スキル「共感覚」のおかげで最強の魔法使いになったので魔人を集めて魔王になることにしました 〜最恐魔王の手さぐり建国ライフ!〜

熊乃げん骨

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序章 〇〇世界における魔王国の建国

第8話 守る者たち

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「へ?な、なにを言ってるの?」 

 私は2人の言っていることを理解できず聞き返してしまう。 

 ここにいるスタッフとは全員顔見知りであり皆親切な人たちだ。特にシズさんにはよく仕事のことで相談に乗ってもらっている。  

「シズさんも何か言ってくださいよ!」 

 弁明しないシズさんの方に顔を向けると、そこにはいつもの柔和な表情はなく、張り詰めた表情を双子に向けていた。 

「なるほどなるほど。それは実に面白いっすね~」 

 イブキさんは驚いた様子もなくうんうんと首を振っている。 

「イブキ様。まさか子供のたわごとを鵜呑みにしませんよね?」 

 シズさんがイブキさんに質問するとイブキさんは彼女に向き直り、彼女の顔面を思い切り殴り飛ばした。 

「な………!?」 

 私は話の展開についていけず、そんな情けない声を上げることしかできなかった。 
 飛ばされたシズさんはというと、壁に体を打ち付けたようだが魔力で受け身をとったらしく目立った外傷はなく意識もあるみたいだ。 

「シズ、お前はいったい何様なんだ?彼女たちはジーク様がお決めになった正式な幹部。それをお前ごときが子供のたわごとなどと……分をわきまえろ!」 

 初めてみるイブキさんの怒った姿に私の足はすくんでしまう。もし怒りの矛先が私だったらその場で失神していたであろう程の迫力だ。 

「スイ、説明をお願いします」 
「ん、了解」 

 こんな状況なのに落ち着いた様子で淡々とスイちゃんは話し始めた。 

「私たち姉妹はある程度他人の感情を読むことが出来る。だから2人で城中を回り負の感情を持っている人を探した。心のガードが堅い人は生徒を使いこの部屋に呼び、特に年齢の低い子と遊ばせた。そうすることで心のガードが緩み感情を読みやすくなる」 

「そうして絞れたのが今いる13人って事っすね」 
「ん、間違いないと断言できる」 

「OK、わかったっす」 

 イブキさんはいつの間にか普段通りの調子に戻ると納得したように腕を組む。 

「ってわけっすから、大人しく捕まって欲しいっす」 

 すっかりイブキさんたちに気を取られていた私は、こちらに顔を向け殺気を放っている人たちに気づいていなかった。 

「まさか………ほんとうに……」 
「どうやら黒みたいっすね。言い訳なら牢屋で聞くっす」 

 イブキさんがそう言って一歩踏み出した瞬間、彼らは一斉に飛び出し、ある者はドアに、ある者は窓に、ある者はおそらく移動用の魔道具と思われる物を起動した。 

「甘ぇっすよ、雑魚が。龍白雷《ドラゴニック・ライトニング》」 

 瞬間、部屋中を爆音と閃光が満たした。 

 私は思わず「ひゃぁ」などと情けない声を再び上げ、せめて生徒を守ろうと生徒に覆いかぶさった。 


 爆音から数秒後、聴力の回復した私は辺りを見渡すとそこには逃げ出そうとした12人が所々焦げた状態で転がっていた。 

「殺しちゃいねえっす。聞きたいことが山ほどあるっすからね」 

 イブキさんは体に雷光の様なものを纏わせながらニヤリと禍々しく微笑んだ。 

 しかし―――― 

  


「油断したわね、イブキ」 

 その言葉にハッとして振り返ると、シズさんがスイちゃんを羽交い絞めにし、首筋にナイフを押し当てていた。 

「シズ……楽に死ねると思うなよ」 
「動かないことねイブキ。この距離ならあなたの雷より早く首を描き切れるわ」 

 私は堪え切れずシズさんに詰め寄る。 

「人質になら私がなる!スイちゃんを離して!」 

 スイちゃんの目が驚いて大きくなる。 
 まさか自分より弱い存在に庇われると思ってなかったのだろう。 

 だが、そんなの関係ない。 
 ここにいる以上私が先生で彼女が生徒なことに変わりはないのだから。 

「ちっ!邪魔だよ!」 

 シズさんはナイフを持つ手とは逆の手で拳銃を取り出すと躊躇なく私の左ももを打ち抜いた。
  
「うう……スイちゃん……」 

 私は立つ力を失い、地面に転がり動けなくなる。 
 痛みと不甲斐なさで視界がにじむ。 

「……さない」 
「ん?」 

 シズさんの腕の中でスイちゃんが何やらつぶやく。 

「許さない」 

 次の瞬間、イブキさんの時よりも膨大な魔力が部屋を満たした。 
 とてつもない魔力に、肌がピリピリする。 

「このっ……!!」 

 シズさんは首筋にナイフを押し込もうとするが、それは叶わない。 

 なぜなら、彼女の持つナイフの刃は溶かした飴細工のようにドロドロになっていたからだ。 

「こんな玩具でやりあう気?」 
「ちいっ!」 

 シズさんはナイフが効かないと判断するや距離を取り、今度は拳銃を構える。 

「させないよ! 『融解光線《メルトレーザー》』」 

 今度はアンちゃんの手から高温の熱線が放たれシズさんの肩を打ち抜き、貫通する。 


「ぐっ、がっ……」 

 肉の焼けるような嫌な臭いと共に彼女の嗚咽が漏れる。 

『とどめ』 

 2人が魔力を込めながらシズさんに近寄っていく……だけど 

  
「だめ」 

  
 私は力を振り絞り2人を抱きしめ、止める。 


『先生……』 
「ごめんね、もうちょっとだけいい先生でいさせて?」 

 彼女たちは強い。だけどまだ、幼さの残るうちは手を汚してほしくない。 

 エゴといえばその通りだが、それこそ私の目指す教育者の姿だ。 

「惚れ直したっすよ、アイコっち」 

 いつの間にかシズさんのそばに来たイブキさんは彼女の側頭部をゴン!と思い切り蹴り飛ばし、昏倒させる。 
  
「汚れ仕事は大人に任せるっす。子供は甘えられるうちに甘えとくっす」 

 彼女にもいろいろあったのだろう。遠い目をして2人に言い聞かせる。 

「とはいえご苦労っす。今回の功績はジーク様もおおいに褒めてくれると思うっすよ!」 

「ほんと!やったー!!」 
「ん、楽しみ」 

 喜ぶ様子はやはり年相応に幼い。私はこれからもこの笑顔を守らねばと強く感じた。 

「アイコっちも大活躍したと報告しとくっす。もしかしたら幹部昇進かもしれないっすよ!」 

「わーい」 
「お揃い、嬉しい」 

「は、ははは」 

 その前に自分の笑顔を守ってくれる人を探さねばと思った私なのであった。 
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