青い薔薇と金色の牡丹【BL】

水月 花音

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第七章【鬼の国】

第百二十一話 買い物

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 通りを歩いていると、我楽多市がらくたいちと書かれている看板を見つけた。
 大きなお店で、3軒分の広さがある。道路に面した形でお店が広げられており、中までよく見えた。

「入ってみようか」

 グリードが誘ってくれる。それに頷き、お店を見てみる。

 お店には陶器やつば、日本刀、人形など色々な物があった。中でも鍔の種類は目を見張るものがある。
 日本刀とかも結構好きだ。漫画に影響された部分が多分にあるけど。

「ここは買い取りもしてくれるんだな」

 買取の文字がはためいている。

「マリヤ、少し待っててくれるか」

 そういうと、グリードは店の人を呼びに行った。しばらくすると帰ってきた。

「何売ってきたの?」

「魔石だ」

「魔石?そんなの持ってたの?」

「ああ」

 それ以上話す気はないらしい。その手に、ある物が握られていた。

 ドロップ型のネックレス。

 何故グリードがそんな物を持っているのか不思議で、見ているとそっと手を取られ、手の上に乗せられた。

「マリヤ、これは保護の魔道具だ。常時発動型で、俺の魔力を入れてある」

 キラキラと輝くそれは、基本的に黒色をしていたが、傾けると様々な色を見せる。とても綺麗だ。

「くれるの?」

「ああ。持っていてくれ」

「ありがとう」

 俺の身を気遣ってくれたことが嬉しくて笑顔になると、グリードは優しく笑ってくれた。

「良い物が見つかってよかった」

 キュンと胸が疼く。

 それを見ないフリして、首にかけてもらった。

 そのあとは、甘味処に寄ったり扇子を買ったりした。日も暮れて来たので、お城に帰ることになった。



 ご飯を食べてお風呂に入る。グリード用に用意してもらった部屋に入って、一緒に寝るのか!と内心ビックリした。

「マリヤ、こちらへおいで」

 断る理由もないので、グリードの側に行く。
 布団に寝転がったグリードの横に寝そべると、彼は俺を抱き寄せた。

「俺がどれだけ幸せかわかる?」

「幸せなの?」

 特別なことは何もしていない。

「ああ。すごく幸せだ。マリヤに触れられるだけで、泣きそうなほどに」

 グリードの顔を見ると、目がうるっとしていた。頬を撫でられる。

「夢でいっぱいエッチなことしたくせに」

「ごほっ」

 グリードが咽せたことで、やはり夢が共有されていたことがわかった。

「やっぱり。催眠は神さまだったけど、自由に動けたんだ?」

「そう」

「もう、しないで」

「エッチなことなしだもんな」

「そうだよっ」

 それから、グリードはずっと俺を見ていて、俺はというと気づいたら寝ていた。朝起きたら、グリードは寝る前のままの体勢で俺を見ていた。


「グリード?ずっと起きてたの?」

「ああ。ずっとマリヤを見てた」

 恥ずかしくなって布団を被ると、グリードが布団ごと俺を抱きしめる。
 クククッとグリードが笑う声がする。低くて良い声だ。

「もうっ、ちゃんと寝なよ」

「勿体ないから寝れない」

 朝起きたら交代なので、グリードにまたねと行ってからエリオネルの所に行く。寂しそうにしていたけど、仕方ない。




「エリオネル!」

 エリオネル用の部屋に行って、彼に抱きつくと、ぎゅっと痛いくらいに抱きしめてくれた。
 性急に口づけられて、息ができなくなる。

 こんなに余裕がないの初めてなんだけど、嬉しい。

「は、エリオネル……」

「マリヤ」

 ちょ、ちょっと待って、脱がされていってる!

「エリオネル、ちょっと待って」

「待たない」

 エリオネルはキスをしながら、器用に俺の着ている服を脱がしていく。

「あっ、あっ」

「可愛い」

 されるがままになってるけど、嫌じゃない。妬いてたのかな。
 なんて考えていたら裸にされていた。

「恥ずかしい」

「よく見せて?」

 エリオネル、俺の体見るの好きよな。でも、何か怒ってるみたいに視線が鋭い。

「ねぇ、顔こわい」

「ごめん」

 俺が言うと、ハッとした顔をして、眉間を右手でグリグリしている。右手を離したエリオネルは無表情だった。

 その無表情も怖いけど。
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