8 / 143
序章 〇〇世界における魔王国の建国
第8話 守る者たち
しおりを挟む
「へ?な、なにを言ってるの?」
私は2人の言っていることを理解できず聞き返してしまう。
ここにいるスタッフとは全員顔見知りであり皆親切な人たちだ。特にシズさんにはよく仕事のことで相談に乗ってもらっている。
「シズさんも何か言ってくださいよ!」
弁明しないシズさんの方に顔を向けると、そこにはいつもの柔和な表情はなく、張り詰めた表情を双子に向けていた。
「なるほどなるほど。それは実に面白いっすね~」
イブキさんは驚いた様子もなくうんうんと首を振っている。
「イブキ様。まさか子供のたわごとを鵜呑みにしませんよね?」
シズさんがイブキさんに質問するとイブキさんは彼女に向き直り、彼女の顔面を思い切り殴り飛ばした。
「な………!?」
私は話の展開についていけず、そんな情けない声を上げることしかできなかった。
飛ばされたシズさんはというと、壁に体を打ち付けたようだが魔力で受け身をとったらしく目立った外傷はなく意識もあるみたいだ。
「シズ、お前はいったい何様なんだ?彼女たちはジーク様がお決めになった正式な幹部。それをお前ごときが子供のたわごとなどと……分をわきまえろ!」
初めてみるイブキさんの怒った姿に私の足はすくんでしまう。もし怒りの矛先が私だったらその場で失神していたであろう程の迫力だ。
「スイ、説明をお願いします」
「ん、了解」
こんな状況なのに落ち着いた様子で淡々とスイちゃんは話し始めた。
「私たち姉妹はある程度他人の感情を読むことが出来る。だから2人で城中を回り負の感情を持っている人を探した。心のガードが堅い人は生徒を使いこの部屋に呼び、特に年齢の低い子と遊ばせた。そうすることで心のガードが緩み感情を読みやすくなる」
「そうして絞れたのが今いる13人って事っすね」
「ん、間違いないと断言できる」
「OK、わかったっす」
イブキさんはいつの間にか普段通りの調子に戻ると納得したように腕を組む。
「ってわけっすから、大人しく捕まって欲しいっす」
すっかりイブキさんたちに気を取られていた私は、こちらに顔を向け殺気を放っている人たちに気づいていなかった。
「まさか………ほんとうに……」
「どうやら黒みたいっすね。言い訳なら牢屋で聞くっす」
イブキさんがそう言って一歩踏み出した瞬間、彼らは一斉に飛び出し、ある者はドアに、ある者は窓に、ある者はおそらく移動用の魔道具と思われる物を起動した。
「甘ぇっすよ、雑魚が。龍白雷《ドラゴニック・ライトニング》」
瞬間、部屋中を爆音と閃光が満たした。
私は思わず「ひゃぁ」などと情けない声を再び上げ、せめて生徒を守ろうと生徒に覆いかぶさった。
爆音から数秒後、聴力の回復した私は辺りを見渡すとそこには逃げ出そうとした12人が所々焦げた状態で転がっていた。
「殺しちゃいねえっす。聞きたいことが山ほどあるっすからね」
イブキさんは体に雷光の様なものを纏わせながらニヤリと禍々しく微笑んだ。
しかし――――
「油断したわね、イブキ」
その言葉にハッとして振り返ると、シズさんがスイちゃんを羽交い絞めにし、首筋にナイフを押し当てていた。
「シズ……楽に死ねると思うなよ」
「動かないことねイブキ。この距離ならあなたの雷より早く首を描き切れるわ」
私は堪え切れずシズさんに詰め寄る。
「人質になら私がなる!スイちゃんを離して!」
スイちゃんの目が驚いて大きくなる。
まさか自分より弱い存在に庇われると思ってなかったのだろう。
だが、そんなの関係ない。
ここにいる以上私が先生で彼女が生徒なことに変わりはないのだから。
「ちっ!邪魔だよ!」
シズさんはナイフを持つ手とは逆の手で拳銃を取り出すと躊躇なく私の左ももを打ち抜いた。
「うう……スイちゃん……」
私は立つ力を失い、地面に転がり動けなくなる。
痛みと不甲斐なさで視界がにじむ。
「……さない」
