歩引く。
その直後、魔法陣から複数の岩が飛んできた。
「土魔法か!! はあああっ!!」
「おらおらおらおらっ!!」
飛んできた岩をキアラとロウナが撃ち落とす。
だが、数が多い。
おまけに、ロックバードもまだ数体残っており、突撃を仕掛けてくる。
「ぐっ!!」
「くそっ!!」
敵の攻撃の何発かが、二人に当たる。
ダメージは少ないみたいだが、相手の攻撃は止まない。
俺は、二人の前に立ち土属性の単純魔法を使う。
「はあぁぁああああ!!」
巨大な土壁が前方にニョキリと現れる。
体当たりをしてくるロックバードが、土壁に激突して目を回し、地面に落ちていく。
メテオバードが放った岩も土壁に当たり、砕け散っていく。
だが、巨大な土壁を維持するのは消費MPが大きい。
「解除するぞ!」
皆に呼び掛けた後、魔力を抜く。
すると、土壁はすぐにバラバラに砕け散った。
「エルウェーブ!!」
地面で目を回すロックバードにすぐさま水魔法を浴びせて仕留める。
「ピエエエエッ!!」
残るは前方で不気味に羽ばたくメテオバードのみとなった。
「おっしゃー! ガンガン行くぜ!!」
セーラの治療もあって、ロウナもすっかり元気になった。
「先ほどの戦いから見るに、俺たちが今、楽に勝てる魔物の危険度はB辺りってことだろうか。危険度Aの時は、全員で全力を出して勝っていると思うし」
俺の言葉を聞いて、みんなが首肯する。
「概ね、合っていると思うぞ。実際、危険度B+とAの間は他の魔物の難易度と比べ、少し差が大きいらしいからな」
「ええ。危険度A以上というのは、普通はレアモンスターかボスモンスターの危険度です。転じて、一般モンスターは危険度B+以下が多い。私たちの苦戦も想定通りということです」
キアラとセーラが言う。
「以前にも言ってたけど危険度S以上っていうのは、瘴気の濃度を変えるくらいヤバイ魔物だからな。今のあたしたちではまず勝てないだろう」
「うげー。そんな強い魔物、戦いたくないよぉ」
「……大丈夫……前にも話したけど、エルゼリア周辺で確認されている魔物の危険度はAが最高レベル……この辺りで活動する限り、S級の魔物に遭うことは考えられない……」
ロウナ、リズ、シレイドが話している。
要するに、エルゼリアを活動拠点とする限り、気を抜かなければそうそう負けることはないということだ。
何度も言うが、冒険者は余裕をもって活動しなければ、すぐに命取りになる。
そういう点では『中級職というジョブランク』『戦闘経験の多さ』そして『高い武器適正』を持つ俺たちは随分と優位なところにいるのだと思わされる。
『ワープ』を使えたり『回復魔法を使える仲間』がいることも大きい。
普通のパーティなら、一般モンスターにもそこそこ苦戦しながら冒険していたりするのだろうか。
そんなことを考えながら、何度か戦闘を繰り返し進むと、階段を見つける。
幸い、楽に倒せるデビルバットとリトルゴーレム以外、遭遇することはなかった。
先ほどの危険度の話から察するに、ゴーレムはレアモンスターに位置するのだろう。
もう一度、あんなのが出てきたら、さすがにキツイ。
俺たちは、中層への階段を上がって行った。
「中層も……そんなに代わり映えしないねー」
階段の先の景色に、リズがそんなことを言う。
「まあ、鉱山だしな」
「ええ。でも、採れる鉱石は少し違ってくると思いますよ」
俺とセーラが返答する。
しばらく進むと、ゴツゴツした岩が飛び回っている。
よく見ると、羽がある。鳥だ。
一匹や二匹ではない、十匹はいるだろうか……。
「……ご主人様……魔物……数が多い……」
「ああ。鑑定」
先行しているシレイドの言葉を受けて鑑定を行う。
名前:ロックバード
危険度:B
説明:身体が岩でできた鳥の魔物。硬い身体での体当たりをしてくるので危険。表面は固い岩で覆われているが内部の肉は美味。
素材:『岩鳥の肉』
レア素材:『岩鳥の骨』
なるほど。あれがクエスト用紙に書かれていたロックバード。
『岩鳥』といえば、以前『いざないの洞窟』で野営した時に食べたな。
とすれば、目的のメテオバードもこの近くに……。
「あ、レオ! あそこ!」
注意深く観察していると茶色い軍団の中に一匹、黒い岩鳥がいる。
鑑定してみる。
名前:メテオバード
危険度:A
説明:ロックバードを束ねる魔物。長い年月をかけてロックバードの身体が硬化し、強靭になった。体当たりもさることながら、土魔法も使用してくる。肉は硬化してしまっており、食用には向かない。
素材:『隕石鳥の爪』
キアラが調べていた通り、危険度はA……高めだ。
ということは、全力で行かなければ勝てないだろう。
「危険度Aだ。みんな、力を出し惜しみするな。周りのロックバードにも気を付けて戦うぞ」
俺の言葉に、五人が首肯する。
「エルウェーブ!! よし、前衛! 突撃だ!」
距離を測りつつ、俺は牽制のために水魔法を放つ。
そして、間髪を入れずにキアラとロウナと共に突撃する!
「はあああああっ!!」
「おらあああああ!!」
飛んでいるロックバードを、キアラの槍が貫き、ロウナの拳が砕く。
相手も負けてはおらず、硬い身体で突撃をしてくる。
「エルウェーブ!!」
突撃してくる岩鳥たちを、広範囲魔法で薙ぎ払う。
「グギェー!!」
「ギェエー!!」
断末魔を上げながら、ポトリポトリと落ちていく岩鳥たち。
——その時!!
「グギェエエ!!」
後方で羽ばたいていたメテオバードの身体が怪しく光り、くちばしに魔法陣が現れる。
「気をつけろ!! 何かしてくるぞ!!」
俺の言葉に、キアラとロウナが一歩引く。
その直後、魔法陣から複数の岩が飛んできた。
「土魔法か!! はあああっ!!」
「おらおらおらおらっ!!」
飛んできた岩をキアラとロウナが撃ち落とす。
だが、数が多い。
おまけに、ロックバードもまだ数体残っており、突撃を仕掛けてくる。
「ぐっ!!」
「くそっ!!」
敵の攻撃の何発かが、二人に当たる。
ダメージは少ないみたいだが、相手の攻撃は止まない。
俺は、二人の前に立ち土属性の単純魔法を使う。
「はあぁぁああああ!!」
巨大な土壁が前方にニョキリと現れる。
体当たりをしてくるロックバードが、土壁に激突して目を回し、地面に落ちていく。
メテオバードが放った岩も土壁に当たり、砕け散っていく。
だが、巨大な土壁を維持するのは消費MPが大きい。
「解除するぞ!」
皆に呼び掛けた後、魔力を抜く。
すると、土壁はすぐにバラバラに砕け散った。
「エルウェーブ!!」
地面で目を回すロックバードにすぐさま水魔法を浴びせて仕留める。
「ピエエエエッ!!」
残るは前方で不気味に羽ばたくメテオバードのみとなった。
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