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俺は最強で最恐なやつと出会ったかもしれない

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 俺はとりあえず、ノーティティアが言っていたように森に向かってみることにした。ウリプロエムは、ドゥアルの中でもかなり大きい街なようで、森までの道のりもその分かなり長かった。その代わりに、街中でも何匹かのコンセプトから話しかけられた。ただ、そのコンセプトはキャベツとかレンガとか見るからに弱そうな奴らばっかだった。勿論あんな大口を叩いたからには、こんなやつらとタッグを組むわけもなく森に向かって一直線で進んだ。ウリプロエムの周りには3種類の森があるようで、旅のはじめに人気なヤシー森、強いコンセプトが多く、ミッションなどで人気のドーハ森、そして噂がなく名前のみが知られている幻森の3つである。俺は迷いもなく、幻森に向かっている。俺の厨二心が幻森に迎えと叫んでいるからだ。そして、実際に幻森の入り口について俺は呆気を取られた。そこはまるでブラックホールや死後の世界を想像させるほどの悍ましさを雰囲気だけで感じさせてきた。ただ、俺は最強になる男だ。そう言い聞かせ、幻森へ一歩足を踏み入れようとしたその時、後ろから声がした。

「すみません!1人で幻森行くの多分、危ないですよ…?」

 振り返ると、そこには若い女性がいた。

「大丈夫っす。気にしないでください。」

 俺は愛嬌のない返事をして、そのまま進み始めた。

「お気をつけて!」

 俺はもう会うことはないと思って無視したまま進んだ。



_____幻森  中深部___



 俺は歩き進めていた足を止めた。ここまで1匹足りともコンセプトと出会わなかったが、今この一瞬、いや一刹那で死を感じるほど強烈な気配を感じた。そしてこの森には、1匹の最強で最恐なコンセプトが潜んでいることも同時に理解した。
 

_____幻森  深淵部____



 あの気配を感じて、何時間経っただろうか。しばらくの間走り続けて、気配を最大まで強く感じるようになったのはいいものの、果たしてどこに姿を隠しているのか分からないまま "ヤツ" は気配を消した。日は既に落ちていて、今日は探索を終わりにしようと思い、その辺の木を集め、火を起こし、焚き火をしてそばの倒木に座ってあったまっていた。火を見つめ、瞬きをしたその瞬間、俺の横に1人の男が現れた。さっきまで周りに誰もいなかったのに。その男は長髪で顔は整っていた。森に住んでいる人間とは考えられなかった。そんなことを考えている中、男は口を開けてこう言葉を放った。






「私とタッグを組みなさい。組まなければ汝は死ぬ。」



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