「ん?」
シズさんの腕の中でスイちゃんが何やらつぶやく。
「許さない」
次の瞬間、イブキさんの時よりも膨大な魔力が部屋を満たした。
とてつもない魔力に、肌がピリピリする。
「このっ……!!」
シズさんは首筋にナイフを押し込もうとするが、それは叶わない。
なぜなら、彼女の持つナイフの刃は溶かした飴細工のようにドロドロになっていたからだ。
「こんな玩具でやりあう気?」
「ちいっ!」
シズさんはナイフが効かないと判断するや距離を取り、今度は拳銃を構える。
「させないよ! 『融解光線《メルトレーザー》』」
今度はアンちゃんの手から高温の熱線が放たれシズさんの肩を打ち抜き、貫通する。
「ぐっ、がっ……」
肉の焼けるような嫌な臭いと共に彼女の嗚咽が漏れる。
『とどめ』
2人が魔力を込めながらシズさんに近寄っていく……だけど
「だめ」
私は力を振り絞り2人を抱きしめ、止める。
『先生……』
「ごめんね、もうちょっとだけいい先生でいさせて?」
彼女たちは強い。だけどまだ、幼さの残るうちは手を汚してほしくない。
エゴといえばその通りだが、それこそ私の目指す教育者の姿だ。
「惚れ直したっすよ、アイコっち」
いつの間にかシズさんのそばに来たイブキさんは彼女の側頭部をゴン!と思い切り蹴り飛ばし、昏倒させる。
「汚れ仕事は大人に任せるっす。子供は甘えられるうちに甘えとくっす」
彼女にもいろいろあったのだろう。遠い目をして2人に言い聞かせる。
「とはいえご苦労っす。今回の功績はジーク様もおおいに褒めてくれると思うっすよ!」
「ほんと!やったー!!」
「ん、楽しみ」
喜ぶ様子はやはり年相応に幼い。私はこれからもこの笑顔を守らねばと強く感じた。
「アイコっちも大活躍したと報告しとくっす。もしかしたら幹部昇進かもしれないっすよ!」
「わーい」
「お揃い、嬉しい」
「は、ははは」
その前に自分の笑顔を守ってくれる人を探さねばと思った私なのであった。
私は2人の言っていることを理解できず聞き返してしまう。
ここにいるスタッフとは全員顔見知りであり皆親切な人たちだ。特にシズさんにはよく仕事のことで相談に乗ってもらっている。
「シズさんも何か言ってくださいよ!」
弁明しないシズさんの方に顔を向けると、そこにはいつもの柔和な表情はなく、張り詰めた表情を双子に向けていた。
「なるほどなるほど。それは実に面白いっすね~」
イブキさんは驚いた様子もなくうんうんと首を振っている。
「イブキ様。まさか子供のたわごとを鵜呑みにしませんよね?」
シズさんがイブキさんに質問するとイブキさんは彼女に向き直り、彼女の顔面を思い切り殴り飛ばした。
「な………!?」
私は話の展開についていけず、そんな情けない声を上げることしかできなかった。
飛ばされたシズさんはというと、壁に体を打ち付けたようだが魔力で受け身をとったらしく目立った外傷はなく意識もあるみたいだ。
「シズ、お前はいったい何様なんだ?彼女たちはジーク様がお決めになった正式な幹部。それをお前ごときが子供のたわごとなどと……分をわきまえろ!」
初めてみるイブキさんの怒った姿に私の足はすくんでしまう。もし怒りの矛先が私だったらその場で失神していたであろう程の迫力だ。
「スイ、説明をお願いします」
「ん、了解」
こんな状況なのに落ち着いた様子で淡々とスイちゃんは話し始めた。
「私たち姉妹はある程度他人の感情を読むことが出来る。だから2人で城中を回り負の感情を持っている人を探した。心のガードが堅い人は生徒を使いこの部屋に呼び、特に年齢の低い子と遊ばせた。そうすることで心のガードが緩み感情を読みやすくなる」
「そうして絞れたのが今いる13人って事っすね」
「ん、間違いないと断言できる」
「OK、わかったっす」
イブキさんはいつの間にか普段通りの調子に戻ると納得したように腕を組む。
「ってわけっすから、大人しく捕まって欲しいっす」
