青い薔薇と金色の牡丹【BL】

水月 花音

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第二章【旅立ち】

第三十二話 キス

 帰りの馬車はお通夜のように静かだった。俺も何だかよくわからなくて混乱している。

 私邸に着くと、エリオネルは出発の準備をするとラブラドさんに伝えていた。明日出発するらしい。随分と急だ。

「マリヤ、明日出発することになったから、荷物をまとめてくれる?」

 真面目な雰囲気のエリオネルに俺は頷くしかなかった。一人で部屋まで行って、荷物を詰める。

 エリオネルのお兄さん変な人だったな。だから紹介したくなかったのかな?


 それから、眠りにつくまでエリオネルは部屋に帰って来なかった。



ーーーーーー


 柔らかい感触がする。何だかふわふわしていて、これは夢の中だとわかった。

 エリオネルとキスする夢。

 俺がエリオネルの首に腕を回すと、エリオネルがビクッとしたのがわかった。

 口を少し開けて、エリオネルの口に自分の舌を入れる。ぬるぬるとした感触が気持ちいい。

 夢中でキスしていると、またふわふわし始めて、気づいたら夢は終わっていた。


ーーーーーー


 目を開けると見たことない部屋の天井で、周りを見ると借りていた自分の部屋だった。

 エリオネルとキスする夢見たな、と余韻にひたる。

 すっごくリアルで気持ちよかった。

 一人で余韻に浸っていると、扉がコンコンとノックされた。

「はーい」

 扉を開けると、エリオネルと目が合った。

 途端にエリオネルの顔が赤くなる。

 え、ちょっと待って、夢じゃなかった感じ?!胸が急に早鐘を打ち始める。
 耳にドクドクという心臓の音が響いて煩い。

「エリオネル、夜俺の部屋来た?」

「行った……」

 エリオネルは見たことないほど真っ赤になっており、キスしてしまったのが本当なんだとわかった。

「顔を見に行ったら、あの、急にマリヤが抱きついてきて……」

「あー!!ごめん!完全に夢だと思って寝ぼけてた!!」

 やってしまった!!やけにリアルだと思ったんだよ!!
 穴があったら入りたい。

「いや、夜中に行った私も悪いし」

「いやいや!気持ち悪かったよな!ごめん」

 顔の前で手のひらを合わせて、謝るポーズをする。本当に悪いことをしてしまった。

 何も言わないエリオネルに、そーっと目を開けると、まだ真っ赤になっている。

「気持ち悪いというか、よかったけど」

 ぽーっとなってるエリオネルが呟く。

 ええ!?よかったって、エリオネル!?

 これ以上赤くなれないだろうと思っていたエリオネルの顔が、一段と赤くなった。

「この話はおしまい!朝早いけど、出発するから用意して」

 バタンと目の前で、扉を閉められてしまった。


 朝食を取ったときには、エリオネルは普通に戻っていて、食べてすぐに馬車に乗せられた。
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