【R18】異世界魔剣士のハーレム冒険譚~病弱青年は転生し、極上の冒険と性活を目指す~

泰雅

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第9章:風神の谷と宿の看板娘編

第1話:頃合い

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 アイスウッドからエルゼリアに戻り、二週間後。
 俺たちは、エルゼリア平原で戦いの感を取り戻すため、冒険者稼業に勤しんでいた。
「おらああああっ!!」
「はあああああっ!!」
 新たな武具を得た、前衛の二人がとても元気に王蜥蜴を狩りまくっている。
 丁度、キングリザードとヘルバウンドの挟撃に遭った俺たちは、前衛と後衛に分かれ、それぞれ対処しているところだ。
「フハハハハハハハハ! なんだ!? そのヘッポコ体当たりは!! 私の『ロータスメイル』は傷一つ付かんぞ!!」
「ヒャーハハハハハハ!! 新しい武器、最っ高だぜえええ!! あたしの『グランガントレッド』と『グラングリーブス』の威力をとくと味わええぇぇ!!」
 ハイテンション状態で魔物をなぎ倒していくキアラとロウナ。
 少々、元気すぎる気がする。
 どちらが魔物か錯覚しそうになるな。うん。

「はっ……!! やっ……!! たっ……!!」
 後ろでは、シレイドが素早い動きでヘルバウンドの喉笛を切り裂いている。
 三体に囲まれていたが、あっという間に倒してしまった。
「ふっ……! 新しくなったシレイド……敵無し……」
 新たな武器『ヘルシングダガー』をくるくると回して決めポーズをする。
 ご満悦のようだ。

「ガウガウッ!!」
「よっと!」
 ドゥン!!
「……ガァ!!」
 リズがヘルバウンドの噛みつきを楽々躱して、その眉間に弾丸を撃ち込む。
「はぇー……この『ユグドラマント』すごいなぁ……体が綿みたいに軽いよ……」
 彼女の動きに、彼女自身が一番驚いているようだ。
 リズもすっかり頼もしい戦力になったな。
 出会ったばかりの頃は、戦えない事をすごく悩んでいたが、今ではその影もない。
 うんうん。本当に良かった。

「むっ……!?」
 悦に浸っていたシレイドを、新たにヘルバウンド四体が取り囲む。
 ——その時。
「シレイドちゃん、危ない! はぁっ!! 『エルライトニング』!!」
 セーラの新しい武器『エンジェルロッド』から光の矢が降り注ぎ、魔犬たちを貫く。
 四体のヘルバウンドは、声も上げずに地に沈む。

 そうして、ものの五分もかからぬ内に、魔物たちを掃討する。
「うむ。上々だな」
「ああ。かなり大群だったけど、全然苦戦しなかったな」
 キアラとロウナが所感を述べる。
「いやー、大群で挟み撃ちされた時はちょっぴり焦ったけど、ちゃんと戦えたね♪」
「ん……シレイドたち……また、強くなった……!!」
「ええ。休み明けで心配してましたが、無用だったみたいですね」
 リズたちも手応えを感じているようだ。
 俺の方も、悪くない感覚だった。
 新しい装備『ゼフィロスコート』は以前の『サンドボアコート』に比べて軽くて丈夫だ。
 前より俊敏に動けている感じがするし、キングリザードの体当たりくらいじゃ痛くも痒くもない。
「これは、そろそろ『風神の谷』に挑戦しても良いかもしれないな」
「うん! そうだね!」
「ん……!!」
「ああ。私もレオと同意見だ」
「ふふふ、頑張りましょう」
「あー! 楽しみ過ぎて滾ってきたぜ!」
 俺の提案に、五人も賛成の様子だ。
『風神の谷』はエルゼリアの西に位置する深い谷のダンジョンだ。
 俺たちがこれまで攻略した『灼炎の祠』『海竜の洞窟』『マッサ鉱山』と並び、一流冒険者の登竜門『四属性ダンジョン』の一つとして数えられている。
 難易度は、他の三つより少し上だという事で、最後に挑むに相応しいダンジョンだ。
「よし。じゃあ、明日から早速行ってみるか!」
「「「「「おー!!」」」」」
 俺の言葉に、五人が元気よく返事をした。

 その日の夜、俺は『バー・ラックステラ』を訪れていた。
「遂に、四属性ダンジョンの最後の一つ『風神の谷』に挑戦するんだねえ、ボウヤ。まさか、この短時間でここまで来れるとは、思ってなかったよ」
 カウンター越しにジュリアさんがニンマリと笑っている。
「すごいねー♪ お兄さん♪ やっぱり、このボニーさんと付き合いたいから頑張っちゃったのかな?」
 隣の席でからかうように俺に訊いてくるボニー。
「まあ、そうだな」
「きゃー♪ お兄さんとお付き合いする事、真剣に考えなきゃいけないなぁ……♪」
 そう。ボニーからは恋人としてお付き合いすることに関して、明確な返事をまだ貰っていない。
 接している限り、俺に好意を持ってくれているとは思うが、いつも肝心な部分ははぐらかされたり、おどけられたりして躱されている。
 まあ、男女に限らず、人との付き合いは強制するものではない。
 そんな事をしても、どこかで絶対にほころびが生じてしまうものだ。
 ちぐはぐなまま、ダラダラと付き合うことほど、哀しいことはない。
 俺からの告白はもう済ませた。
 ならば、ボニーの出す答えを、真摯に待って受け入れるだけだ。
「『風神の谷』を踏破できたら、ちゃんと答えを聞かせてくれ」
 俺は、まっすぐ彼女を見つめ、ニッコリと微笑んでやる。
「え……えっと……う、うん……」
 誤魔化しは効かないと思ったのか、もじもじしながら言うボニー。
 その様子を見て、俺はグラスに残ったアドベンチャーイヴをグッと飲み干す。
「さて、明日も早いし、今日はこのくらいにしておくよ。ご馳走様」
「ああ。またおいで」
 お代をカウンターに残して去る俺に、ジュリアが短く返す。
 ボニーは最後まで、困ったように顔を赤くして俯いたままだった。
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