すっかりイブキさんたちに気を取られていた私は、こちらに顔を向け殺気を放っている人たちに気づいていなかった。
「まさか………ほんとうに……」
「どうやら黒みたいっすね。言い訳なら牢屋で聞くっす」
イブキさんがそう言って一歩踏み出した瞬間、彼らは一斉に飛び出し、ある者はドアに、ある者は窓に、ある者はおそらく移動用の魔道具と思われる物を起動した。
「甘ぇっすよ、雑魚が。龍白雷《ドラゴニック・ライトニング》」
瞬間、部屋中を爆音と閃光が満たした。
私は思わず「ひゃぁ」などと情けない声を再び上げ、せめて生徒を守ろうと生徒に覆いかぶさった。
爆音から数秒後、聴力の回復した私は辺りを見渡すとそこには逃げ出そうとした12人が所々焦げた状態で転がっていた。
「殺しちゃいねえっす。聞きたいことが山ほどあるっすからね」
イブキさんは体に雷光の様なものを纏わせながらニヤリと禍々しく微笑んだ。
しかし――――
「油断したわね、イブキ」
その言葉にハッとして振り返ると、シズさんがスイちゃんを羽交い絞めにし、首筋にナイフを押し当てていた。
「シズ……楽に死ねると思うなよ」
「動かないことねイブキ。この距離ならあなたの雷より早く首を描き切れるわ」
私は堪え切れずシズさんに詰め寄る。
「人質になら私がなる!スイちゃんを離して!」
スイちゃんの目が驚いて大きくなる。
まさか自分より弱い存在に庇われると思ってなかったのだろう。
だが、そんなの関係ない。
ここにいる以上私が先生で彼女が生徒なことに変わりはないのだから。
「ちっ!邪魔だよ!」
シズさんはナイフを持つ手とは逆の手で拳銃を取り出すと躊躇なく私の左ももを打ち抜いた。
「うう……スイちゃん……」
私は立つ力を失い、地面に転がり動けなくなる。
痛みと不甲斐なさで視界がにじむ。
「……さない」
「ん?」
シズさんの腕の中でスイちゃんが何やらつぶやく。
「許さない」
次の瞬間、イブキさんの時よりも膨大な魔力が部屋を満たした。
とてつもない魔力に、肌がピリピリする。
「このっ……!!」
シズさんは首筋にナイフを押し込もうとするが、それは叶わない。
なぜなら、彼女の持つナイフの刃は溶かした飴細工のようにドロドロになっていたからだ。
「こんな玩具でやりあう気?」
「ちいっ!」
シズさんはナイフが効かないと判断するや距離を取り、今度は拳銃を構える。
「させないよ! 『融解光線《メルトレーザー》』」
今度はアンちゃんの手から高温の熱線が放たれシズさんの肩を打ち抜き、貫通する。
「ぐっ、がっ……」
肉の焼けるような嫌な臭いと共に彼女の嗚咽が漏れる。
『とどめ』
2人が魔力を込めながらシズさんに近寄っていく……だけど
「だめ」
私は力を振り絞り2人を抱きしめ、止める。
『先生……』
「ごめんね、もうちょっとだけいい先生でいさせて?」
彼女たちは強い。だけどまだ、幼さの残るうちは手を汚してほしくない。
エゴといえばその通りだが、それこそ私の目指す教育者の姿だ。
「惚れ直したっすよ、アイコっち」
いつの間にかシズさんのそばに来たイブキさんは彼女の側頭部をゴン!と思い切り蹴り飛ばし、昏倒させる。
「汚れ仕事は大人に任せるっす。子供は甘えられるうちに甘えとくっす」
彼女にもいろいろあったのだろう。遠い目をして2人に言い聞かせる。
「とはいえご苦労っす。今回の功績はジーク様もおおいに褒めてくれると思うっすよ!」
「ほんと!やったー!!」
「ん、楽しみ」
喜ぶ様子はやはり年相応に幼い。私はこれからもこの笑顔を守らねばと強く感じた。
「アイコっちも大活躍したと報告しとくっす。もしかしたら幹部昇進かもしれないっすよ!」
「わーい」
「お揃い、嬉しい」
「は、ははは」
その前に自分の笑顔を守ってくれる人を探さねばと思った私なのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる